リレー講座は、国谷裕子先生。テーマは「SDG' sが問いかけるもの」。

リレー講座は、国谷裕子先生(キャスター。東京芸大理事)。テーマ「SDG'

sが問いかけるもの」。

  • 寺島学長の紹介「リレー講座14.5万人。国谷さんはNHKのクローズアップ現代」を23年間続けた。帰国子女。視界の広さ、重心の低さ。フォーリンアフェアーズで「没落する同盟国とどうつきあうか」という巻頭論文がでた。英国と日本だ。平成が始まった頃、日本を除くアジアのGDPは日本の3分の1だったが、現在は日本の4倍。世界におけるGDP比は16%だったが、現在は6%。15年後の2035年には3%になる。それは江戸時代と同じ」
  • 持続可能な開発目標(Sutainable Development Goals)は2030年の世界目標。ゴア「産業革命の規模とデジタル革命のスピード」。グレタ(16歳)「1.5度の気温上昇は火事。恐怖の共有と行動を」。ITCCの「1.5度報告書」では達成するために2030年までにCO2を45%削減、2050年にゼロにする必要がある。2015年のパリ協定では21c末までに2度上昇に抑えるとされていた。もうすでに1度上昇し、2030年までに1.5度か。スピードが速く、明確に。これが極端な高温、降雨量、干ばつの原因。すべての国が行動しなければならない。資金の流れも大胆に変えよう。2030年に向けて、SDG’sとパリ協定を実行しなければならない。
  • SDG’sには17の目標と169のターゲットがある。地球温暖化の防止。飢餓人口ゼロ目標、しかし8.21憶人と増加中。責任ある生産と消費という目標のためには2030年までに食糧廃棄を半分にする必要あり。米・仏・日で3割。食糧支援が必要な1.7倍の食べられる643万トンが廃棄されている。金融の世界でも2006年責任ある投資原則(PRI)。2012年責任ある保険原則(PSI)、2016年責任ある銀行原則(PBR)。
  • SDG’s。個別解決ではなく、つながっている他の課題も考慮。統合的取り組み。ゴールは設定、やり方は自由。水資源、2050年までに4分の1が淡水不足で移住、7億人が故郷を離れる。地球の悲鳴に耳を澄まそう。我々は救う可能性を持つ最後の世代か。
  • 地球はシステム。SDG’sの目標はガードレール。CO2の増加による地球温暖化が原因の異常気象(フランス45.9度、北海道39.5度、巨大台風、大雨。森林の減少による生物多様性の減。100万種)。この1万年は安定していたが、気温は上昇中。CO2は増加中。後5年で42ppm。350がガードレール、450を超えると不安定に。もとに戻れない。最近の言葉に「クライメートジャスティス」(環境正義)がある。1950年以降70年でレジリエンス「回復力」「復元力」「弾力性」)を失いつつある。地球環境は経済の土台だ。新しいモデルが必要だ。
  • 2019年の世界人口73-75憶人。2050年98億人。食糧生産は50-70%の増産が必要。FAO2017年白書「深刻な環境破壊。化学物質の流入、水資源の不足。農業改革。緑の革命」。貧困と飢餓の撲滅。生産性向上も必要。消費者も食習慣を変えるべきだ。牛肉は豚肉の3倍だ、減らすべき。SDG’しゃ課題のリスト。「死んだ地球ではビジネスはできない」。手助けするビジネスだけが生き残る。イノベーション、テクノロジー、。新しい経済モデルは環境再生の循環型経済。脱炭素、石油原料のプラスチック製品の再利用、たい肥化。これにペプシ、ウオルマート、マーク・スペンサーなど11社、現在350の政府と企業が参加。セブン、サントリーも。気候変動問題は、早く手を打たねばならない。

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午前:近藤秘書と「アラハン賛歌」「図解全集」の進め方を相談。明日の授業の準備、テーマは本日公示の「参院選公約」にしよう。

昼休み:総研ミーティング。松本、長島。

高橋さん来訪:知研と地研の協力の本。

北高の松田君に電話」「邪馬台」の連載の書き手がなかなかいない。

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帰宅後:ジムでウオーキング30分(後半は5度の坂道に)。筋トレ(左足中心)。ストレッチ。2時間コース。

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「名言との対話」7月4日。江川卓ドストエフスキーはいまだに「われらの同時代人」」

江川 卓(えがわ たく、1927年1月24日 - 2001年7月4日)は、東京都出身のロシア文学者東京工業大学教授。

50年代半ばから、ドストエフスキーの『貧しき人々』『地下室の手記』『罪と罰』『悪霊』『カラマーゾフの兄弟』などの翻訳を手がけ、パステルナークの『ドクトル・ジバゴ』」、ソルジェニーツィンの『イワン・デニーソヴィチの一日』など、ロシア文学作品の翻訳や研究で活躍した。難解とされてきたロシア文学を、明快で現代的な日本語に訳し、ドストエフスキーの翻訳に一時代を画した。また、著書には、読売文学賞を受賞した『謎とき「罪と罰」』、『謎とき「カラマーゾフの兄弟」』などがある。

「無意味なデテールや無駄な言葉が、ほとんど皆無に近い、驚嘆すべきテキストなのだ。文字どおり、一つ一つのことば、その多義的な意味と文体の背後に、神話、フォールロア、古今の文学、時事問題にいたる、広大な地平の存在が実感できる。そひてそこに、おのずと多層的、立体的な小説世界ができあがっている」と、江川はトルストイと並ぶ文豪・ドストエフスキーの魅力に取りつかれている。私は大学生時代に『罪と罰』を読んだが、そこまでの魅力は感じなかった。今考えると、翻訳の問題もあったのかもしれない。改めて、江川卓の翻訳本と、最近話題になった亀山郁夫本を手にしたい。

本名は「馬場宏(ばば ひろし)」。ペンネームの「江川卓」(えがわ・たく)は、中国の揚子江で酒を呑んだらうまかろうという思いからつけたペンネームだ。その後、巨人の怪物ピッチャー・江川卓(えがわ・すぐる)が登場する。読み方は違うが同姓同名の二人の江川卓は後に月刊Asahiの企画で対面している。その席上、1978年のドラフトの際に「たく」が「すぐる」に間違われて迷惑がかかったことについて、怪物・江川卓が文学者・江川卓に謝罪している。私も書店で「たく」の本をみて、一時、混乱していた記憶がある。

ドストエフスキーは死後100年以上にわたり、その後起こる事件や現象を、驚くべき正確さで先取りし、人々の心理、気分を洞察していた。江川卓が、ドストエフスキーは同時だ人というゆえんである。優れた作家は時代を先取りする。後に読んだ私たちは同じ時代を生きているのではないかと共感する。1000年前に書かれた源氏物語が今なお日本人の心を打つのは、人間の本質を描いており、同時代感覚を持てるからだろう。ドストエフスキーという巨人を発見し、生涯をかけて挑んだ江川卓は汲めども尽きぬ魅力を知り、それを伝える仕事を天職とした人だ。 

ドストエフスキー (岩波新書)

ドストエフスキー (岩波新書)