文献探査とフィールドワーク、そして関わりと実感を大切にする方法論

「世界」の寺島実郎「脳力のレッスン」連載134回は、「岩見銀山と銀の地政学」。

ユネスコ世界遺産石見銀山の歴史を追った論考である。
1526年の博多の豪商神屋寿偵が発見、その後周防の大内義隆、尼子勝久、安芸の毛利元就豊臣秀吉を経て、金銀山を接収し鉱山経営を直轄支配したのが徳川家康である。この特別の財源によって政治的統一を果たした。明治維新で一時官営となったが、藤田組が借区権を取得し近代鉱山としての開発を進めた。そして採掘量の限界に直面し、1943年の大雨被害で400年を超す歴史を閉じた。

この小論考の中に研究の手法というものを垣間見ることができる。

  • 鳥取・米子での講演の後に、岩見銀山史跡に足を延ばした。
  • 内外の諸研究を集約すると、
  • 文献を集積するうち、
  • 私自身石炭の炭鉱に生まれ北海道・筑豊の炭鉱で少年時代を過ぎし、「炭鉱(ヤマ)」の生活が記憶の底にある。
  • 私の母の出身地は広島県神石郡油木(現・神石高原町)という福山から中国山脈を深く入った所だが、母の口から親類・縁者のいる場所として、三次、上下、笠岡といった地名を聞いたものだ。

膨大な文献探査と機会をとらえてのフィールドワークを土台に、自分自身との関わりと自らの体験を通じて実感的に対象を把握するという方法論は一貫している。ここに寺島さんの真骨頂がある。

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帰りに初めてのプール(稲城)でスイミング。いつもは平泳ぎだが、今日はクロールにトライしてみた。