李鐘元「G2時代の朝鮮半島と日本外交」(寺島文庫リレー塾)

夜は、日本工業倶楽部で行われた寺島文庫リレー塾のセミナーを受講。
寺島塾長:講師の李鐘元先生の紹介(日米韓の力学)と、釜山出張の簡単な報告。

  • 倭館
  • ルノー・サムソン工場見学:50万坪。日産自動車のSUV13万台を出荷。米国とのFTAの拠点として活用、利益は20%アップ。人件費はフランス100、九州130、釜山70−80.自動車の品質は平準化、デザイン性が勝負。アセンブリー。企業は液体のように国境を超えて活動している。

李鐘元(リ−ジョンワン)先生:東北大、立教大を経て、早稲田大学アジア太平洋研究科教授。早大国学研究所を主宰。
本日のテーマ「G2時代の朝鮮半島と日本外交」。

  • 政治外交と経済の現場のかい離が大きくなっている。
  • 自己紹介。1982年(第一次教科書問題)に来日。29歳から32年日本。途中2年アメリカ。1985年当たりから日本は国際化の波で一変。プラザ合意で日本の経済力が2−3倍。アジアとの接近。1989年に米ソ冷戦の終結。難民条約、国籍条項の撤廃などで日本社会が変わっていった。東北大法学部、。2000年の少し前に、日本の空気が悪くなってきた。失われた10年、失われた20年、、。日本も世界も変わってきた。
  • 合従連衡の北東アジア:中国の台頭にどう向き合うか?中韓同盟と日朝接近。合従=対抗同盟(均衡)。連衡=提携戦略(便乗)。ヘッジング(囲い込み戦略)。テザリング(ゆるやかにつなぐ戦略)。加えて、新しい選択肢としてソフトバランシング(関与しつつ対抗する)。
  • 習近平訪韓:安全保障(全面的戦略的パートナーシップ)提案。歴史共闘の働きかけ(日本への勝利70周年行事の共同開催。光復軍の再評価)。アジア経済秩序と経済協力外交(随行団200名。中韓FTAの年内妥結。アジアインフラ銀行への参加要求)。韓国側:安全保障面では「全面的」を保留、戦略的対話定例化、外相相互訪問、交流、ホットライン)。歴史共闘では、期待と戸惑い。ジグザグ対応。「提案にこたえる時間がなかった」。アジア経済では、中韓FTA年内妥結、人民元市場。投資銀行は留保。観光800万を2016年に1600万人に。
  • 韓国の対中国認識:朴・習以後は好感度62%と良好。近隣国への好感度:米・中・北朝鮮・日本。首脳への好感度:オバマ、習、安倍、金。中国:協力者61%、競争者33」%。軍事的脅威66%。中国は有事に北を支持する:35%。経済成長・肯定19%、脅威72%。中韓FTAの支持多数。総じて戸惑いもある。
  • 朴政権は親中・反日か?政策の優先順位は、韓米の深化、韓中の内実化、日韓の安定化。スタートでの躓き:麻生「南北戦争靖国参拝、侵略の定義(安倍)などできっかけを失った。反日ではなく、歴史修正主義の批判。
  • 日朝の接近:5・29のストックホルム合意は包括的な合意だった。メニューを増やした。安倍の日朝宣言の再確認。人道問題として遺骨、失踪者、拉致、在留者の4分科会、争点を拡散した。朝鮮に事実上の連絡事務所を設置。貿易・投資に向けて接触可能に。国連制裁下でも可能な措置。
  • 日朝協議の展望:米韓の懸念(米のブレーキ)。北朝鮮の方針が不明(拉致を捨て核をまもるか)。「1年をめど」の意味(来秋の自民総裁選、解散、、など政局がらみか)。対米、対中をにらみつつ進むだろう。
  • 中朝関係の変化
  • 日韓関係:歴史と領土問題、今なぜか?グローバリズムナショナリズム民主化と世論、パワートランジション(中国の台頭。米は関与とけん制。日韓は一方に傾斜)。外交安保ではEAS(東アジア首脳会議。アセアン10、日中韓、インド、、豪州、米国、ロシア、、)とCICA(アジア相互信頼醸成措置会議。ロシア、中国等ユーラシア内陸国中)の対抗。経済ではRCEPとTPPの対抗。
  • 課題:歴史問題と領土問題の噴出。
  • 日韓協力:リージョナリズム戦略。東アジア共同体日中韓サミットの創設。
  • 経済と政治のロジックは別か。中韓FTAをまず固めて、日中韓FTA、そして高い水準のTPPに対処か。低い水準のRCEP(米をはずす)と高い水準のTPP(米が入る)つないで、アジア太平洋FTAへ。欧州は安保は米を巻き込んだNATO、経済では米抜きのEUというように使い分けて利益を得ている。英国の役割を日韓で分担して担えないか。