トランプとは何者か。これを考える2冊の本を読んだ。
1988年の『トランプ自伝』(ちくま文庫)。42歳の若きトランプの自伝、これは2016年に読んでいる。
2014年10月発行の船橋洋一『宿命子 安倍晋三政権クロニクル』(上下・文藝春秋)は、安倍晋三政権の戦略と統治を描いた「調査報道」であり、「ノンフィクション」である。安倍政権を描いた書物としては第一級の歴史的資料だ。
わたり合った安倍晋三総理のトランプ大統領の発言や考え方が記されている。ディール(取り引き)についての考え方、そして日本についての見方がよくわかる。「トランプ2.0」もこの延長線上にある。
「人の話をじっくり聞く、それもいろんな人の話を聞く、
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2016年に『トランプ自伝』(ちくま文庫)を読了。単行本としては1988年に早川書房より刊行された。当時はトランプは42才。超高層ビルであるトランプタワーなどをつくり話題の主だった。
この本の最後に「さて、次は?」という文章がある。「これからの二十年間の最大の課題は、これまで手にれたものの一部を社会に還元する、独創的な方法を考えることだ。」「得意なことが二つあることがわかった。困難を克服することと、優秀な人材が最高の仕事をするよう動機づけることだ。これまではこの特技を自分のために使ってきた。これを人のためにいかにうまく使うかが、今後の課題である。」
「訳者あとがき」には、妻イヴォンヌの証言が載っている。「いずれドナルドは他の分野に目を向けるでしょう。それは政治かもしれないし、何か別のものかもしれません。大統領選挙へ出馬することも絶対にないとは言い切れまません」とこの最初の妻は見事に将来を見通していた。
トランプが2000年に著した本では、国家としての米国の貧困化が進むことや中流階級が消滅して格差が広がること、年金や社会保障の問題が深刻化することを指摘している。
伝記ではなく「自伝」には、自己評価が率直に語れる。本人が自分をどういう人間かを語っているので、私は自伝を重視している。
さて、若きトランプは、自らをどのように評価しているのだろうか? そしてどのような主義・信条を持っているのか? 40年近く時間が経った今日の時点で、その言動をながめるのは興味深い。
- 私は取引そのものに魅力を感じる。、、私にとっては取引が芸術だ。、、私はこれにスリルと喜びを感じる。
- 私はだれかが自分に反対したことをいつまでも根に持ったりはしない。どんな時でも有能な人材を確保したいと思っている。
- 昼食といっても、トマトジュース一缶だけだ。食事をしに外へ行くことはめったにない。時間がもったいないというのが主な理由だ。
- 選択の余地はなるべく多く残しておきたい
- 私はいい仕事をしてくれた人は裏切らない
- 私は清潔であることにうるさい
- 取材には、、いつでも短時間で終わらせるようにしている。
- ねらいを高く定め、求めるものを手に入れるまで、押して押して押しまくる。
- 私は物事を大きく考えるのが好きだ。
- 私はあまり高いリスクをおかさないように心がけている。
- 私は自分で調査し、自分で結論を出す。 一番望ましいのは優位に立って取引することだ。この優位性を私はレバレッジ(てこの力)と呼ぶ。
- 記者たちとは正直に話すということだ。相手をだましたり、自己弁護しないように気をつける。
- 人々の夢をかきたてるのだ。人は自分では大きく考えないかもしれないが、大きく考える人を見ると興奮する。 良くしてくれた人には、こちらも良くする。
- けれども不公平な扱いや不法な処遇を受けたり、不当に利用されそうになった時には徹底的に戦うのが私の信条だ。
- 私は必要なことには金を出すが、必要以上には出さない主義だ。
- 本当の魅力は、ゲームをすること自体にあるのだ。
- 私は人を判断するのが早いので、無能な者を長く雇っておかずにすんだ。
- 私は酒をやらず、、。
