新刊「40文字でわかる! 知っておきたいビジネス理論」、本日より書店

新刊「40文字でわかる! 知っておきたいビジネス理論」(PHP)を発刊。本日から書店に並び始めた。
久恒啓一&多摩大・図解アルチザン著。単行本。ソフトカバー。1080円。

40文字でわかる! 知っておきたいビジネス理論

40文字でわかる! 知っておきたいビジネス理論

ドラッカーコトラー、ポーター、ムーアなどのビジネス理論を一度読んでみたいと思って買ってみたけど、時間がなくて読めない。そんな方は多いのではないでしょうか?
本書は、そんな忙しくてなかなか読めない読者に向けた、短時間でラクに学べるビジネス理論の入門書です。40文字の要約、ポイントを絞った解説、わかりやすい図解で、「知っておきたいビジネス理論」が一夜でつかめます。
ドラッカーのマネジメント理論、コトラーマーケティング理論、ポーターの競争理論、ムーアのキャズム理論、キムとモボルニュのブルー・オーシャン戦略、ゴールドラットの制約理論、ゲーム理論クリティカルシンキングロジカルシンキング孫子の兵法。
日々の仕事に活かせる! すぐに使えるやさしい解説集。2013年8月に発行された大ヒット電子書籍(ゴマブックス刊)を再編集して書籍化!

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以下、「はじめに」。

 日本中に蔓延する文章中心主義に異議を唱えて、1990年に最初の著作『コミュニケーションのための図解の技術』(日本実業出版社)を上梓してから、ほぼ四半世紀が経った。
 この間、注文に応じて書いてきた書物は、気がつくと100冊を超えてきている。結果的に「図解コミュニケーション」の理論、技術、展開が一つの体系を形づくってきた。
 展開としては、経済白書、日本の白書、ドラッカー理論、女性の幸福論、知的生産手帳、会議の技術、仕事論・仕事術、社会的合意形成論、キャリア、人生戦略、ライフデザイン、世界の名著、日本の歴史など、図解化に取り組んだ分野は多岐にわたっている。
 海外での翻訳出版も多い。中国では「ドラッカー」など3冊、韓国では「ライフデザイン」や「仕事術」など8冊、台湾では「資本論」や「プレゼン」など7冊が既刊で、準備中の数も多い。特に東アジアの国々での需要が多い。また最近では、電子書籍の出版数が増えており、この5年で19冊を数えている。
 また、グローバルに事業を展開している大手企業や、JICA(国際協力機構)での国際コミュニケーション研修、財務省税関研修所でのODAを使った途上国の税関職員研修の講師陣を対象とした講演・研修にも出講しているが、世界言語としての「図解」の可能性を改めて確信するようになった。
 こうした「文章と箇条書き」を中心とした仕事のやり方への批判と、図解を用いたコミュニケーションのすすめは、ある程度の賛同者を得ていると判断しているが、まだまだ道は長い。

