TOKYO MXテレビで「寺島実郎の日本再生論」の第5弾「コロナを超える世界観」ーー全体知。

TOKYO MXテレビで寺島実郎の「日本再生論」第5弾「コロナを超える世界観」。

図メモをとりながら聴いた。本日のテーマは「全体知」だった。

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  •  コロナ半年間の総括:全体知の大切さ。生命科学、人類史、社会科学、、、。

・感染者の拡大? PCR検査は5月25日(27万件)から4か月後の9月16(176万件)まで149万件の増加。検査数が増えているから感染者が増えるのは当然のこと。

・専門性の誤謬? 42万人の死、8割接触を絶つ。そうはならなかった。

・ウイルスの性格? 感染力が強い。弱毒性。致死率は5月3.25%、9月16日1.91%、12月には1%未満の予測(0.5%以下か)あり。死者「1位のガン37.6万人、2位の心臓20.7万人、3位の肺炎19.3万人。肺炎の中に含まれるインフルエンザは3500人、コロナ1500人。因みに自殺者は1.9万人、このうち若者は5000人、これは大問題。

世界経済2020年:年初3.3%成長。4月▲3.0%。6月▲4.9%。直近OECD予測▲4.5%。

アメリカ:6月▲8.0、OECD▲3.8%。ユーロ:6月▲10.0%、OECD▲7.9%。日本:6月▲5.8%、OECD▲5.8%。中国:6月1.0%、OECD1.8%。直近のOECD予測は強気の方向。

  • コロナと国際関係

9月16日に菅政権が発足。内向き。世界情勢の変化、国際力学の変化。2000年のGDP:アメリカ30.3%、日本14.4%、英国4.9%、米日英は49.6%(半分)。2019年はアメリカ24.8%、日本6.0%、英国3.2%、米日英で34.0%(3分の1)。ワシントンの見方「同盟国の衰退。新しい同盟関係を探ろう」。

  • 米中2極論?

米中2極論は間違いだとずっと言い続けてきた。これでは日本はアメリカの追随するしかなくなる。米中新冷戦の時代も間違いだ。米ソ冷戦はイデオロギー対立、体制選択がテーマ。米中対立は自国利害の対立に過ぎない。

・中国の失敗:香港の民主化の弾圧では失ったものが大きい。7000万人の在外華人華僑(東南アジア3300万人)の信頼を失い警戒されている。中国は台湾からの資本と技術で成長してきたが、台湾を締めあげている。逆に蔡英文の再選、コロナマネジメントの成功など「脱中国」のシンボルになっている。アメリカはF19戦闘機売却、合同軍事演習への参加など台湾を支援している。台湾にアメリカの軍事施設はないから、米中衝突があると沖縄と岩国の米軍基地によって日本は巻き込まれる。南沙諸島問題、、。

アメリカの失敗:同盟国との関係の変化。欧州における影響力の低下:英国のBREXIT(12月末)。英国はアメリカを孤立させない役割を持っていたのだ。米独関係では9月までに3.6万人の在独米軍を1.2万人削減。軍事費をGDPの2.0%要求にドイツが応じなかったため。削減は主に南ドイツの空軍基地、ロシア・中東を睨む重要な拠点。アジアにおける影響力の低下:韓国での失敗。アメリカは負担を4倍にと要求、韓国は13%増と応じた。トランプへの失望から中国への接近を図っている。北朝鮮は核よりもコロナが話題になり孤立化。欧州、アジアを含めアメリカの軍事と政治のプレゼンスが後退している。

米中いずれも一極を形成する力はない。米中2極論ではやっていけない。

・「Octoberサプライズ」、切り札として戦争カードを切るか?軍事的緊張を演出。中東、南シナ海、東アジア、、。

・日本:1972年の沖縄返還協定では尖閣の施政権は日本へ返還された。だが今、アメリカは日本の領有権を認めてはいない。同盟責任は果たすとしているが、あいまい作戦をとっている。中国は尖閣について人民解放軍と一体となって圧力をかけている。日米同盟を試すように。日本はアメリカへの過剰な期待と甘えの国。自立自尊を!アジアの目線を意識すべきだ。成熟した資本主義国家・安定した民主主義国家である日本はアジアの安定に必要、第三の選択肢への期待がある。

コロナは社会総体にインパクトを与えている。コロナはフラットに迫ってくる。死者は高齢者に多い(7割)。富の逆進性があり、上層の高齢者はマネーゲーム。中層はテレワーク。下層のエッセンシャルワーカー(宅配、スーパー、コンビニ、、)は若者が中心、非常勤が中心。感染リスクにさらされている。世代間ギャップがある。インパクトギャップがある。首都圏(一都3県)の3673万人のうち、924万人は65歳以上。国道16号線の公団、ニュータウン、マンションに工業生産モデルの戦士たちが住んでいる。食料自給率は東京1%、神奈川2%。それをエッセンシャルワーカーが支えている。コロナ問題を考えるには全体知が必要だ。

  • 提言

メディアは真実を伝えていない。宮沢賢治の詩「生徒諸君に寄せる」。新たなコペルニクスマルクスダーウィンよ」。宗教観を含む視界の広さ。高村光太郎は「コスモス(宇宙)のある詩人だ」と語った。10月から始まる新番組「世界を知る力」で全体知を持った世界観を探っていきたい。

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「名言との対話」9月26日。ジャック・ルネ・シラク「光であっても闇であっても国の歴史と向き合うことは、未来と向き合うことに等しい」

 ジャック・ルネ・シラク1932年11月29日 - 2019年9月26日)は、フランスの政治家。

裕福なユダヤ系の家庭に誕生。フランス国立行政学院(ENA)を卒業。34歳、 国民議会議員に初出馬し当選し、ポンピドー首相、大統領時代に以下の要職をこなす。社会問題相付雇用担当大臣、経済・財政相付大臣、首相付議会関係担当大臣、農林・地方開発大臣、内務大臣。42歳でジスカール・デスタン大統領の下で首相。パリ市長(1977年から1995年)。社会党ミッテランと初の大統領選を戦い敗れる。54歳、首相。再びミッテランと争い敗北する。

1995年に三度目の大統領選でミッテランに勝利し、第22代フランス大統領第五共和政)となる。2002年には極右の国民戦線のマリー・ル・ペンらを破り欧州統合を推進した。在任は1995年5月17日 - 2007年5月16日。 シラクは日本びいきで40回以上来日している。大相撲ファン

シラクの著書 『ジャック・シラク』を読了した。この本はシラクの演説集で、1942年の7月のフランス・ヴィシー政権の1万3千人以上のユダヤ人の監禁、強制送還事件について、ナチという「占領者の罪深い狂気に手を貸したのは、フランス人とフランス国でした」とし、取り返しのつかないことをしたと大統領として国家の責任を初めて認めている。

前任のミッテランは共和国としてもフランスとしても関係がないとしていた。また、2017年の大統領選でもル・ペンは「フランスに責任はない」と主張してたが、マクロンが当選した。新大統領は「フランスに責任があった」と述べている。

第二次大戦中のフランスにおける惨劇をナチスの蛮行とし、フランスは被害者だとする考えは根強いものがあり、現在でも論議になっている。日本においても負の歴史を直視する人々と光を強調する人々の戦いがながく続いている。光と闇が存在する全体としての歴史に向き合うことが未来に向き合うことになるというシラク歴史観を改めて意識したい。