立志人物伝の11回目の授業。テーマは「修養・鍛錬・研鑽」。取り上げた人物は「安岡正篤」「新渡戸稲造」「野口英世」「二宮尊徳」「本多静六」「佐藤一斎」。

志人物伝の11回目の授業。テーマは「修養・鍛錬・研鑽」。取り上げた人物は「安岡正篤」「新渡戸稲造」「野口英世」「二宮尊徳」「本多静六」「佐藤一斎」。

前回のアンケートで、次のような要望があったので、冒頭に以下の言葉を紹介。

・スポーツ関連の偉人について話を聞きたい。ゴルフの偉人がいれば聞きたい。・もっと現代的な人物で私たちに近い人物のことを知りたいと感じた。・以前の講義の手塚治虫や今回の宮崎駿のようなアニメや映画に関する人物をもっと講義で取り上げてほしい。・生きている有名な人物について取り上げてほしい。

  • 平野歩夢「いままでやってきた積み重ねは、全部意味があったんだなと思いました」
  • 羽生結弦「自分のスケートをもっともっと高みへもっていきたい」
  • 長友佑都「誰よりも準備をし、誰よりも走って、誰よりも努力しているという自信はある」
  • 本田圭佑「勝負を決めるのは準備。なかでも気持ちの準備以上のものはないと思う」
  • イチロー「自分にコントロールできることとできないことを分ける。自分で制御できないことに関心を持たないことです」
  • 松井秀喜「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる」
  • ダルビッシュ「日本ではモチベーションを保つのが難しくなってしまった」
  • 田中将大「打たれたからといって、今までやってきたこと自体を変える必要はない。(今まで通り練習をしていれば)何かしら修正ポイントは見つかるから」
  • ベン・ホーガン「ゴルフでは次のショットが一番大事である」
  • モハメド・アリ「肯定の繰り返しが信念につながる。その信念が深い確信になると、物事が実現し始める」
  • 黒澤明「難所でひるんだらお終いだ。その難所で耐え、喰らいついて耐える。この努力が天才と凡才を分ける」
  • 小津安二郎「俺は豆腐屋だ。がんもどきや油揚げはつくるが、西洋料理はつくらないよ」

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日販の柴田さんと:「理想の出版社」「親方株

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「名言との対話」12月11日。千石イエス「楽して、ええめにあうこっちゃ」

千石イエス(1923年7月12日-2001年12月11日。千石剛賢)は宗教家。新興キリスト教団体「イエスの方舟」の主宰者。

海軍入隊。戦後は刃物工場経営、てきや、レストランの支配人などの職を転々としながらキリスト教会に通う。大阪の聖書研究会で伝道活動をはじめ、1960年に、東京で「極東キリスト集会」(「イエスの方舟」と改称)を開き、会員との共同生活をはじめる。1970年代に入り、親子関係などで悩む若い女性が次々と相談に訪れ、家出して入信したため、「娘を返せ」と迫る親たちとの間でトラブルとなった。1978年から2年あまり、「イエスの方舟」は集団失踪して全国各地を転々と漂流する。マスコミから「千石イエス」とあだ名され、「千石ハーレム」「現代の神隠し」などと騒がれて、警察も動く社会問題になった。千石は「家に戻されるぐらいなら自殺する」と懇願する女性をかばい、守ろうとした。逃避行から2年が経過した1980年夏に女性たちがメディアの前に登場し、自らの意志で「方舟」に参加していると表明し、騒動は収束した。

その後、「イエスの方舟」は、流れついた博多で1981年に中洲に開業したナイトクラブ「シオンの娘」で生活の糧を得ながら、聖書研究会と人生相談などの伝道活動をつづけた。「シオンの娘」ではホステスは飲酒も同伴もしない。「聖書を勉強しているからか、会話に愛がある。他の店にない和みがあった」と客が語っている。礼儀作法をウエートレスに厳しくしつけており、宗教学者島田裕巳は寮生活で東京の名喫茶「談話室滝沢」を連想している。2019年12月30日に中洲のクラブ「シオンの娘」は38年の歴史に幕を下ろしている。ビートたけしが主演した『イエスの方舟』は昭和60年度文化庁芸術祭芸術作品賞受賞作品になった。

『父とはだれか母とは誰かーー「イエスの方舟」の生活と思想』(春秋社。1986年刊)を読んだ。2日間にわたるインタビュアーとの対話をもとに編集した本である。「千石イエスというのは、私自身がいちばん嫌うことやからね」「この名前ほど、主のみ名を冒涜しているものはありません」千石の言葉を拾ってみよう。

「他者が幸せになるようにふるまってこそ、はじめて自分の幸せということが具体的になる」「努力だとか、工夫だとか、頑張りだとか、修行だとか、そういうものがあったらおかしいとおもう。聖書にはそんなことはどこにも書いていないですから」「他者を生かそうとする行為の中にすばらしい満足がある」「聖書ぐらいほんとうのことを言うてあるものはないんです」「主イエスは比喩の名人みたいなもんやね。まちがいなく神の子ですね」「ほんとうの人生は、1年を区切れば、365通りの喜びがあるのだ。それがパラダイスだと」

会員は「いちばんい時間を聖書を勉強する時間ていうか集会の時間に当てています」とリズム感のある生活に満足している。インタビューアーの芹沢俊介はナイトクラブ「シオンの娘」は竜宮へ行ったような感じと話している。若さと、内からあふれれでるようなエロスというか生命感を感じている。この本の中には、美人の女性会員たちと千石が一緒に写った華やかな写真がある。今回、「シオンの娘」が閉じるときの映像もみてみた。

行動の中でイエスの言葉を見つめようという千石のいう「楽して、ええめにあうこっちゃ」は、努力、工夫、修行はおかしいという考え方だ。あらゆるものに仏性が備わっているという点では仏教はキリスト教と同じだが、そのための修行は必要ないというわけだ。メディアを通じて「イエスの方舟事件」のことは聞いていたが、何ごとも、当事者の発言を聞かなければ真相はわからないものだ。

 

参考。『父とはだれか母とは誰かーー「イエスの方舟」の生活と思想』(春秋社