 私は現在の職場である多摩大学では、学部に加えて大学院で講義を持っている。大学院の講義は、品川キャンパスで金曜日の18時半から21時40分までだが、多摩大の大学院は社会人大学院であり、30代を中心としたイキのいいビジネスパーソンとの接触を愉しんでいる。メーカー、保険、IT、医療、自動車、公務員など様々の業界で活躍する人たちからいただく最新情報と接し、グローバル化する日本経済の現場の熱い息吹を浴びている感があり、実に楽しい時間を過ごしている。
 この大学院で私の講義を受講したOB・OGを集め、「多摩大・図解アルチザン」という集団を形成している。アルチザンとは、職人という意味で、専門的な優れた技術を身に着けた専門家という意味で使っている。毎年の講義を終える度に、図解職人が増えており、このメンバーで出版プロジェクトを行うことになった。
 最初は、マルクスの「資本論」を図解で読み解こうというプロジェクトだった。10人ほどのメンバーで取り組んだのだが、一カ月という短期間で図解と文章ができあがり、2009年に「久恒啓一&多摩大・図解アルチザン」としての初の出版となった。タイトルは『図解 資本論』(イーストプレス)である。2008年のリーマンショックで資本主義に対する疑念が生じていた時期だったこともあり、タイムリーな出版となった。
 この経験でわかったのは、ビジネスマンは締め切りを守るということだった。出版界では締め切りにルーズになることが多いのだが、納期を守るという日本のビジネスパーソンの美質に触れた感じがあった。
 その後、2013年には『40文字でわかる! 知っておきたいビジネス理論』(ゴマブックス)を電子書籍で出版したところ、電子書籍のベストセラーとなった。やはり10人ほどの図解アルチザンのメンバーで分担して図解と文章からなる書籍が完成した。これはアマゾンの「経営学・キャリア・MBA分野」ではトップを長く続けたし、「総合」でも「半沢直樹」などで売れっ子の池井戸潤の作品に肉薄する人気で、電子書籍としては異例の半年で5000部突破を記録した。
 また、2014年には、2009年に発刊した『図解 資本論』の電子書籍ゴマブックスから刊行したところ、これも多くの読者を得ている。
 この流れの中で、話題になった電子書籍を逆に紙の本として出そうということになり、結実したのが本書である。
 さて、『40文字でわかる! 知ってきたいビジネス理論』の電子書籍では、40文字での要約、理論の図解、ぜい肉を落とした簡単な解説、という構成でまとめたのが好評だったのだが、それを紙の本とほぼ同じやり方で編集するということになった。
 以下、本書で取り上げた理論や思想を簡単に紹介しておきたい。
 マネジメントの発明者で、世界の経営に甚大な影響を与えたピーター・ドラッカー。組織や企業経営の分野にとどまらず、個人のプロフェッショナルとしての生き方にも大きな影響を与えた思想家の言説。
 アメリカの経営学者で現代のマーケッティングの第一人者・コトラー。ハイテク市場においてはビジョナリー(アーリー・アダプター)と実利主義者(アーリー・マジョリティ)の間には深い溝「キャズム」があるとし、従来のイノベーター理論を否定した、ムーアが提唱したキャズム理論。
 競争の激しい血で血を洗う競争に洗われている既存業界市場を血の色を連想させるレッド・オーシャンとし、一方競争のない未開拓の青天井の市場をブルー・オーシャンと呼び、こちらを切り拓くことを説いたブルー・オーシャン戦略。低価格と高付加価値の両立を可能とする考え。ポーターの二者択一の競争戦略を批判したW・チャン・キムとレネ・モボルニュの理論。
 複雑なシステムの制約条件を継続的に改善して、企業のパフォーマンス向上を実現することを目的とした制約理論。ベストセラー小説『ザ・ゴール』の著者であり、物理学者であるエリヤフ・ゴールドラットが提唱した組織経営のための理論。
 意思決定者の間の紛争と協力という視点から導きだされた、両者のかけひきを重視する戦略的意思決定のゲーム理論
 みかけにとらわれず、事実を批判的にみて、かつ多角的にものごとをとらえて、本質をとらえようとするクリティカルシンキング
 ものごとを筋道をたてて、論理的にとらえようとするロジカルシンキング
 中国春秋時代の思想家孫武の作とされる兵法書孫子」は、時代と国境を超えて世界中の注目を集めてきた。その13篇からなる現実主義の兵法書
 
 このような理論は、多摩大学の社会人大学院ではすでに学んでおり、そしてわが図解職人たちは、難しい理論を図解する技術を身につけているから、このような主なビジネス理論を難なく料理できたのである。
 著名な碩学たちのビジネス理論の究極の要約である図解をみながら、その理論を検討する過程で、時代とかみあわない理屈や、疑問を感じる主張が出てくる。それをみんなで議論する時間はまさに創造的な時間だった。
 現在進行中のプロジェクトもあり、今後も「久恒啓一&多摩大・図解アルチザン」というブランドで、読者と同じ目線に立って、様々な事象や理論を料理していくつもりである。

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リレー講座は多摩大学大学院の徳岡晃一郎研究科長。
テーマは「成長戦略を実現するコミュニケーション戦略とは---企業コミュニケーションの最前線」。

  • テーマはコミュニケーション。特に組織内コミュニケーションが重要。
  • 疲弊する職場。将来を考える余裕がない。幹部社員は変革の推進ができない。
  • 解決するには基軸が必要だ。それは「思い」である。ビジョン、持論、見識、判断軸、覚悟、思想。未来観、仕事観、仕事の流儀、人生観、人材観、価値観。「思い」を持っているのがリーダーの資質。この「思い」を持て企業内コミュニケーションの再構築が必要だ。
  • サッチャー「明るい未来を構想できなければ、明るい未来はやってきません」
  • ゴーン「新しい社会をつくることが目標」「企画は5%、実行が95%」
  • イチロー「刺激を受けて新しい自分」「夢は50歳まで現役」「厳しい方を選ぶ」「上を目指している人は素晴らしい」「一番の近道は遠回りをすること。それが唯一の道」「終わりはない」「野球は10回中7回が失敗。その7回に可能性が含まれている」「子供のような気持ちでやっていきたい」。
  • 矢沢永吉「違うトビラを開ける」「若い頃は50歳あで現役ロックシンガーと言っていた」「やるべきものがあるから幸せ。感謝」「教えることはもう熱くないということ。いつまでも現場にいたい」「いいステージをいかにつくるぁ」「やめられない。ひたすら音楽と遊びたい」
  • 発信の質は情報とメッセージ。情報はデータ、自社。メッセージは思い、社会。メッセージを流せ。
  • 自分の問題意識リストをつくる:考え続ける。語れる相手を見つける。語り合う。
  • 組織を超えた場づくり:会社を超えたつながり。シャドウワーク(20%ルール)。MBA。教養。
  • 鼓舞する:INSPIRE。やってみなはれ。信じて任す。Jagged Innovation.