吉川英治『三国志』ーー散歩。iPhone。youtube。朗読。

紅梅。

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 このところ、散歩しながらiPhonで吉川英治三国志』の朗読をユーチューブで聴き続けています。1時間ほどの朗読が全部で121まであります。ようやく19まできました。俳優・ナレーターの西村俊彦による朗読です。朗読ユーチューバーという肩書になっていました。著作権が切れた本を公開している「青空文庫」にある名著を読んでいるのです。

www.youtube.com主評価書評家の内藤陳によれば、冒険小説の最高峰は『三国志』だ。冒険小説の要素がすべて入っている総合冒険小説と呼ぶべき傑作という評価で、中でも吉川英治の「全4巻」をすすめているので、試しています。川本喜八郎のNHK人形劇「三国志」、安野光雅による「絵本三国志」なども知っているのですが、読むよりも聴くという方法で、三国志に挑んでみます。

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週刊現代」1月23日号。トヨタの豊田昭男社長「文字だと頭が痛くなるから、絵で説明しろ」。その結果、主に動画が用いられるようになったと書いてありました。(ダメ:動画は時間がかかる、手間がかかる。絵という意味は図解のこと!)

plaza.rakuten.co.jp2006年のトヨタ自動車での講演時のアンケートのまとめ。明日の図解塾で解説しましょう。http://www.hisatune.net/html/02-kenkyuu/kouen/2006/toyota060728.pdf

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・明日の図解塾の課外授業の資料作成。

・名言プロジェクトの名言の選択。

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「名言との対話」(「大正から昭和へ」誕生日編)1月19日。巌本真理「バイオリンが奏けなければ、生きる意味がない」

巖本 真理(いわもと まり、1926年1月19日 - 1979年5月11日)は、日本の女性ヴァイオリニスト

 日本人の父とアメリカ人の母の子として生まれ、メリー・エステルと名づけられる。6歳からヴァイオリンをロシア人で早期英才教育の唱導者・小野アンナに学ぶ。ハーフとして差別を受け、病弱だったこともあり、小学校を4年生で中退し、自宅でヴァイオリンの英才教育を受ける。11歳で日本音楽コンクール(のちの毎日コンクール)で一位となり天才少女と呼ばれる。13歳、第一回独奏会を開く。1942年、英語が敵性語とされたことを受け、真理と改名する。真理の音は、線が太く、よく響く。音量の豊かな独特の音だった。

戦後間もない1946年、20歳で小宮豊隆が校長をつとめていた東京音楽学校教授となる。1950年に辞職して渡米する。帰国後、演奏活動を再開。1959年芸術選奨文部大臣賞、芸術祭奨励賞、1964年に民放祭最優秀賞、1965年ブラームス室内楽曲の全曲連続演奏を行い毎日芸術賞を受賞。1966年、40歳のとき巌本真理弦楽四重奏団」を結成。1970年レコード・アカデミー賞1971年に再度芸術選奨賞、1974年モービル音楽賞を受賞した。

1977年乳癌に罹り手術するが、再発し53歳で死去した。日本初の室内楽定期演奏会94回の偉業を達成した。

山口玲子巌本真理 生きる意味』(新潮出版社)を読んだ。「生きる意味」については、次の解説がある。意味の意は音の心と書く。音を巡る迷いの果てに生きる意味をつかんだ人、それが巌本真理だというのが著者の山口玲子の結論だ。山口は古在柴琴(作家、民権活動家)、若松賤子(祖父)、川上貞奴(女優)、など近代日本の女性の伝記を書く作家である。

真理は1926年生まれ。私の母は1927年生まれだから1歳しか違わない。戦中派である。1926年生まれの人は210余万人。このうち死産と乳幼児志望は約40万人。5歳まで育ったのは170万人ほどだ。戦中派は大正デモクラシー軍国主義戦後民主主義という3つの空気を吸って育った。そして真理は、「あいのこ」と呼ばれる混血児であった。

30代は、自分をしばっている制約からの脱出、脱皮、自己改造を目標として生きた。そしてこの間、受賞に明け、受賞に暮れた。室内音楽で6回の受賞を重ねている。40歳でしかれたレールからはずれ、自分の道を歩む目標が実現した。室内楽に合奏には「人とつき合い、話し合うのと似たようなたのしみがある」と語っている。

この伝記には演奏旅行で私の故郷の中津にも来ているという記述があった。体の異常に気づく50歳のときに向田邦子のインタビューを受けている。一番大切なものはという問いに「お金よ、おあし、、」と答えている。向田は「女の手というより働き通した人間の手」と表現している。背骨が曲っている姿はバイオリにストの職業病である。そして乳がんの発見から2年半たって、53歳で永眠した。名古屋の和菓子店大黒屋の2階に「巌本真理ももエリアルホール」と記された小さいホールがある。そこには真理は訪ずれることはできなかった。

この本のオビには「華やかなライトを浴びながら、宿命との闘いに命を燃焼した孤高の音楽家巌本真理」とある。巌本真理は宿命に殉じながら、独奏家から室内楽の重奏に力点を移していく。その姿に、私は使命感を感じた。宿命を使命に変えていく過程で、生きがい、そして生きる意味を見出した人である。

 

巌本真理 生きる意味