ヨガ(早朝)。橘川幸夫(新宿)。渡辺京二(本屋)。磯田道史(動画)。福沢諭吉(耳学)。宇野精一(近代)。幸福(深夜)。

  • 朝:今年最初のヨガ教室で1時間。2015年8月25日のブログに「近所のヨガ教室で体験レッスン。ヨガは身体的エクササイズではあるが、本来はインドのバラモン教ヒンドゥー教仏教ジャイナ教の修行法」と書いてある。8年目ということになる。
  • 昼:新宿で橘川さんと会う。昼食は天ぷらの「つな八」。今後の相談など。『戒語川柳1』を渡す。SNSで使う写真のヒントをもらった。帰ってやってみた。

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  • 紀伊国屋書店。昨年亡くなった渡辺京二コーナーができていた。『渡辺京二発言集2 肩書のない人生』と『江戸という幻景』を購入。どちらも弦書房刊。この人の『逝きし世の面影』を読んでファンになった。同じく熊本在住の『苦界浄土』の石牟礼道子という天才と深い親交があり、詩人で「高橋源一郎飛ぶ教室」で知った伊藤比呂美と「いのっちの電話」の坂口恭平という天才たちとも熊本で付き合ってきたようだ。ぱらぱらとめくってみた。「友達は何人かいれば良い」「外に出て樹木を見ましょう」「自分の言葉を持とうよ」「文学というのは、私はこう生きています、という表現」、、。「維新」「近代」についての見方が「名言との対話」(近代編)の参考になりそうだ。
  • 夜:『図解塾』の課外授業で試した「幸福論」から始まった『幸福塾』が2022年に丸1年続いた。毎回10名ほどの塾生に、「人物記念館の旅」の1000人と「名言との対話」の2500人のデータベースから、「幸福」を論じ、倖せの構造を導き出し、人物の具体例を提示するという内容だ。リモート授業で使った資料を印刷してみたら、数百枚になった。今年も続けるから、壮大な体系になる可能性がある。
  • 耳:福沢諭吉福翁自伝』を聞いている。中津でのことがよく出てくる。ユーチューブの磯田道史の現在の日本についての発言も興味深い。

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「名言との対話」1月7日。宇野精一「『平成』は平和な時代だけれども、その平和は実は武器のおかげで、そしてこれまで国のために命を捨てた人々のおかげで保たれているのです」

 宇野 精一(うの せいいち、1910年〈明治43年〉12月5日 - 2008年〈平成20年〉1月7日)は、日本の儒学者国語学者東京大学名誉教授、尚絅大学名誉学長。國語問題協議會名誉会長、斯文会理事長。日本会議顧問。

宇野は儒教思想を軸とした古代中国経書学研究を進める傍ら、国語国字問題などに関する評論活動でも知られる。GHQの主導で行われた戦後の国語改革に一貫して反対する立場をとり、戦前の漢字・仮名づかいの活用を呼びかけた。「昭和」に代わる新元号の考案を政府から委嘱されていたことで有名な学者である。

敗戦とともに元号制度は風前の灯火となり慣習法上の地位として残っていたが、ようやく1979年(昭和54年)の大平内閣時代に元号法が成立する。この法はたった2条しかない。「元号政令で決める」と「元号皇位の継承があった場合に限りあらためる」である。2条は継承の後に改めるという意味だから、事前に発表することはできないという考えもあり、国民生活の安定とのギリギリの妥協点として4月1日に発表することになったのであろう。

昭和最後の内閣となった竹下内閣ではひそかに 、宇野精一坂本太郎、諸橋徹二、安岡正篤の4人の碩学元号についての検討を依頼しているが、途中で亡くなった人もあり、最終的に、東大の宇野精一名誉教授(中国哲学)、九大の目加田誠名誉教授(中国文学)、東大の山本達郎名誉教授(東洋史)に考案を依頼した。宇野が「正化」、目加田が「修文」、山本が「平成」を第一候補人あげた。「平成」は陽明学者の安岡正篤が考案し政府に提出したが、安岡氏の死後、山本が再提出したという報道がある。平成とは、書経の「地平らかにして天なる 内平らかにして外なる」からとった言葉である。後に竹下登総理が講演の中で「安岡さんの案」として紹介したことがある。しかし政府の担当者は否定している。真相はわからないが、平成の次の元号をめぐる報道の中で明らかになるかもしれない。

論語研究の第一人者である宇野精一晴夫「平成」の意味については以下のように述べている。 「平成の「平」は辞書では「干(かん)」部の漢字です。「干」とは盾(たて)の意味があります。また、「成」は「戈(か)」の部の漢字です。「戈(か)」は鉾(ほこ)の意味です。つまり平成という元号の中には「干戈(かんか)」がある。干戈とは、武器や戦という意味です。「平成」は平和な時代だけれども、その平和は実は武器のおかげで、そしてこれまで国のために命を捨てた人々のおかげで保たれているのです」

元号」は西暦との関係で煩わしいからやめよという意見もあるが、国民全体の考えにはならないだろう。「元号」の決定に参加できるということは滅多にないことだが、97歳まで生きた宇野精一は、最初から最後までこの大イベントにかかわった碩学である。平成を終えようとしている今、「地平らかにして天なる 内平らかにして外なる」時代は、日本は戦争に巻き込まれなかったという意味では、その通りになった。この平和は武器と命を捨てた人々によって成り立つとした宇野精一の解説には考えさせられる。

晩年の2005年には、1989年平成改元における最終候補三案の一つ「正化」の考案者だったことを明らかにした。「戦後の乱れた世を正す時代になって欲しかった」と「正化」を推したと述べている。今年の「名言との対話」は近代編であるが、宇野精一の考えでは、戦後から始まる現代についての評価は低いのだろう。近代に戻れという主張である。