
- 作者: 白井聡
- 出版社/メーカー: 太田出版
- 発売日: 2013/03/08
- メディア: 単行本
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初の本格的な著作であるにもかかわらず、石橋湛山賞を受賞したのもうなづける衝撃の名著である。
戦後は戦前と連続しており、戦後日本の国体は米国に対する永続敗戦であると断じる。
戦後日本は一見民主国家であるが、実際は米国に奉仕し続けている主権のない傀儡国家である。
そのフラストレーションはアジア諸国に対する優越的対応である。
それを端的に表しているのが、敗戦ではなく終戦という言葉を使い、責任をうやむやにして、戦前と戦後をつないだ人々である。
彼らは、この米国追従の国体を完成させようとしている。それは敗戦が永続することを意味している。
そのことが明らかになったのは、政府が住民避難に全力を尽くさなかった一方で米軍には情報を提供し、さらにこの事故の責任がうやむやになった3・11の原発事故が契機となった。事故発生の議事録もない。戦前・戦中の無責任の体系であり、体制は腐敗しきっている。メディアも学界も荒廃してる姿をさらした。
こういった戦後の国体をどうやって破壊するか。
各人が自らの命をかけても護るべきものを真に見出し、それを確信へと高めることができるなら知的・倫理的怠惰を燃料としている怪物的国体は変えることができるはずである。
- 地震・津波と事故は、「戦後」というパンドラの箱を開けた。「平和と繁栄」の時代が完全に終わり、その逆の「戦争と衰退」の時代の幕開けを意味する。
- 問題の本質は突き詰めれば常に、「対米従属」という構造に行き着く。
- 「戦後」とはひとつの牢獄であったのだとすれば、それを破るには、自覚的で知的な努力が必要とされる。
- 純然たる「敗戦」を「終戦」と呼びかえるという欺瞞によって戦後日本のレジームの根本が成り立っている。
- 日本の本土こそ特殊であり、沖縄のケースこそ一般性を体現している。
- 際限のない対米従属を続けていう限り、敗戦を否認し続けることができる。かかる状況を「永続敗戦」と呼ぶ。
- 国内とアジアには敗戦を否認し「信念」を満足させ、自分たちの勢力を容認する米国に対しては卑屈な臣従を続ける、、
- 戦後とは、、敗戦の事実を無意識の彼方に隠ぺいしつつ戦前の権力構造を相当程度温存したまま、近隣諸国との友好関係をカネで買いながら、「平和と安定」を享受してきた時代であった。
- 日本国憲法に退廃を見いだす右派(占領軍の打算の理解ができない)も、反対に道義を見いだす左派(その打算が当然の国家行為と理解しない)も、、いずれも欺瞞を抱えざるを得ない。
- 米国のTPP戦略はリーマンショックの窮状からの脱出戦略である。保険・医療・金融・農業における米国主導のルール設定と日本市場の獲得という露骨な帝国主義的策動が含まれている。
- TPPの標的は「非関税障壁」。それは独自の商慣行、安全基準、税制規制、製品規格などのローカル・ルールである。
- 中国と日本が接近・協同し米国中心の世界秩序への挑戦を企てることが最悪であり、常に両者に火種を残しておくことが重要な戦略である。
- 日本の戦後民主主義は、冷戦の最前線を韓国・台湾等に担わせることによって生じた地政学的余裕を基盤に犠牲的に成立可能となったのにすぎない。
- 絶対的な平和主義を憲法上規定しならがら、アジアでも戦争を経済発展の好機として利用、非核三原則を国是としながら米国の核の傘の存在を自明的な前提としてきたシニズムはいま清算を迫られている。
- アジアにおける圧倒的な経済的優位にかげりが見える今、優位性の相対化に伴い、永続敗戦レジームは耐用年数を終えた。
- 永続敗戦レジームの主導者たちは、、新しい国体に深く依存しながら、再び「犠牲のシステム」を構築しようとしている。
- 戦争終結の決断の本質は、革命よりは敗戦がましという選択だった。
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「名言の暦」12月22日
命日
- ゲーテ1832:気持ちよい生活をつくろうと思ったら、済んだことをくよくよせぬこと、滅多なことに腹を立てぬこと、いつも現在を楽しむこと、とりわけ人を憎まぬこと、未来を神に任せること。
- 新美南吉1943:
- 丹下健三2005:美しきもののみ機能的である。
- 城山三郎2007:無所属の身である以上、ふだんは話し相手もなければ、叱られたり、励まされたりすることもないので、絶えず自分で自分を監視し、自分に檄を飛ばし、自分に声をかける他はない。
生誕