「キーワード思考」-関係性の連鎖で思考を積み上げていく

寺島実郎さんが雑誌「世界」に連載中の「脳力のレッスン」の118(2月号)は、特別篇「世界認識の鮮明なる転換--2012年日本の覚悟」だ。
寺島さんの論考の特徴の一つは、キーワードの連鎖で物事の本質に迫ることである。今回も華麗なキーワードを繰り出しながら、冷戦時代から冷戦後の世界への向けての意識の転換を主張している。事象の本質をえぐるキーワードの関係性の連鎖で思考を積み上げていくというやり方である。
会話調のためににカッコで括られた言葉を除き、カッコで括られたキーワードを以下に並べてみると、論考の概要とストーリーが見えてくる。

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「3・11の衝撃」「適応障害」「世界史のダイナミズム」「アラブの春」「中東の民主化」「無極化」「日米欧トライラテラル」日本「不幸な自然災害による苦闘」「原発安全神話の崩壊」米国「イラクの失敗」「正当性の消失」「財政の疲弊」」「リーマンショック」「冷戦後の唯一の超大国」。欧州「共通通貨ユーロ」「欧州の実験」。

2001年の歴史的意味の再確認
「資本主義対社会主義」「55年体制」「自民党社会党」「一極支配」「唯一の超大国アメリカ」「米国流資本主義の世界化」「グローバル化」「平和の配当」「9・11」冷戦後20年」「9・11から10年」「内向」「縮軍」「債務不履行」金融資本主義の肥大化と歪み」「ドル下落」「超大国米国」「ネオコン

迫られる世界観の転換
「AESANプラス3」「綱引き」「ソ連の脅威」「日米関係は米中関係である」「海兵隊の欧州駐留」「米中戦略経済対話」「米中シェールガス・タスクフォース協定」「アメリカの虎の尾、、」「沖縄の負担軽減」「抑止力」「日米戦略対話」「普天間辺野古移転」

問われる日本の自覚
「知米派米国人」「トモダチ作戦」「抑圧的寛容」「思いやり」「分断統治」「ジャパンハンド」「安保マフィア」「舞台裏の本音」「全員参加型秩序」「冷戦型思考」「自由と繁栄の弧」「日米同盟の深化(進化ではなく)」「米国周辺国」「冷戦孤児」

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118回目の連載、ということはほぼ10年間この連載が続いているということだ。時代と並走しながら、「本質を見抜く眼識で新たな時代を切拓く」論考を継続的に積み重ねることは容易なことではない。

以下、最近の読書から。

自立へのシナリオ~自己解決の項目を産業化せよ~

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プロの知的生産術 (PHPビジネス新書)

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資産フライト 「増税日本」から脱出する方法 (文春新書)

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