
- 作者: 村上龍
- 出版社/メーカー: 幻冬舎
- 発売日: 2015/08/06
- メディア: 単行本
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著名な文化人や仕事ができる人には「おしゃれ」な男はいない、と著者の村上龍は言う。
充分に魅力があるので、特権的にそういうものとは無縁に生きることができるからだ。
こういうテーマとそれを巡る意見から始まって、編集部の提出するテーマにしたがってミニエッセイを書くき、それをまとめた本だ。
贈り物、クールジャパン、韓流ドラマ、企業の不祥事、インターネットと読書、政治意識、日本語、アベノミクス、幸福、夢、高齢化社会、地方の自立、加齢、物流、イノベーション、観光立国、住まい、歴史に学ぶ、定年、など。
私は村上龍の優れた小説を若いころから比較的読んでいる方だし、一時は仕事でつき合ってもいたから、こういうエッセイから染み出る本音にも興味がある。
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- 北朝鮮のコマンド部隊が福岡ドームを占拠するところから始まる「半島を出よ」は、映画に向いているが、資金不足で未だに作品になっていない。
- デパートに入っても欲しい物がない。需要の拡大の本質は、欲望と想像力の復活であろうが、そういうことが起こることには悲観的になっている。アベノミクスが失敗すれば絶望はさらに深まる。
- 心身の衰えはあるが、それなりの収入があれば、不幸をある程度回避できるのは真実だ。金で買えないものは信頼であり、それは継続的なコミュニケーションによって形成される。
- 小説を書くという仕事をしていると、情報の氾濫のなかで取捨選択に迷うことはない。そして大事なのは「想像力」である。(創造力の源泉は想像力)
- 韓流ドラマの根本には「恨」がある。復讐と精神的浄化という思考様式だ。言いたいこと、言わなくてもいいことまで全部言う。
- 理想の住まいなど考えたことはない。原稿が書けるスペースとプライバシーがあれば充分だ。
- 景気が悪く需要が出ないのはデフレのせいではなく、単に使えるお金が不充分だったからだ。
- 革新のスピードが緩み、ITフロンティアの限界がみえたときに世界はどう変わるか、を想像している。
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村上は「カンブリア宮殿」でさまざまの経営者と接してわかったこととして、「小さな経済圏」を作る動きが広がっていると感じているようだ。他に依存することなく、理念を共有して信頼に基づいた独自のネットワークである。それは「共生」という新しいムーブメントである、というのが著者の結論になっている。
村上龍の次のテーマは、IT革命の終焉と、その後に訪れる共生による小さな経済圏の未来の物語ではないだろうか。