「サピエンス全史・下巻」(ユヴァル・ノア・ハラリ)

「サピエンス全史」(ユヴァル・ノア・ハラリ)下巻を読了。

サピエンス全史(下)文明の構造と人類の幸福

上巻に続き、人類を巡る壮大な物語を読み終わった。

  • 135億年前に物質とエネルギーが現れる。45億年前に地球が形成される。38億年前に有機体(生物)が出現する。250万年前にアフリカでホモ(ヒト)属が進化する。
  • 20万年前にホモ・サピエンスが進化。7万年前に認知革命が起こる(言語。歴史)。1.2万年前に農業革命が起こる(植物の栽培と動物の家畜化。定住)。500年前に科学革命が起こる(無知。地球全体。資本主義。宗教)。200年前に産業革命が起こる(国家と市場)。
  • 今日は、人類が地球という惑星の境界を超越し、核兵器が人類の生存を脅かし、生物が知的設計によって形づくられることがしだいに多くなる。
  • 未来は、知的設計が生命の基本原理となるか?ホモ・サピエンスは超人たちに取って代わられるか?

宗教は帝国や貨幣の出現と同じように人類の統一に不可欠の貢献。多神教は宗教的寛容を促す。あるがままを経験する仏教

科学革命は無知から生まれた。永遠の命。軍事・産業・科学複合体。近代科学(エネルギーの転換)と資本主義(成長。信用。進歩)。統合された人間社会の歴史。政府は資本主義の手先に。消費主義という価値体系。投資と購買。家族とコミュニティの崩壊。個人の誕生。

人類は幸せになったのか?第二次大戦以降に平和になったのは核兵器の脅威が原因。幸福は客観的条件と主観的期待の相関関係で決まる。心の空調システム。自由という宗教。仏教は幸福を重視。人々の幸福は増したか?。人類は自然選択の法則を打ち破りつつある。後釜は知的設計の法則。

1.生物工学:生物学レベルへの人間の介入。去勢。性転換。超人の設計。社会構造の改変。天才。

2.サイボーグ工学:有機体と非勇機体の器官の組み合わせ。バイニックイヤー。網膜プロテーゼバイニックアーム。脳とコンピュタのインターフェイス。インター・ブレイン・ネット。

3.完全非有機体の創造:コンピュタプログラム、コンピュタウイルス。デジタル方式の心。ヒューマン・ブレインプロジェクト。

シンギュラリティ(特異点):ビッグバンという特異点。新たな特異点か。DNAによる個別化医療、保険、就職。再考を迫られる法律家、政府、スポーツ団体、教育機関、年金基金労働市場。私たちは何になりたいのか?何を望みたいのか?

自分が何を望んでいるのかもわからない、不満で無責任な神々ほど危険なものがあるだろうか?

 

「名言との対話」12月27日。大谷竹次郎

「わが刻はすべて演劇」

小学校卒。13才、九代目団十郎に感激し演劇事業への夢を持つ。25才、明治座の座主、松竹剛明。27才、代表社員。33才、東京は竹次郎、大阪は松次郎の体制。46才、関東大震災で映画館22館を失う。48才、松竹キネマ:社長は松次郎、専務が竹次郎。78才、文化勲章。85才、勲一等瑞宝章。この両賞をもらった芸能関係者は大谷のみ。
歌舞伎の保護者・大谷竹次郎は、挨拶・スピーチの名人だったと多くの人が回顧している。知仁勇の三徳を備えた人という評価もあったが、猜疑心と嫉妬心の強い人だったと回顧している人もいたのは面白い。
1877年生まれの白井松次郎(1951年74才で没)と大谷竹次郎(1969年、92才で没)という双子の兄弟が創立した「松竹」という会社の名前は、この兄弟の松と竹からとったものである。この二人は「東の大谷、西の白井」と並び称されていた。

「私の事業的信念は、それが世に価値のあるものならば、数字的に自信がなくとも、正しく行えば成し遂げられるということである。」

「同じ事業をやるなら、人間は自分が好きな事業に手を出すべきだ。」

13歳から92歳まで、全生涯にわたって演劇に邁進した大谷竹次郎。「わが刻はすべて演劇」と言い切っているのはすがすがしい。こういう言葉を吐けるか?