「知研・読書会」の28回目。8人が参加。「情報」「食事」「嗜好品」「高度成長期」「83歳」などをテーマとした本が紹介された。これらは、すべて「人生100年時代」という大きなテーマでくくることができるという総括を述べてみた。
この会では、私は「読書法」に焦点をあてて、選書している。今回は、島地勝彦『人生は冥土までの暇つぶし』を取り上げた。この本は先日ご本人からサイン入りでいただいた本だ。島地さんは83歳ということで、同じ年齢の野口悠紀雄『83歳、いま何より勉強が楽しい』を一緒に紹介した。この人は知研セミナーでお招きしたことがある。
83歳という年齢を強調した本を探すと、たくさん出てくる。「年齢」という切り口で、本を読んでいくという読書法を発見した。
島地は「遊戯三昧」を強調し、野口は「勉強は遊び」とする。道を極めるという「極道」という意味で二人は共通だ。二人とも、「熟年期」を遊んでいる人である。
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「名言との対話」11月28日。菅原文太「人間、急いでおったらあんまりいいことない。足元見てマイペースを守っておったら、蹴躓くこともないわな」
菅原 文太(すがわら ぶんた、1933年〈昭和8年〉8月16日 - 2014年〈平成26年〉11月28日)は、日本の俳優、声優、ラジオパーソナリティ・農業従事者。享年81。
仙台市出身。仙台一高では新聞部に所属。1年下には井上ひさしがいた。早稲田大学第二法学部に進学するが、劇団四季1期生となり、大学を中退。
俳優としては下積みが長かったが、1969年の初主演の「現代やくざシリーズ」や、1973年からの「仁義なき戦い」シリーズでスターとなった。高倉健と並んで東映任侠映画の看板となった。その後、テレビドラマはNHK大河への出演や、声優としても仕事をする。
ところが映画の商業主義や都会の消費生活に嫌気がさし、1998年から田舎暮らしを始める。2009年には俳優業を半分引退する。そしてしだいに政治に対して批判的発言をするようになった。
「沖縄の風土も、本土の風土も、海も山も空気も風も、すべて国家のものではありません。そこに住んでいる人たちのものです」
「政治の役割はふたつあります。一つは、国民を飢えさせないこと、安全な食べ物を食べさせること。もう一つは、これが最も大事です。絶対に戦争をしないこと!」
政治家や著名人との会食中に、ある議員の武力をもってしても国土(尖閣諸島)を守らなくてはならない、名誉を守ろうとの発言に対し、「君が行くのか」と返し、戦争になったら自衛官の命が失われる、人命は取り返せないといい、「帰れ」と一喝したというエピソードもある。
「ヘンクツや異端者と呼ばれてもいいじゃないか。変わり者の生き方の方が面白いよ」という菅原は、「チャールズ・ブロンソンとか亡くなったスティーブ・マックイーンなんか、大スターになったのは中年になってだからね。オレとおんなじだよ」といい、急がず、マイペースを守って、やがて日本を代表する役者になった。そして晩年は憂国の士となって人々の記憶に残ったのである。
「人間、急いでおったらあんまりいいことない。足元見てマイペースを守っておったら、蹴躓くこともないわな」。この言葉はやや急ぎする傾向のある私にはいい教訓だ。大事にしたい。