本の日:市ヶ谷の出版社で単行本の打ち合わせ。日本橋で小杉小二郎展と共著の打ち合わせ。神保町古書店で古書を購入。

市ヶ谷のNJ出版社で、手がけている単行本の件で、編集者と打ち合わせ。ようやく形になってきたので、進めていきたい。この本もある意味での集大成でもあるので、いい本にしたい。

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日本橋高島屋で「小杉小二郎展」。中津の松田君と歓談中の小杉先生にもご挨拶。会場に掲げられた絵をみる。「日常からの遁走 穏やかに時は流れ」という副題のようないい時間を過ごす。最高は1000万クラスの値付けだった。先生への御礼の挨拶のあと、松田君と蕎麦屋で昼食を摂りながら、彼の川柳と私の写真の組み合わせの本の進行状況を確認する。来月は東北復興ツアーに参加だとか。次の中津北高の同窓会も話題に。

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 神保町の大雲堂で、問い合わせ中の「明治過去帳」を出してもらって内容を確認する。店内で見かけた「日本近現代人名辞典」(吉川弘文館)の方が私のニーズにあうようなので、こちらを購入。本分1181ページと索引等203ページの計1484ページという大著なのに、3500円という安さだった。また「大正人物逸話辞典」も購入。古書店巡りも再開しよう。

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「名言との対話」9月17日。石井高「ヴァイオリンに生きる」

石井高(1943年?-2015年9月17日)は、バイオリン製作者。

東京下町育ち。東京理科大学応用化学科中退。ヴァイオリン製作家の内弟子を経て、単身イタリアにわたる。1970年からヴァイオリンの故郷であるイタリアのクレモナに永住。クレモナは人口は7万人ほど。イタリア国立ヴァイオリン製作学校卒業。1975年、楽器つくりの名人を意味するマエストロの称号を受ける。1980年、クレモナ市民賞(ストラディヴァリ賞)受賞。ヴァイオリンをはじめ弦楽器製作、講演会など、幅広く活動。ストラディヴァリやグァルネリなど名器の鑑定や修理に携わる。日伊文化交流にも尽力した。1998年、当時の皇太子殿下にヴィオラを製作し、現在もご愛用中である。2013年、広島の被爆ヴァイオリンを修復している。

1582年に、九州のキリシタン大名たちがローマに派遣した天正遣欧少年使節団の4人の少年がクレモナにやってきてたことが分かる。そして天正遣欧少年使節団一行は豊臣秀吉の前で演奏をした」という記述を発見。彼らが観たヴァイオリンは時代的にもアマティのものであるに違いない、と確信し、秀吉が聴いたヴァイオリンの復元を始め、1989年に完成。「秀吉が聴いたヴァイオリン」に詳しい。

使節団が出発した長崎の「ながさき旅ネット」のともっちさんのインタビューを見つけた。「この曲をアマティーのヴァイオリンで聴いてみたいなぁ」という父の言葉がヴァイオリン制作へのきっかけとなったと答えている。現在のヴィオリンは、ニコラ・アマーティ(1505-1579)が完成させ、アントニオ・ストラディヴァリ(1644説・1648説-1737)が、広めたものだという。ヴァイオリンの材料は、モミやカエデで、アマティの色に似た濃い赤のヴァイオリンを作る努力を重ねる。茜色の天然のニスを50回も塗る。今では、その赤は、石井レッドといわれる。

「ヴァイオリンに生きる」という本では、「ヴァイオリン作り50年。イタリア・クレモナ在住の職人が修業時代からストラディヴァリの秘密までヴァイオリンの魅力を存分に語る。故郷、師匠、家族、クレモナの生活…人とヴァイオリンの魂の交流!」と本の紹介にある。まさに、ヴァイオリン制作一筋の道を歩いた人である。

石井高のヴァイオリン人生は、400年以上前の天正遣欧少年使節団から、ビオラ演奏者でもある現在の天皇陛下にもつながっていることに感銘をおぼえる。「ヴァイオリン」という小さな窓から、石井高には世界と日本の歴史もみえていたのである。

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