「たましん美術館」

立川駅北口にできたグリーンスプリングスの玄関口にできた「たましん美術館」を訪問。多摩信用金庫の新本店・本部棟の建物内の一階といういい場所にできた美術館だ。

1974年の多摩中央信用金庫の新本店ビルに「たましん展示室」を開設。1977年、「たましんギャラリー」と改称。1987年、国立支店に「たましん美術さろん」を開設。そして2020年にたましん御岳美術館の作品も収容した「たましん美術館」が開館。

3つの分野で構成されている。日本近代美術。東洋古陶磁。多摩の作家。

開館記念の展覧会は、第一期「たまびらき」(日本近代美術コレクション)。第二期「東洋古陶磁展」。第三期「足跡 1974-2020」。

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  「日本近代美術コレクション」展は、絵画22点、彫刻3点(荻原守衛「女」高村光太郎「手」)だった。「独立独歩の人」のコーナーには、熊谷守一の作品が2点あった。

日本画と洋画の違い:日本画は絹、紙に墨、顔料、染料で描く。

日本近代武術の歴史をわかりやすく解説:工部美術学校。洋画排斥運動から189年の明治美術会(浅井忠)。白馬会(黒田清輝・久米圭一郎)。1901年太平洋画会。1911年光風会。中村屋サロン(1910-1920年代)。白樺派(1910年)。草土社(1915年。岸田劉生)。1907年文展(白馬会・東京美術学校中心)1914年二科展。独立美術協会。梅原・安井時代。

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後姿探検隊。

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午前:大学で打ち合わせ。

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「名言との対話」6月18日。加藤剛「役に学び、役に生きる」

加藤 剛(かとう ごう、1938年2月4日 - 2018年6月18日)は、俳優

高校時代、父の書斎で見つけたチェーホフの戯曲に魅せられ演劇を志す。早稲田大学文学部演劇学科卒。テレビ『人間の条件』でデビュー。『大岡越前』で長くお茶の間に親しまれる。一方で『忍ぶ川』『砂の器』『マクベス『夜明け前』伊能忠敬物語』などの映画や舞台で活躍した俳優である。徹底して資料を読み込み、主人公ゆかりの地を訪ねて役作りをすることでも知られた。役に学び役に生きた、俳優一筋80年の生涯だった。

加藤剛は舞台俳優の仕事をどうとらえていたか。加藤剛『こんな美しい夜明け』(岩波書店)に探った。装画は同じく俳優の榎本孝明。

 「知的興奮を伴う大衆劇」「役者人生はいつも「役」と同業二人の宿命的巡礼旅」「私たちのステージワークは、創り出した瞬間が消える瞬間でもありますから、後世になって再評価されるということはまず絶対にない。あくまでも現世の、それも劇場にお越し下さった方々から評価をいただく他ない分野です」。「(過去の若きおのれという)敵を越え、つねに自己の最高記録を更新する宿命のために走る、長距離ランナーの孤独」「他人の人生がわが人生」

人間の証明」の梶。大岡越前守。伊能忠敬平将門。コルチャック先生。ジンギスカン。宗助。刈谷嘉顕(「獅子の時代」)、、、と加藤が取り組んだ人生は多い。これらをこなすという人生の醍醐味を感じてたのだろう。

今回、加藤剛が日記がわりに俳句を詠んでいたことを知った。以下、作品。

美しき夢の続きや去年今年。誰が吹く星飛ぶ屋根のハアモニカ。木曽路より夢見る男戻りけり。樹影濃く吉永小百合夏帽子愛染めをゆるやかに着て新茶かな。この世をば秀句のごとく生き給ふ(戸板康二を哀悼)。裃で踏む薄霜や奉行われ(「大岡越前」)

この役者を私は真面目過ぎるという印象を持っていた。医者の友人は「オマエみたいなマトモスギ人間」と語っている。そして長男・諒も、「声を荒らげて怒ったことは1度もありません。いい俳優になるということよりも、“人間として上質であること”、“人間として美しい生き方をすること”、“人に恥じない生き方をすること”を常に優先していたんじゃないかと思います。あれだけ嘘がない人はいないですね。人の悪口を言ったことは1度もなく、常にいい部分を見ていました。だから僕も怒られたことがなかったのかもしれません」「自分のやっていることと役のキャラクターが見事に一致した稀有な例ですよね。いい人の役をやっている人が、本当にいい人とは限らない世界ですから。父は大岡越前そのものでしたよ」と人柄を伝えている。たばこは吸わない、さけもやらない、ギャンブルもしない、そして家族を大切にした人である。

NHK「あの人に会いたい」では、「役の心に近づこう そう思いながらやってきた」と語っている。改めて加藤剛の「平将門」などの作品をみたが、やはりいい役者だと改めて思った。

 加藤剛は24歳の1962年の『人間の条件』から始まり、「舞台」「映画」「テレビ」の仕事を間断なく続けた。男の生き方の美しさを求めながら、役に学び、役に生きた生涯だった。享年80。

 

 

こんな美しい夜明け

こんな美しい夜明け

  • 作者:加藤 剛
  • 発売日: 2001/08/02
  • メディア: 単行本