新しき村美術館(武者小路実篤記念)と万葉歌碑を巡る旅

k-hisatune2010-05-25

母親が九州から上京している。先週は妹のところにいた。中国の青島高等女学校の同窓会が品川であり、全員が高齢のため今回で終わりである。朝日新聞にこの記事が出ていた。
今週は弟のところを経由して私のところにいる。83歳の母には「万葉歌碑を巡る旅」というライフワークがあり。住んでいる九州はもちろんだが、子供達の転勤も材料に東京、東北にも足をのばしている。毎回、一緒に万葉歌碑を巡るが、今回は弟の新しい職場である埼玉にでかけた。母と家内と私の三人の旅。

まず、埼玉県入間郡毛呂山町武者小路実篤の「財団法人新しき村」を訪問。宮崎県日向につくった新しくき村の一部が水没したため、この地に東の村を建設する。約十へクタールの土地である。
ここに「武者小路実篤記念 新しき村美術館」がある。武者小路の絵、言葉、焼き物などを展示した美術館である。作品は1万2千。感想、随筆、雑文などだが、一番甥のは長短の感想である。

大河を濁れども 大海は清し(新しき村43周年祝日)
天に星 地に花 人に愛

日日新 日日決心 日日真剣 日日勉強 日日生長

人間の誠意が生きるところ 人間の真価が通用するところ その他のものが通用しないところ それが新しき村である (1947年 62歳)

自然玄妙

和敬清寂

不如楽之

画道三昧

桃栗三年 柿八年 達磨は九年 俺は一生(90歳)

共に咲く喜び(九十歳)

志賀直哉「小器用なものと異なってこういう画には見厭きをするという事がないあ」
梅原龍三郎「常に美しと見る処を恐れず飾らず遅疑する事なく率直に表現して、淡々とした美しさを湧き出させている」
中川一政「端正で正面からかいてゆく。また技術を弄しない。いきなりムーブマンとフォルムを掴んでしまう」

決心せるものが村に
五人いれば
天下は動く
五人が十人になり
五十人になり百人に
なる   満70歳の誕生日
為 新しき村諸兄姉

食堂・売店では卵m米、茶、しいたけを売っている。
この村には「長」はいない。

美術館の河内洋子さんと少し話をする。
「現在は17人、男の割合が多い。40代から。入村して52年。現在75歳。武者小路実篤先生は、やさしい、きびしい、こまやかな、いい先生でした。今でも本を読んだりすると感動します。この村も72年の歴史。開墾から始まった。日向は92年」この人はギリシャスパルタスロンという世界でもっとも過酷な250キロマラソン(36時間以内)を、69歳で完走したおいう。当時は世界最高齢だったそうだ。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
次に、日高市大字高麗本郷巾着田に歌碑を訪ねる。

高麗錦(こまにしき) 紐解き放(さ)けて 寝るが上(へ)に 何(あ)ど為(せ)ろうかとも あやに愛(かな)しき  万葉14巻 3465
 (高級な錦織である高麗錦の紐を解いて共寝もしたのに、まだ恋しさが増す。この上、一体何をすればよいのか。ふしぎなほどに愛らしいことよ)
 万葉学者の中西進文学博士の揮毫

入間地の おほやが原の いはいずら 引かばぬるぬる 吾に絶えぞ?)ね
 (武蔵国府中から上野国邑楽郡に至る官道である入間道のおおやが原のいわい葛を引けば、ぬるぬる寄ってくるようにあなたと私の仲を絶やさないでください)
 大阪大学名誉教授犬養孝先生の揮毫