樋口ゼミのコンサート。池澤夏樹「知の仕事術」。伊藤整。

池澤夏樹「知の仕事術」(インターナショナル新書)を読了。

知の仕事術 (インターナショナル新書)

現在刊行中の池澤夏樹個人編集「日本文学全集」全 30巻を毎月買っているので、馴染みのある作家である。一度、講演をオーディブルで聴いたことがあり、その後数冊の小説を読んでいる。

池澤がノウハウを公開した軽い読み物だ。

  • 新聞書評を30年続けている。計1000冊を超える。最初の3行でどういう本であるか、つかみを入れる。内容やあらすじを説明。どこがいいかの勘所を伝える。最後は粋に締める。
  • サイト「日本の古本屋」でたいてい手に入る。
  • イギリス人は伝記が好き。バイオグラフィーを示すBという棚があるくらい。「キュリー夫人伝」(エーヴ・キュリー)。「ガロアの生涯--神々の愛でし人」(レオポルト・インフェルト。日本評論社)。
  • 中野重治記念文庫(福井県坂井市丸岡町)。
  • 取材。見たもの、思いついたアイデアなどのキーワードをメモ帳に。その日の晩か明け方にパソコンで詳しいメモに再構成。日付、行動、見たもの、聞いたもの、誰に会ったか、どんな話を聞いたか。展示物とプレートも撮影。知的生産は技術によって支えられている。テクノロジーが変わったら生産方法も変わる。
  • IPhone6プラスとMacBook Air。消せるタイプの三色ボールペンフリクション)。トランクはRIMOWA。
  • 海外には「ロンリー・プラネット」を持参。650タイトル。「ギャップイヤー」の巻。「BLUE GUIDE」も役に立つ。遺跡などが丁寧に記述。日本語訳はない。
  • 講演:メモをつくる。全体の流れ。数字、年号、人名。
  • 海外サイト:ウィキの英語版は極めて充実。ガーディアン、ニューズウイーク日本版サイト。
  • 引用句辞典。英語版も楽しい。1冊に数千項目。「叡智の断片」(文庫)。
  • すぐに絶版となるから防護策として電子出版。だれでも読めるようにしたい。

 

「名言との対話」1月16日。伊藤整「真実な人間とは自己の青春を終えることのできない人間だと言ってもいい。」

伊藤 整(いとう せい、1905年明治38年)1月16日 - 1969年昭和44年)11月15日)は、日本小説家詩人文芸評論家翻訳家位階正五位勲等勲三等。本名は伊藤 整(いとう ひとし)。日本芸術院会員。社団法人日本文藝家協会理事東京工業大学教授、社団法人日本ペンクラブ副会長、財団法人日本近代文学館理事長などを歴任した。

戦前・戦中は詩壇・文壇でのみ知られた存在だったが、戦後は旺盛な著作活動に加え、「女性に関する十二章」や小説「火の鳥」などがベストセラーになる。また伊藤が翻訳した「チャタレイ夫人の恋人」がわいせつ文書にあたるかというチャタレイ裁判で有罪となったの影響もあり、もっとも著名な評論家の一人となった。

小説家の渡辺淳一は「君ね、できたら一度でいいから、ベストセラー作家になりなさい」ベストセラーを出すと人が寄ってきて、「書いてくれ、書いてくれ」とせかされ、追われて、そこで初めて隠れていた自分の能力を引き出される。ベストセラーを出した人間とその経験のない人間では力のつき方が違う」「だから、一度はスターに、時代の寵児になりなさい」と言われた。そしてその通りの人生を送った。

「勉強の仕方さえ教えればそれでよい。後は自分でやれるはず」

「いつも自分を少しだけ無理な状態の中に置くようにしなさい」 

「家庭という宝物は壊れて失われる時に、はじめてその真の価値を当事者に認識させる。

伊藤整の人生遍歴を眺めると、東京商科大学中退後は、金星道編集部、日大講師、新潮社文化企画部長、帝国産金(株)工場、北海道帝大予科講師、日本文芸協会理事、早稲田大講師、東京工大専任講師、教授、日本ペンクラブ副会長、日本文学館理事長、、、など常に変化していることがわかる。自己の青春を終えることのない真実の人間であった。

 

「副学長日誌・志塾の風170116」

同僚の樋口先生のゼミが主催する音楽会は、すでに多摩大の名物になっている。

樋口先生の卒業記念コンサート。「ドイツ・オーストリアを巡るピアノトリオ・コンサート」が仙川のホールで開催され夫婦で鑑賞。多摩大関係者も多数参加。

石田泰尚:神奈川フィルの顔。ヴァイオリニスト。腕が素晴らしく良く、そしてスタイルがユニークな天才だ。

山本裕康:神奈川フィル首席奏者。チェリスト

諸田由里子:ピアニスト。

以上の3人による素晴らしいコンサートだった。

 

終了後、このホールの理事長でもある小中陽太郎先生らと多摩大の同僚達で打ち上げ。

樋口先生の立教時代の恩師、ジャパンタイムスの編集長、音楽家などと楽しく歓談。

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小中先生の近著「上海物語」(未知谷) をいただく。早速読んで書評を書こう。

 上海物語 あるいはゾルゲ少年探偵団