7年分の「学部長日誌」「副学長日誌」が4冊1838ページにまとまる。。吉野彰さんの「私の履歴書」(10月)に期待。

2012年度の「学部長日誌」から、2018年度の「副学長日誌」までの7年分がまとまりました。大学改革にあたっての日々の動きを詳細に記録した貴重な資料です。

2012年4月1日「学部長任命」から、2018年3月31日「『多摩大学時代の総決算』、『宮城大大学時代の総決算』と併せて、宮城大学11年・多摩大11年の合計22年間の大学教授生活の総決算」まで、4冊合計で1838ページになっています。

この後の2年間、2018年度、2019年度は、特任教授です。

ビジネスマン24年、教育者24年という経験で、半分づつのキャリアになりました。

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10月の日経「私の履歴書」は、2019年にノーベル化学賞を受賞した旭化成名誉フェローの吉野彰さん。

1日目を読んだけだが、面白い。この連載は期待できそうだ。

研究開発、特に企業の研究者についての苦労と醍醐味がわかるだろう。

・基礎研究が実を結ぶためには大半が芽が出ず、振り落とされる「悪魔の川」がある。

・商品化に至るまでに大半が脱落する「死の谷」がある。

・商品化に成功しても市場が拓けるまでに長い年月がかかる「ダーウィンの海」がある。

吉野彰さんの「リチウムイオン電池」は3つの壁を乗り越えるまで15年近くかかった。

「アイデアを自身の手で育て、製品として世に送り出し、結果として世界を変えることができた。これは企業の研究者ならではの醍醐味だ」。素朴な驚きと疑問、ヒント、アイデアが3つの壁を越えて、世界を変えるまで、一貫して関わることができる。それが大学の研究者にはない喜びなのだ。そして、その過程は「創造と挑戦」の連続である。

毎朝の日経文化欄「私の履歴書」が楽しみになった。

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「名言の対話」10月1日。河井信太郎「捜査の結果によっては、内閣倒壊もやむをえない」

河井信太郎(かわい のぶたろう、1913年10月1日 - 1982年11月15日)は日本の検事。

愛知県蒲郡市生まれ。蒲郡農業、東京実業から中央大学法科の夜間部を経て、高等文官試験に合格。 東京地検検事となり、特捜部長をへて1965年に東京地検次席検事に就任。「特捜の鬼」とよばれ、昭和電工疑獄事件、造船疑獄事件、吹原・森脇事件などの捜査を指揮。1976年、大阪高検検事長を最後に退官し、弁護士を開業。69歳で死去。

検察庁法は「検察官はいかなる犯罪についても捜査できる」と規定しており、「政官財」の腐敗に切り込む最強の捜査機関である。その本体ともいうべき東京地検特捜部の生みの親が河井信太郎だ。辣腕の河井は、「特捜の鬼」「検察の鬼」の異名をたてまつられた。

河井は、「株式会社の役職員の刑事責任」「会計上の粉飾と法律上の責任」で法学博士号を取得した勉強家であり、昭電疑獄でのちの特捜部の捜査の流れである帳簿捜査を確立している。

造船疑獄では主任検事をつとめ、その後も武州鉄道汚職事件、東京都議会黒い霧事件、吹原・森脇事件、田中彰治事件、共和精糖事件、日通事件など多くの複雑多岐にわたる知能犯会社事件の捜査・取調べにあたり 「鬼検事」の名をほしいままにした。

また多くの特捜検事を育てたことでも知られ、「東京地検特捜部生みの親」といわれている。検察内部では中央大学卒の河井率いる中大閥は、東大閥との主導権争いがあり、「中東戦争」などと称されている。

河井には、特捜の鬼、検察の鬼、鬼検事などの異名には必ず「鬼」がついている。池波正太郎の「鬼平」からとった異名である。池波正太郎には、実在の人物である江戸時代の火付盗賊改方の責任者の長谷川平蔵を主人公とした『鬼平犯科帳』というロングセラーがある。現代の火付盗賊改方である検事たちは自分たちを長谷川平蔵に擬して仕事に励んだのだろう。

日本弁護士連合会会長の中坊公平は「平成の鬼平」とマスコミからあだ名をつけられている。裁判官の原田國男は、池波正太郎鬼平犯科帳』と映画の山田洋次男はつらいよ』シリーズをすすめている。弁護士、裁判官、そして検事の河井も「仕事の鬼」であったことは間違いない。

河井信太郎の検事魂を聞こう。

「まず身を修め、だれの前にでても(犯罪に関する限り)懺悔させ頭を下げさせるという確固たる信念を持たねばならない」と検察官の心得を後輩に伝えている。そして、「捜査の結果によっては、内閣倒壊もやむをえない」とも語る。

最近の検察、地検については、捜査についての手法や成果、そして不祥事など、なにかと批判が多い。昨今の世の中を見るにつけ、現代の火付盗賊改方には期待が大きいものがある。出でよ!「令和の鬼平」。