沢木耕太郎「敗れざる者たち」

沢木耕太郎「敗れざる者たち」(文春文庫)を読了。

円谷幸吉を描いた「長距離ランナーの遺書」はすでに読んでいたので、後の5編を読んだ。
「クレになれなかった男」は、「和製クレイ」と呼ばれたボクシングのカシアス内藤。恐る恐る相手を殴り、ためらいながらボクシングをする。天才の素質を持ったまた、天才になれなかった男。
「三人の三塁手」は、巨人で長島とライバルとなったバッター難波昭二郎と土屋正孝。
イシノヒカル、お前は走った!」は、日本ダービーを制する力を持ちながらそうなれなかった天才サラブレッド馬と騎手との物語。
「さらば、宝石」は、史上三番目に二千本安打を記録した榎本喜八。狂気と天才は紙一重、天才はいつも狂気と向かい合っている、危ない均衡の中を生きている。
「ドランカー 酔いどれ」は、ボクシングチャンピオン・輪島功一。ボクシングの思想は、stand and fight。踏みとどまって闘う。

敗れざる者たち (文春文庫)

敗れざる者たち (文春文庫)

「勝負の世界に何かを賭け、喪っていった者たち」というテーマを5年間追って書き続けた作品である。
主人公たちの名前は私の記憶の中にある者たちであり、彼らの残像を想いだしながら読み進めることができた。

沢木耕太郎とは、ビジネスマン時代に広報マンとして一度会食したことがある。お互いまだ40代だった。
会社の広報誌に寄稿していただいたお礼の会だったと思う。
物静かだが、内に気迫を秘めた感じのナイスガイだった印象がある。
この「敗れざる者たち」は1976年に書かれているから、沢木は20代の後半の5年間を使って、じっくりと青春を駈け抜けた人々を追っている。
2013年に話題となった「キャパの十字架」は読んだが、1979年に大宅賞をとった「テロルの決算」、新田次郎賞をとった「一瞬の夏」などの作品を手にしたい。
沢木耕太郎はノンフィクションの新しい方法論を模索しながら、着実に進化を重ねているようだ。

サイボクハムの笹崎静雄社長からいただいた「カンブリア宮殿」(2014・07・24)のDVDを観る。
「豚のテーマパークで400万人集客---ニッポン養豚の開拓者が挑む食ビジネス」。

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命日

  • ゲーテ
    • 仕事は仲間をつくる。
    • この地方を説明せよというのか、先ず自分で屋根に登りなさい。
    • 急がず、休まず。
    • かたいものは噛まねばならない。喉がつまるか消化するか、二つに一つだ。
    • 大切なことは、大志を抱き、それをなし遂げる技能と忍耐をもつことである。その他はいずれも重要ではない。
    • 真の知識は経験あるのみ。
  • 城山三郎
    • 現場にはあらゆる人生の材料がころがっている。その中から、自分で問題をつかみ、その問題をひろげ、深めて行くことである。
    • 一作をつくるときは、その一作で勝負すること。
    • やれたかも知れぬことと、やり抜いたことの間には、実は決定的な開きがある。
    • 静かに行く者は健やかに行く。健やかに行く者は遠くまで行く。
    • 自分を知るまでは他人を本当に知ることはできない。他人を知るまでは自分自身を本当に知ることはできない。
  • 丹下健三:機能的なものが美しいのではない。美しきもののみ機能的である。

誕生

  • 佐久間象山:士は過ちなきを貴ばず、善く過ちを改むるを貴しとなす。

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