新宿:中村屋サロン美術館。多摩大OBの岡君と昼食。目黒の林試の森公園のベンチで橘川さん、柴田さんと歓談。目黒不動。

新宿。中村屋サロン美術館。今日の発見。

相馬国光について。

  • 島貫兵太夫「アンビションガール」「君(夫)が国会議員にでもなれば長野県ひつつくらいくるーっと丸めてしまうほど賢い娘だから貰え」
  • 相馬愛蔵「なにしろ火の玉のような女でね、こうと思い定めたら、どんなことがあったって、貫いてしまう」「干渉しなければ円満。世話を焼いても面倒な女ですから。世話を焼かないのが一番得策だ」

相馬国光「自分のことを、どうもきかん坊だからしようがない言い、それを許してくれた。自由にさせてくれたのは大変なことだと思う」

岡君と新宿の紀伊国屋書店で12時に待ち合わせて、隠れ庵で昼食。岡君は、多摩大OBで33歳。中国北京で日本のIT企業の現地法人の社長をしている。在学中から「ITと中国語」を武器にすべく学ぶという戦略家で、中国留学もして、卒業後はIT企業で活躍した。中国のDX事情など最新情報を聞く。私も一度会ったことのある彼の父親を「幸福塾」に誘うことになった。

次に14時に武蔵小山で橘川さんと柴田さんと落ち合い、広大な林試の森公園のベンチで、橘川さんが持参したコーヒーを飲みながら、情報交換。天気が良く、温度も高いので気持ちがいい。

その後、一緒に「目黒不動」にお参り。不動明王ヒンズー教のシバ神だが、仏教では大日如来から命を受け、悪を懲らしめ衆生を救ってくれる役柄だ。そのため憤怒の相をしている。空海が日本に持ち込んだ。8日、18日、28日が縁日。水かけ不動明王に水をかける。

ここには「さつまいも」の青木昆陽の墓がある。私のブログで以下のように取り上げたことがある。青木昆陽は新橋の魚問屋であったがそれを嫌い儒者になった。昆陽は病気の快癒を願って禁酒したり、母の死に際しては3年の喪に服すなど、両親への孝行が評判だった。それを八丁堀の地主でもある与力が町奉行大岡越前守忠相に上申したことがきっかけで自著「蕃薯考」を幕府に提出した。試験をして好結果を得られたことから甘藷は全国に普及し、飢饉時にも餓死することがなくなった。甘藷先生と呼ばれた。琉球、長崎を経て伝わった甘藷(さつまいも)を今の幕張と九十九里で試作している。九十九里の碑や幕張の昆陽神社、そして墓のある目黒不動墓地で、毎年10月28日に「甘藷まつり」が今なお続いている。帰りに「八つ目屋にしむら目黒店」という鰻で有名な店があった。今日も結構歩いたので、1万歩となった。


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今日のヒント。山手樹一郎「幸福を売る侍」

「人によろこんでもらえるようなことをして、生きて行けるのは一番たのしいことだ」

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「名言との対話」2月11日。山手樹一郎「人によろこんでもらえるようなことをして、生きて行けるのは一番たのしいことだ」

山手 樹一郎(やまて きいちろう、1899年2月11日 - 1978年3月16日)は、日本の小説家。

栃木県那須郡黒磯町生まれ。明治中学卒業。『少女号』の編集者を経て博文館に入社し、『少年少女譚海』編集長。30代前半よから小説を書き始める。40歳で博文館を退社し専業作家として本格的に活躍を始める。長谷川伸の門下生となる。新聞連載の「桃太郎侍」が人気となる。1944年、「獄中記」「檻送記」「蟄居記」の三部作(のち『崋山長英』として出版)で第4回野間文芸奨励賞を受賞する。健全な娯楽作品として高い人気があった。第2代日本作家クラブ会長。

編集者としては山本周五郎などの担当をする傍ら、自身が編集に携わる雑誌を中心に作品を発表した。その際、本名では原稿料をもらえないため、「山手樹一郎」という筆名を使った。山本周五郎の影響も大きかったと思われるが、股旅物で有名な長谷川伸の門下生であり、ここで文章修業をしている。長谷川の小説勉強会は、先生と弟子たちが濃密な交流をしながら、弟子たちは腕をあげていった。門下生は、山手樹一郎以外にも、池波正太郎山岡荘八戸川幸夫平岩弓枝、西村京太郎ら、そうそうたる大物作家がいたから勉強になったろう。

1940年から連載を始めた『桃太郎侍』が大人気で、時代小説の大家となっていく。映像化作品も多い。明朗闊達・勧善懲悪・人情話・ハッピーエンドという爽快な作風である。

1940年刊行の『うぐひす侍 名作小説』(博文館)から、1978年刊行の『曲りかどの女』(桃園書房)まで、生存中に膨大な作品を書いている。 没後も、刊行は続いたから、読者が多かったことがわかる。全作品は1006といわれる。

『幸福を売る侍』で、主人公の浪人は爽やかな剣法で悪党たちと闘う。明るくユーモラスに恋と剣と江戸庶民の人情を描く時代長編である。「人によろこんでもらえるようなことをして、生きて行けるのは一番たのしいことだ」で、山手は主人公に語らせている。今回、私が読んだ『青空剣法』(上コスミック・時代文庫。上巻)も、男前の腕の立つ浪人の用心棒が庶民の味方となって活躍する物語で、いろいろなタイプの女が思いを寄せる。この主人公の人生観、幸福感も同じだった。

偉大なるワンパターン作家とも揶揄されたが、読者は安心して読めた。娯楽性も高く、国民的人気作家となった。テレビの「水戸黄門」シリーズが人気なのと同じである。