白川義員「天地創造」ーー前人未踏の写真撮影の偉業。VRChatのワールドも天地創造だ。

先日、恵比寿ガーデンプレイスの「東京都写真美術館」で白川義員写真展「永遠の日本」をみてきました。前期は「永遠の日本」(11作目写真集)、4月の後期は「天地創造」(12作目)となる。この二つの写真集で生涯のテーマ、ライフワークが完成した。

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写真家の白川義員は、1962年、27歳から58年間で、2018年、83歳までで計画どおり、『アルプス』『ヒマラヤ』『アメリカ大陸』『』『聖書の世界』『中国大陸』『神々の原風景』『仏教伝来』『南極大陸』『世界百名山』『世界百名瀑』『永遠の日本』『天地創造』の全12作を完成した。85歳になっていた。

「地球再発見」「人間性回復へ」の旅を「前人未踏を往く」精神で143ヵ国と南極大陸の踏破した。想像を絶する偉業である。

撮影の苦労5%、準備の苦労95%。「現場に立って撮影する苦労は5パーセント、現場に立つまでの苦労が95%」。日本ほど撮影にに自由な国はない。しかし役人の邪魔と外国の数十倍の費用がかかる。

世界百名瀑の撮影には選ぶ作業に3年かけ188滝を撮影。中国の撮影には4年間かかった。アメリカ大陸は足かけ3年。ヒマラヤは4年間でブータンからアフガニスタンまで5000-6000のところを3000キロを足で歩く。21年かけた南極一周を含む3度の南極大陸全域撮影の総費用は18億円。5年かけて日本の景勝地6600地点を撮影。重要写真10万枚の中から選んだ最重要写真2万枚のデジタル化作業は、今も続いている。

白川義員は「私の仕事はどれも歴史上類を見ない撮影であった」と述懐している。まさ想像を絶する「前人未到の仕事」である。写真集『天地創造』をみていると、神の目を感じる。まさに天地創造というタイトルにふさわしい仕事だ。これほどの偉業は他に思い浮かばない。

前期の「永遠の日本」を今回見たのだが、それぞれの大型写真には「鳥瞰」と「赤変」ということ言葉が添えてあったものが多いことに気がついた。後期の企画展もみるつもりだ。

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天地創造: 白川義員作品集

天地創造: 白川義員作品集

 

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オンラインイベント「VRChatのワールドを作る初心者会」に参加。平野友康さんと真野 明日人さんのプロジェクト。20名が参加。これも天地創造だ。

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「名言との対話」3月15日。平岩弓枝「大事にしてきたのは人間を書くということ。長谷川伸先生の教えです」

平岩 弓枝(ひらいわ ゆみえ、1932年3月15日 - )は、日本小説家脚本家

 代々木八幡宮の一人娘。日本女子大国文科卒。戸川幸夫に師事した後に、長谷川伸主宰の新鷹会に入会し学ぶ。

小説家としては、1959年、26歳で直木賞を受賞。その後、恋愛、推理などをテーマとした小説を書いた。

脚本家としては、TBSテレビドラマありがとう』シリーズ、『肝っ玉かあさん』シリーズ、TBS東芝日曜劇場女と味噌汁』シリーズ、『下町の女』シリーズやNHK大河ドラマ新・平家物語』を始めとするテレビドラマや演劇の脚本を書いている。

1974年からは時代小説に専念し、『御宿かわせみ』を刊行し30年以上にわたり、ベストセラーとなったシリーズを書き続けている。

ブクログでは、平岩弓枝の全1042作品から、ユーザが本棚登録している件数が多い順で並ぶべている。トップの『新装版 御宿かわせみ』(文春文庫)は、登録者492人、レビュー66人。この小説は、江戸の大川端にある小さな旅篭「かわせみ」。そこに投宿する様々な人たちをめぐっておこる事件の数々を題材にした、宿の若い女主人るいと恋人神林東吾の二人の物語だ。江戸の下町情緒あふれる人情捕物帳だ。

TSUTAYAで取り扱っている作品は459件あることなどからわかるように、作品の量は膨大で、かつ質が高いこともあり、数々の賞を受賞している。2016年には文化勲章も受章している。

『女と味噌汁』(集英社文庫)を読んだ。女の颯爽とした生き様を描いた傑作だ。この作品でテレビ界は放っておかなかった。以後、脚本の仕事を多くてがけることになった作品である。読んでいて心があたたまると同時に主人公の科白(せいりふ)も本質をついていて気落ちがいい。この長く続いたテレビドラマをみた記憶はないが、主役の池内淳子山岡久乃長山藍子が映画も含めて共演しているというから、何本かはみている気もする。

オーディブルの「講演・エンターテイメント」の女性作家たちの講演録を聞いたことがある。文藝春秋社の文化講演会での講演録だ。それぞれ1時間弱の中身の濃い講演だったが、平岩弓枝「秘話かわせみ」では、御宿かわせみ」の執筆秘話。師匠・長谷川伸と兄弟弟子たちとの濃密な修行の日々が語られていて、好感をもったことを思い出した。

終生の師・長谷川伸からは「人間が動くから物語が生まれる。物語があって人間がいるんじゃない」と教えらえた。平岩弓枝は「大事にしてきたのは人間を書くということ。長谷川伸先生の教えです」と感謝の言葉を書いている。師を不動の星のように仰ぎみながら、ひたすら精進することの素晴らしさをこの師弟関係は教えてくれる。

 

女と味噌汁 (集英社文庫)

女と味噌汁 (集英社文庫)

  • 作者:平岩 弓枝
  • 発売日: 2016/03/18
  • メディア: 文庫