久しぶりに映画「柘榴坂の仇討」を観る。
監督は「沈まぬ太陽」などの若松節朗監督。
原作は浅田次郎。
キャストは、中井貴一、阿部寛、広末涼子、中村吉右衛門、、。
- 作者: 浅田次郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/04/25
- メディア: 文庫
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (12件) を見る
綿雪の降雪の中で、寒椿の花が「ひたむきに生きよ」と命じている。仇討を行おうとするサムライは直弼の籠のそばで13年立ち尽くし、また長い間、仇を討たれようとするサムライは椿の垣根のきわに座りつづけていたのだ。
原作ではその後の主人公は「この先はの、俥でも引こうと思う」「新橋のステンショを根城にする俥引きが、古俥を一輌調達してくれるそうだ。、、」となっている。この俥引きが仇である。
侍としての誇りと覚悟という矜持をもってグローバル時代の波の中で己の運命に向き合う名もなきサムライたちの物語。ひたむきに生きる日本人としての生き方を確認する映画だ。
道義的義務という「義」と、それに抗議する「情」の絡み合った名画となっている。
- 浅田次郎「私は小説でもエッセイでも必ず書き終えたものを音読して、読者が読みやすいように句読点や改行の場所などをチェックしていく、、50枚だと30分」くらいかかる、、、その30分に映像を加味していくと、ちょうど90分くらいの長さにはなるのかもしれません。」(確かに原作の言葉に映像が挟まっているという感じの映画になっている)
- 若松節朗監督「世直しの映画を作りませんか?」
- 中井貴一「日本人の持つDNAとして、そこにこだわって演じたい」「僕は”日本”というものにこだわった方がいいんじゃないかと思うようになりました。また、そういう人間を育てていくことが、これから日本人が世界で生き残っていく一番近道なのかもしれません。」
井伊直弼という人物にも興味がでてきた。1815-1860年。享年46歳。
32歳で兄の死去に伴って世継ぎとなり、藩主の死去によって36歳で藩主となる。1858年安政5年に大老に就任。通商条約を迫るアメリカに対処するため、強いリーダーシップを発揮する。条約締結に際し天皇の勅許を得ようとするが、調印推進派により調印がなされてしまう。このため反対派からの非難にあうが、関係者を弾圧する。これが安政の大獄である。安政7年1860年には恨みを買って桜田門外で暗殺される。風流人で、時代を代表する茶人でもあった。