- 単刀直入なやり方が最も効果があることが多いのだ。
- あくまで粘るかどうかが勝敗のわかれめになることが予想以上に多いのを知っていた
- 私は多くの重要な仕事に女性を起用してきた。
- 何も言われないより悪く言われたほうがまだましだ、、。つまり、論争の種になると売れるのだ。
- 世界最大のカジノは、ニューヨーク株式取引所だ。
- 状況が厳しい時のほうが、有利な取引ができる可能性が強いのだ。
- 一番大事なのは信用である。
- 自分の家族ほど心から信頼できる相手はいない
- 費用を節約する一つの方法は、いわゆるバリュー・エンジニアリングを応用することだ。
- 競争会社から有能な人材を引き抜き、よろ:高い給料を支払い、その手腕に応じてボーナスやさまざまな特権を与える。
- 私はこれまで、最高のものにしか投資しないことをモットーにしてきた。
- そうそうたる顔ぶれの委員会と多額の手数料をとるコンサルタントがいくら協力しても、大した結論は出せない。
- 一応あたってみるのが私の主義である。
- ベストを尽くして、もし:うまくいかなければ次の目標に移れ、というのが私のモットーだ。
- 新聞はもめごとを好む。また大成功であろうと大失敗であろうと、極端な話が好きだ。
- どんなばあいでも、仕事を遂行するのに必要なのはリーダーシップだ。私は一日としてリンクの工事の進行状況をチェックしなかった日はない。
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夜
・デメケンミーティング
・「革命」編集会議
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「名言との対話」4月14日。上坂冬子「つまらない仕事をどうやりこなすか、そのつまらない仕事を通じて自分をどう鍛えてゆくか、自分なりに考え、自分なりの手作りの生きがいを持つことが大事だと思う」
上坂 冬子(かみさか ふゆこ、1930年6月10日 - 2009年4月14日)は、日本のノンフィクション作家。享年78。
トヨタ自動車で働くOLであった経験を、後に本に書いて当時のサラリーガールたちから歓迎された。「職場の群像」で第1回中央公論社思想の科学新人賞を受賞したことを機に会社に居づらくなり、文筆活動をはじめる。婦人問題の評論、昭和史・戦後史にかかわるノンフィクションをテーマとすし、膨大な著作と社会的発言があった。
上坂冬子の労作『男装の麗人 川島芳子伝』(文春文庫)を読んだ。上坂冬子は、戦争に翻弄され、国と国との谷間に落ちた人々に強い関心を抱き、ノンフィクションを書いている作家だ。戦争とかかわって運命を狂わせた女性についての著作が多い。
オーディブルの「講演・エンターテイメント」の女性作家たちの講演録を聞いたことがある。これは文藝春秋社の文化講演会での講演録で、それぞれ1時間弱の中身が濃かった。有名な作家達であり、山崎朋子、山崎豊子、宮尾登美子は太平洋戦争に翻弄されており、「戦争」というテーマをそれぞれの立場から深掘りしており、心を打つ。上坂冬子の「繁栄日本の陰に」では、奄美大島の民謡に隠された長崎原爆の被爆者たちの知られざる人生、アメリカ在住の広島からの原爆の被害者たちのことを語った。ノンフィクションというものがよくわかった。
上坂冬子は若い頃の失恋体験から生涯独身を通し、倹約してアパートを建て、やがて4階建てのマンションを建ててテナントを入れ、自らは最上階を専有し、経済的な心配がなくなってから心置きなく執筆活動に打ち込んだ。
「職場での仕事なんて、はっきり言ってつまらないものが多い。そのつまらない仕事を通じて」成長をしようと呼びかける。仕事は取り組み方次第だ、とベテランOLだった上坂は言う。お茶くみも含めてつまらない仕事も自分を鍛える材料だ。働きがい、生きがいとは、与えられるものではない、手作りで自分で創りあげていくものなのだ。会社勤めで得たであろうこの言葉には真理がある。

