劇団四季のコーラスライン--「もし踊れなくなったらどうする?」

夜は劇団四季コーラスラインを八王子のオリンパスホールで堪能。

ミュージカルの名作「コーラスライン」は、最初はロンドン、次はニューヨーク、そして東京で観たきた。
日本では劇団四季が1979年以来、40年近く演じている。
このミュージカルが人気があるのは、17人のダンサーと演出家を含めたの18人の人生への共感が胸に迫ってくるからだろう。

舞台の上に引かれた一本の線(コーラスライン)はメインキャストとバックダンサーを隔てる高い壁。
鍛えられた肉体が放つダンスの迫力にも感動するが、希望と不安を抱きながら夢を追い求める若人たちの情熱、葛藤、誇りなどが展開される。
家庭環境、コンプレックス、性の問題、年齢の恐怖、過去の栄光と現実との乖離、、、、。みんな問題を抱えている。

この舞台で踊るダンサーたちは1950年代生まれが中心で、当時ほとんどが20代の設定だ。
「もし踊れなくなったらどうする?」という演出家ザックの問いかけで核心に入っていくのだが、いま彼らはどうしているだろうか。

一人ひとりはみんな特別な人なのだ。
演出家のザックは私自身のような気がした。
自分の人生を裁判にかけられているような気さえしてくる。観客たちはそれを目撃しているという設定である。
不安を抱えながら、今を懸命に生きようとする若者たちの姿に生きる勇気をもらえるむミュージカルだ。

「名言との対話」1月13日。丸木俊

  • 「やられる側の人間を美しく描きたい」
    • 墨の名手・丸木位里と力強い女流デッサン家・丸木俊がつくった「原爆の図」が常時展示されている丸木美術館は、埼玉県東松山市にある。そばを流れる都幾川丸木位里の故郷である広島県太田川の風景に似ていたためにこの地に美術館をつくった。ここで15部の屏風図の連作を観た。墨一色の画面に、必要に応じて紅を使う原爆の図の悲惨さは観る人の心を強く揺さぶる。
    • 攻撃する側とされる側。差別する側とされる側。探検する側とされる側。、、、、。丸木俊は徹底的にやられる側に立つ人間である。その人たちの悲惨さを美しく描くことは難しいが、愛情と共感を持って、人々の心の奥底を揺さぶる作品を描き続けている。アウシュビッツ南京大虐殺水俣原発三里塚、、、。どの作品も圧倒的な迫力で迫ってくる。
    • 丸木俊には柔らかいタッチで描いた絵本群があり、いわさきちひろも指導し強く影響を与えてもいる。やさしい心根の人なのだ。
    • 彼女とその夫・位里も1995年のノーベル平和賞候補に擬せられている。それほど世界の人々の心に響く作品を描いている。1月13日は丸木俊が没した日。