桐野夏生「抱く女」

月曜日の朝は、昨日のブログを書いて、今週のメルマガを出すのが日課だ。
ブログは3968日。メルマガは995号。両方とも夏の間に記録を達成する見込み。

今週は、取り組んでいる本の原稿書きに集中する予定。
近所の喫茶でやったが、図書館よりも少しざわざわしているのが返って集中できる。

桐野夏生「抱く女」(新潮社)を読了。

抱く女

抱く女

桐野夏生のハードな小説は「東京島」「ナニカアル」「魂萌え」などいくつか読んでいる。

今回の主人公・直子は1972年に20歳の女子大学生。どこにでもいる普通の女の子だ。
ジャズ喫茶、学生運動、ブント、JBL、「構造人類学」、セブンスター、FEN、「麻雀放浪記」、吉本隆明連合赤軍岡本公三内ゲバ浅間山荘事件、革マル、「我が心は石にあらず」、リブ、中ピ連、北爆、、、。これに恋愛が絡み合いあながら、直子は自分の居場所への突破口を見つけていく。

1972年9月から12月までの4か月間の物語である。この時期は私の大学の最後の年だから、登場する書籍や事件には覚えがあるから臨場感を持って読むことができた。

「男が自分を欲していることで、自分という女が成り立っているような錯覚を起す」段階から、「私は抱かれているのではなく、好きな男を抱いているのだ、と大声で叫びたい気持ちだ。」という所までの飛躍、アイデンティティの確立がこの本の主題だろう。その主題が「抱く女」というタイトルになっている。

桐野には珍しいが、いつの時代も変わらない青春を描く小説だった。