寺島実郎の「世界を知る力」(10月)を図メモを取りながら聞いた。
「日本をとり戻す」との旗印の2012年以降の第二次安倍政権による「安倍政治・アベノミクス」は教育勅語の再評価など国家主義の復権の流れをつくった。また調整インフレ政策によって国家財政の出動による株高と円安誘導を行って、結果として安易に流れてしまった。
後を継いだ菅政権の後継の2021年に誕生した岸田政権の本質は安倍路線の継承あるいは尻ぬぐいという性格があるが、裏金問題の勃発もあり、結果的に無意識の自民党の破壊者の役割を担った。
自民党最後の蘇生のトライアルになるかもしれない2024年10月1日に誕生した石破政権の使命は何か。経済政策においては、産業構造の再構築による「まっとうな資本主義」の再生である。外交安保においては「日米同盟の再設計」である。政治改革では「議員定数の削減」である。議員定数の削減は議論になっていないが、防災組織の検討、地位協定の見直しなどは俎上に載っている。10月27日には投開票を迎える。
以下、図メモ。
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「名言との対話」10月20日。平尾誠二「規律とは自由を獲得するためのものだ」
平尾 誠二(ひらお せいじ、1963年(昭和38年)1月21日 - 2016年(平成28年)10月20日)は、日本のラグビー選手。享年53。
平尾誠二は 日本代表選手であったほか、日本代表監督、神戸製鋼コベルコスティーラーズ総監督兼任ゼネラルマネージャーなどを歴任し、ミスター・ラグビーと呼ばれた逸材である。
大学3連覇。社会人7連覇。ワールドカップ3回出場。2013年のワールドカップでジンバブエを破り初勝利をあげる。インタビューに応えていた映像では、宿沢監督は「プライドと自信を得た」と語り、平尾主将は「初勝利は大きかった。自信になった」と語っていた。
2015年1月16日の「徹子の部屋」の映像をみた。神戸製鋼社員の平尾は建材の営業マンで、アルミ部門に変わったばかりだった。ビジネスマンとしての仕事をこなしながらのラグビー生活だった。この点は宿沢広朗と同じだ。同志社大学の大学院で「コミュニティとスポーツ」というテーマで研究を始め、夕刻と土曜日に先生の指導を受けていた。才能のある素材を発掘し、日本代表にしていこうとする平尾プロジェクトにも意欲を示していた。
「徹子の部屋」でさっそうとした雄姿を見せたわずか1年半後の2016年10月に、53歳という若さで死去する。 「感謝の集い」の映像では、800人が集まったから惜しむ人が多かったことがわかる。親友であったノーベル賞受賞者の山中伸弥先生は「本当にありがとう。君を治すことができなくてごめんなさい」と弔辞を述べている。
2019年のワールドカップでは、平尾が指導していたであろう日本チームは、前回で得た自信を武器に予選を4戦全勝で勝ち抜き、ベスト8戦で南アフリカに敗れた。にわかファンの私も大相撲でいえば「敢闘賞」的な活躍をしたと思った。
2017年4月6日発行の『平尾誠二 人を奮い立たせるリーダーの力』(マガジンハウス編)を読了。 以下、語録から。
- 関わるすべての人間が、「チームは自分のもの」とい答えらえるチームは間違いなく完成度の高いチームである。
- リーダーシップの質は、求心力のレベルにある。
- リーダーには美学が必要である。
- もっとも遠くにいる人間に向かって話すこと。
- 自分のもつ可能性や創造力を引き出してくれるリーダーかどうかに反応するのである。試合の前に試合は終わっている。
- ゲームに必要なのは状況を切り開くイマジネーションに富んだパスだ。
- 教えるとは、相手を納得させ、行動を変えさせ、さらにその行動をこれから先もずっと続けさせることである。
- 単なる戦力の違いだけではない、そこに自信があるかないかという大きな差がある。
- スポーツ・インテリジェンス
平尾誠二の言葉の中では、「規律とは自由を獲得するためのものだ」「自由を行使するには、おのずと厳しい自己節制が要求される」という言葉に共感する。平尾誠二はビジネスマンとしての仕事はきちんとこなしていたのだ。この点は優秀な銀行マンだった宿沢広朗の「銀行が必要ないと言えば、ラグビーに賭ける覚悟はある。ただ、両方やっていないと、価値がないんじゃないかと思う」と同じである。自由であるためには、自己をマネジメントすることが必要だ。それによって周囲からの信頼と信用が生まれるからだ。その信用というバックを得て、人は自由にはばたいていく。組織にいながら自由にふるまっているとみえる仕事師の多くは、実は自己節制の人なのだ。