「て・に・を・は」が苦手でも大丈夫…「図解」で説明する威力 | 。世田谷美術館「塔本シスコ シスコ・パラダイス」展。

幻冬舎オンラインの連載10回目。

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

世田谷美術館「塔本シスコ シスコ・パラダイス」展をみてきました。副題は「かかずにはいられない!人生絵日記」。

53歳から絵を描き始め、91歳で亡くなるまでパラダイスのような明るい絵を描きつづけた女性画人。絵日記を描き続けた人で、画家というより画人という方がふさわしい、独学で遅咲きの人。

f:id:k-hisatune:20211108055433j:image

f:id:k-hisatune:20211108055436j:image

世田谷美術館の次の11月20日からの企画展は、「グランマ・モーゼス」展。この人も70代から絵を描き始めた101歳の生涯を送った女性センテナリアンだです。これも行くつもり。

ーーーーーーーーーーーー

「名言との対話」11月7日、森山真弓「政治には言葉がとても大切」

森山 眞弓(もりやま まゆみ、1927年(昭和2年)11月7日 - 2021年(令和3年)10月14日[1])は、日本の官僚(労働官僚)、政治家。享年93。

労働省婦人少年局長、参議院議員(3期)、衆議院議員(4期)、環境庁長官内閣官房長官(女性初)、文部大臣、法務大臣、白鷗大学学長(2007年2月 - 2013年3月)などを歴任した。

津田塾専門学校を卒業後、女性として初めて東京帝国大学法学部法律学科へ入学(同期東大入学に文化人類学者の中根千枝)。大学3年生のときに森山欽司(政治家?)と結婚し、 「おしどり夫婦」と呼ばれた。
女性上級職員第1号として労働省に入省し婦人少年局長を務めた女性官僚の草分け的存在である。第1次海部内閣の環境庁長官、女性初の官房長官となった。1992年、宮澤改造内閣で文部大臣。小泉内閣法務大臣。2007年から2013年まで白鷗大学学長。2009年、民主党政権が誕生した総選挙で政治家を引退し立候補しなかった。

森山真弓『非常識からの出発』(小学館)を読んだ。副題は「女性官房長官 激動の六カ月」。1989年といえば、日本のGDPが世界の1割になる時代。1994年の17.9%へ向かう上昇の時代だった。

官房長官の仕事の中身に注目して読んだ。公式には、内閣のスポークスマン、閣内の調整役、国会、党との調整、連絡である。この仕事は国際情勢から公務員の不始末までが襲ってくる。毎日2回(午前11時と午後4時)の記者会見がある。午後の会見の後には、長官番記者との番懇があり、すぐに「政府首脳は、、」と書かれてしまう。オールランドプレイヤーであることを要求されるプレッシャーとストレスがある。国会答弁については「必要なポイントだけを押さえて、余計なことをしゃべらないこと」と述べている。過不足のない淡々とした答弁がいいということだろう。

危機管理のために、総理と官房長官は同時に東京を離れてはならないとされ、この点は時々、話題になる。内規では東京から100キロ圏内なら在京とみなされる。長官時代にはボートピープル、ハイジャックなどが起きている。

土俵に女性が上がれるかという騒動も森山長官時代だった。また森山は政府審議会メンバーに女性を増やすこと、女性議員の増加に力も注いでいる。女性長官は、適当にかっこよくと、兼ね合いを考えた服装を心がけている。

すさまじい権力闘争の場である組閣をみている。そして首相という立場の孤独もみている。

この本では珍しく解散について苦言を呈している。争点を明らかにするためにも国権の最高機関の国会で論陣を張りその上で解散して信を問うのが筋だ。そうならず冒頭解散となった。後味の悪さを感じている。こういう与野党の駆け引き、政府のやり方は今でもある。

官房長官の仕事を完璧にこなすのは至難のわざだとし、アメリカでは大統領特別補佐官と大統領報道官の二人でやているようだとも書いている。強い存在感の長官、影の薄い長官、など、様々の長官像が思い浮かぶが、最高の官房長官として評価が高い中曽根内閣の後藤田正晴官房長官は「要するにその人次第」だと語っている。首相との関係もあり、融通無碍な難しい役職であることは間違いない。

自民党の支持率9%から出発した海部内閣で、薄氷を踏む思いで全力投球の半年だった。森山官房長官は評判がよかった。官房長官退任後の海部内閣は、1990年2月の総選挙の好結果のあと、53%、55%、7月には60%と支持率をあげているのを喜んでいる。

「私の今日までの人生は、文字どおり昭和とともにあり、、」と語っている森山真弓昭和2年生まれだ。平成の時代に入っても、宮沢内閣の文部大臣、小泉内閣法務大臣、白鷗大学学長(2007年2月 - 2013年3月)などを歴任した。

失言、暴言などのお粗末な政治劇場をみている我々には、「政治には言葉がとても大切」という森山真弓の言葉は、深く響く。