渡辺豪『「アメとムチ」の構図--普天間移設の内幕』(沖縄タイムス社)を読了。
- 作者: 渡辺豪
- 出版社/メーカー: 沖縄タイムス社
- 発売日: 2008/11
- メディア: 単行本
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この本は2008年に担当を離れた後8か月後に刊行されているから、政府とアメリカ、そして沖縄の登場する人物が多く、迫力がある。
沖縄問題をライフワークとして長い間沖縄の基地問題に関わり、防衛事務次官となるなど、この時期の沖縄問題の主役であった守屋武昌を中心に、描いている。
佐藤勉那覇防衛施設局長、額賀福志郎防衛庁長官、稲嶺恵一沖縄県知事、比嘉良彦県政策参与、西正憲那覇防衛施設局長、翁長雄志那覇市長、岸本健男那覇市長、島袋吉和名護市長、末松文信、中泊弘次、トーマス・ライク在沖米国総領事、ケビン・メア在沖米国総領事、ジョン・ヒル米国防省日本部長、宮城茂村長、仲井間弘多知事、小池百合子防衛庁長官、安倍晋三官房長官、、など当時の関係者が登場する。
この問題の一筋縄ではいかない複雑骨折した様相が丹念に描かれている。時代と人物の織りなす一大絵巻のようだ。
太平洋戦争で沖縄に犠牲を強いた日本政府は、「贖罪の精神」で、長く、そして粘り強く政策を行ってきたが、戦争を知らない若い世代の政治家が増えるにつれて、その意識は薄れていく。
経済振興策と基地負担を「アメとムチ」として露骨にセットで使い分けていくようになった。
地元の声はひとくくりにできず、また政府の方針も不変ではない。
基地問題は、アメリカの一人勝ちになっている。普天間代替施設の確保、嘉手納基地より南の非効率的な施設を日本の予算で北部に集約。普天間基地移設計画がとん挫しても失うものはない。
日本政府は在日米軍再編に関する巨額のコスト負担、地元との交渉という政治リスク、米側への履行責任を負っている。
全国一律の再編交付金の導入、在沖米軍機の本土の自衛隊基地への訓練移転など、「全国の沖縄化」が始まろうとしていると筆者は指摘し、安全保障政策のあり方を根本から問い直すべきであると結論付けている。
那覇市長としてこの本にたびたび登場する翁長雄志の言葉は、知事となった今の言動につながっている。
「県民のマグマ」「「沖縄に負担を押し付けてぬくぬくと生きていく日本という国はやはり当事者意識を欠いている」「県民同士がけんかさせられている状況」「橋本総理や小渕総理のような沖縄への思い」、、。
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名言の暦 7月20日
命日
生誕