映画「ロレンツォのオイル」

  • 自宅で映画「ロレンツォのオイル」のDVDを観る。
    • 難病副腎白質ジストロフィーに悩むひとり息子ロレンツォを助けるため、間断なく解決策を探す銀行家のオドーネ夫妻の実話に基づく物語。映画の中ではロレンツオは2年で死ぬと言われたが、両親の超人的な努力の甲斐もあり、やや回復する。
    • 後で調べるとロレンツォは30歳まで生きていた。

「名言との対話」1月19日。勝海舟

  • 「内でけんかをしているからわからないのだ。一つ、外から見て御覧ネ。直にわかってしまふよ。」
    • 人材の払底した徳川幕府の幕引きを見事に果たした勝海舟。1月19日は命日。
    • 父の勝小吉の自伝「夢酔独言」は、「おれほどの馬鹿な者は世の中にもあんまり有るまいとおもふ」から始まり、最後は「よくよく読んであじおふべし。子々孫々まであなかしこ」で終わっている。この無頼の血筋が、歴史の大舞台での海舟の大胆な偉業に活かされているように思う。
    • 息子の海舟の自伝でもある「氷川清話」もいい。幕末から明治にかけての人物評が面白い。藤田東湖「本当に国を思うという赤心がない。」、西郷南洲「いわゆる天下の大事を負担するものは果たして西郷ではあるまいか」、佐久間象山「物識りだったヨ。、、しかし、どうも法螺吹きで困るよ。」、木戸孝允「西郷などと比べると非常に小さい。しかし綿密な男さ。使い所によりては、ずいぶん使える奴だった。」、陸奥宗光「ひとの部下について、その幕僚となるに適した人物、」、、、。勝海舟の人物を見る眼は冴えている。
    • 人がその人を外から書いた伝記より、自己弁護も含めて自分で自分を内から描く自伝を私は好きだ。海舟という英雄が現れるにいたった親やその一つ前の世代の雰囲気を知ることができる。、また難局に挑む当事者である海舟という人物を持った国の幸運を感じざるをえない。
    • 時代の流れが見え、世間の動きも承知し、そして自分の属す幕府の腐敗と疲弊と貧しい力量も知っていたこの男が、組織の命運をかけて保守側の切り札としての役回りが巡ってくる。その海舟は背後から弾を撃ってくる輩に憤懣やるかたなかっただろう。知恵があり、実務的才能がケタはずれだった海舟の英雄的心持はむしろ敵側が知っていた。内でけんかをしているのは、外が見えないからだ。海舟のこの言葉は内部に目が向かいがちな我々に目を開かせてくれる。