寺島実郎「2015年夏、日本の選択---問われる世界観」

第6期寺島文庫リレー塾2015「世界潮流と日本---いまの時代をどう生きるのか」。
2010年から始まったこの塾はには延べ5450人が参加している。
時間の堆積とはすごいものだ。

第1回 寺島実郎「2015年夏、日本の選択---問われる世界観」
第2回 泉麻人「街歩きから学ぶ、時代の空気」
第3回 藤原帰一「戦後外交をどう捉えるか---吉田ドクトリンから安倍ドクトリンまで」
第4回 村上憲郎「グローバル時代を生き抜く」
第5回 星浩「日本政治の課題」
第6回 寺島実郎「世界の構造転換と日本---総括として」

本日は第1回。

  • 時代に真剣に向き合う空気。時代をどう認識するか。歴史の鏡を磨くこと。
  • 100年前の日本。1914年の第一次世界大戦から1919年のベルサイユ条約まで。運命の5年間。親亜から侵亜細亜へ。中国への劣等感が、優越感に反転していく。
  • 現在の日本。中国への優越感が反転し、迷走。
    • 第二次世界大戦の日本人の総括はアメリカの物量に負けただった。実際は米中の連携の負けた。戦後は物量で甦ろうとした。経済主義者になってGDP世界2位まで国力を伸ばした。
    • 今の日本の空気は中国への嫌悪感、猜疑心。2010年に中国は日本を抜き、2014年に日本の2倍になり、2017年には3倍になろうとしている。一人当たりGDPでも日本は3.6万ドルでアジア4位、世界27位に転落。中国やタイも1万ドルの迫り、台湾も2.6万ドル。中国への対抗心、しかし経済は中国への依存。
  • キッシンジャーの「World Order」。1648年のウエストファリア条約以来の「世界秩序」の構造変化に直面。
    • 「主権」「内政不干渉」の重視、「宗教的権威」からの解放という「近代の原則」
    • 直面するイスラム・ジハード主義の台頭、混迷する欧州リベラリズム、冷戦の覇権国家米国の後退。
    • イスラム国の登場:1916年の協定による中東の線引き国境の液状化ウクライナ、クリミヤ半島。冷戦終結後、米国の一極支配、BRICSなどの多極化、無極化・全員参加型秩序。今後何が出てくるのか?)
  • ジョセフ・ナイの「アメリカの世紀は終わったのか?」。
    • 超大国アメリカの役割は後退。しかしソフトパワー[普遍的価値)は優位。中東はかつての欧州の「30年戦争」を想わせる混乱(サウジとイランの対立)。ロシアは深刻な衰退途上。中露接近は短期で長期には相互不信が露呈。欧州はプーチンの軍事パワーを再認識。東アジアでは日本との同盟を維持し、中国の台頭を「慎重な関与清濁で管理」。核保有国は9か国(米中露仏英、イスラエル、インド、パキスタン北朝鮮)。
  • ミシェル・ボーの「資本主義の世界史」。
  • 沖縄という視界
    • 脳力のレッスンの3つの論考:79pの「朝鮮通信使」。81の中国との国交なき交易。96pの琉球王国
    • 1:近代の台湾・朝鮮・沖縄から、沖縄はなぜ独立しなかったのか?
      • 20万人以上の死者、市民も10万人以上で独立どころではなかった。
      • 1972年の沖縄の本土復帰。中国派4人組・文化大革命で混乱、戦後日本への共鳴、しかし失望に反転。
    • 2:米軍はなぜ北海道に基地を置かずに沖縄に置いたのか?
      • 日米安保条約の対象はソ連だった。三沢の通信基地を北限にし、日本の一番南に構えた。まずは様子見。
      • 沖縄の基地は米海兵隊が74%。海兵隊が血であがなった島という認識。
    • 3:民主党政権から5年間の経年変化で日米合意の持つ意味が変わっている。
      • 沖縄の意思の変化。
      • 尖閣問題で日米同盟の本質がみえた。アメリカは「領有権にはコミットしない。日米同盟の責任は果たす」。日中対立から起こる米中戦争は避けよう。日本の同盟負担の増加は歓迎。今3000人の水陸両用部隊を育成中でこれは日本版マリーン(海兵隊)。ドイツと同じように本当に必要なものを厳選すべき。全体解の中での部分解を求めるべきだ。
  • 戦後70年の3つの首相演説。
    • バンドン会議60年演説:非同盟諸国、とくにインドのネルー首相んお配慮で招待された。バンドン精神。LT貿易。今、どう思うかを話すべきだった。
    • アメリカ上下両院演説:アメリカに負けたという認識。アジアが見えていない。
    • 戦後70年談話:台湾。朝鮮にちぃては述べたが、沖縄を忘れている。沖縄をはずしては戦後日本は語れない。
  • 独立国家に外国の軍隊が駐留し続けることはおかしい。日本はアメリカ、中国の周辺国ではないという立ち位置に立つべき。
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義母の葬儀と告別式。

戒名は「寿照院慈室静眼大姉」。慈しみの心と優しい眼差しの人という意味。
戒名とは仏弟子になるということ。
寿照院は年を重ねた篤信の人という意味。
慈室は徳号。
静眼が戒名。
大姉は女性の位号。居士は男性の位号。

今日の一句
  義母逝きぬ 己の留守の 式案じ
  百日紅 白棺かつぐ 喪服隊