参院選の争点は「分配)。日本再生の課題は「創造」。

本日の寺島実郎「世界を知る力」。今回の参院選を巡る争点に見る日本の課題。

参院選速報:残り5議席の段階で、与党46(自民38・公明8)、野党系74。非改選をあわせて、与党は121(自民100、公明21)。

野党系は122。立民21、非改選とあわせて37。国民16、新勢力21。維新6、新勢力18。参政13、新勢力14。共産3、新勢力7、れいわ3、新勢力6。社民1、新勢力2。保守2、新勢力2。諸派1、新勢力2。無所属8、新勢力13。

深夜に自民党が選挙区でねばって巻き返したようだ。残り5議席と無所属の動向いかんでは、勝敗ラインの50議席に達し、125の過半数を維持する可能性もある。

2024年10月の衆院選での自民党公明党の与党の敗北による少数与党政権の誕生、2025年7月20日(本日)の参院選での敗北。日本は大波乱の時代を迎えた。

ーーーーーーーーーーーーーーー

エッイを読みたくなって、ブックオフで本を購入。

梅原猛著作集(全20巻)『思うままに』『たどり来し道』

エドワード・ギボン『ギボン自伝』

山本七平『これからの日本人』

吉本隆明『現在はどこにあるか』

ーーーーーーーーーーーーーーーー

「名言との対話」7月20日鶴見俊輔「私は樹木のように成長する思想を信用するんだ」

鶴見俊輔(つるみ しゅんすけ、1922年〈大正11年〉6月25日 − 2015年〈平成27年〉7月20日)は、日本の哲学者、評論家、政治運動家、大衆文化研究者。享年93。

政治家の父・鶴見祐輔と、後藤新平の娘である母との間に、第2子(長男)として生まれた。姉は社会学者の鶴見和子

11歳で不良、のち自殺未遂。精神病院に入院し、家出。父の計らいで渡米し、ハーバード大学に入学。結核を患い、逮捕も経験した。帰国後は海軍に勤務したが腹膜炎で退職。戦後、雑誌『思想の科学』の創刊に参加。桑原武夫に請われて京都大学人文科学研究所助教授に就任し、東京工業大学助教授を経て同志社大学教授となる。小田実を代表に「ベ平連」を結成。大学紛争を機に辞職し、「九条の会」の呼びかけ人となった。

こうして鶴見の人生行路を眺めてみると、感受性と正義感が強く、生きづらい人だったのではないかと感じる。

都留重人丸山眞男らとともに戦後の進歩的文化人を代表する一人とされる鶴見の名は知っていたが、著作を読んだことはなかった。たまたま鶴見俊輔編『老いの生き方』(ちくま文庫)を手に取った。中勘助富士正晴金子光晴室生犀星幸田文串田孫一野上弥生子らの論考が並び、「経験は、人生を狭くする」「老年の空虚さは、実人生の場から離れた、補給不足による」といった言葉が印象に残った。

当時75歳の鶴見は、冒頭に「未知の領域に向かって」という総括的な小論を書いている。この中で「潔癖な人は、幸福になることはできない」という処世訓を披露している。理論を振りかざす教条主義を排し、毎日の一コマ一コマに興味を持ち、日常生活の中で浮かんだ疑問を突き詰めていくという生き方を貫いた人だ。

鶴見は潔癖さの欺瞞を見抜き、矛盾に満ちた人間という存在に愛情をもって接した人だと思う。論壇で活躍し批判も多く受けたが、自分の頭で考え、自分の言葉で語ったことは間違いない。

鶴見俊輔上坂冬子『対論・異色昭和史』を読んだ。憲法九条は「たわごと」だという上坂と、「九条の会」を立ち上げた鶴見の興味深い対談集である。二人は雑誌『思想の科学』でつながっていた。

――和子(姉の鶴見和子)は、脳出血の十年間の仕事が最高だった。
――お袋(家庭内暴力の人)とアメリカが私を育てた。親父は私に研究の種(転向)をくれた。
――(教育勅語には)諫争、つまり諫めること、臣下には諫争の義務があるということが抜け落ちているんです。

父は自分が総理になりたいから、伊藤博文の幼名「俊輔」から取って私を俊輔と名付けた。父の遺言を読むと、当初は軍部を抑えて戦争を止めるつもりだったが、二・二六事件以降は軍国主義に反対しなくなったとして、「ああいう連中」と批判し、縁を切っている。

この本の中で鶴見俊輔は「私は樹木のように成長する思想を信用するんだ」と語っている。反対陣営にいる上坂冬子の思想も樹木の成長のようだと評価する。知識人というものはケミカル・コンビネーション、すなわち人間力に支えられていないので信用できない。勉強して得たさまざまな思想を混ぜ合わせているにすぎない、というわけだ。

実体験から自分自身を作り上げた人がもつ人間力というしっかりした幹が、時間の経過とともに天空へ伸び、枝を張り、その先に葉を繁らせる。土台がしっかりしているから、少々のことではびくともしない。そういう人は信用できる。これこそ、「思想」を科学した鶴見俊輔の人間観である。

2009年5月第1版第1刷 PHP新書『対論・異色昭和史』鶴見俊輔・上阪冬子著 PHP研究所