アマゾンが始めたオーディブル(月1500円で聴き放題)のマイデータによると、4月以来現在まで117本を耳で聴いていることになった。本をスマートフォンで自由に聴くアマゾンのオーディオブック聴き放題サービスだ。
この実績は驚きだ。通勤途上、移動中、散歩中、など折に触れて聴いているが、100冊を超えてきた。こういうことは紙の本ではできない。著者が語る講演などは実に愉しい。
「耳で聴く」という読書の可能性は高い。
- 4月:浅田次郎「中国近代史を読む」「私本太平記02/03/04/05」。司馬遼太郎「おお、大砲」。
- 5月:林望「慶応MCCセレクション」。高橋克彦「浮世絵は裏を読む」半藤一利「漱石と司馬遼太郎が見た日本」陳舜臣「文化の源流シルクロード」。宮本亜門「亜門流コーチング」。和田秀樹「生涯学習のススメ」。丸谷才一「からごころは嘘をつく」。杉本苑子「万葉の妻たち娘たち」。長部日出雄「人生の転機」。山崎豊子「大地の子と私」。宮本輝「小説が生まれる時」。阿川弘之「日本人のユーモア」。松本清張「菊池寛の文学」。なかにし礼「長崎ぶらぶら節で出会う」。藤本義一「言葉と文学」。上坂冬子「繁栄日本の陰に」。吉本隆明「生きること、について」。永井路子「歴史をさわがせた女たち」。井深大「私の自叙伝」。やなせたかし「カミさんと育てたアンパンマン」。宮尾登美子「いま女はさまざまに生きる」。山崎朋子「アジアの女・アジアの声」。平岩弓枝「秘話かわせみ」。城山三郎「人間的魅力について」。遠藤周作「初夏の雑談」。山本七平「伝統と現代」。稲森和夫「逆境の時代を生き抜く」。夏目漱石「随筆集第3巻:文士の生活、学生時代」。夏目漱石「思い出すことども」。吉村昭「空襲の記憶」。綱淵謙錠「幕末に生きる」。久保田達也「iPhoneが変える」シリーズ4巻。茂木健一郎「脳と創造性」。吉本隆明「鴎外と漱石」。司馬遼太郎「逃げの小五郎」「天明の絵師」「真説宮本武蔵」。
- 6月:ガンディ「My Spiritual Message」。「大師匠を語る・五代目古今亭志ん生」。阿刀田高「好奇心紀行」。出久根達郎「本のお口よごしですが」。糸井重里「小さいことばを歌う場所」。永六輔「富山から日本を見ると」。笹沢佐保「縁は異なもの」。上田惇生「60分でわかるドラッカー」。井上ひさし「小説と芝居について」。童門冬二「勝海舟−−歴史に学ぶ人間学」「徳川慶喜」。池田勇人「昭和の証言」「岸信介」。内藤湖南「聖徳太子」。井沢元彦「聴く歴史−−頼朝」「高杉晋作」「。半藤一利「幕末史01−−09」。佐高信「西郷隆盛伝説」。
- 7月:津本陽「海舟の果たした役割」。童門冬二「福沢諭吉・咸臨丸の旅」。加来耕三「坂本龍馬と岩崎弥太郎」。「昭和の証言・吉田茂」。安部龍太郎「天下布武への道:上下」。童門冬二「上杉鷹山」。
「名言との対話」7月12日。鈴木大拙。
- 「成長はまたつねに苦痛をともなう」
- 鈴木大拙(1870−1966年)は禅の研究を通して東洋の思想を世界に伝えた人物である。存命中の1960年発行の「ライフ」で「世界に現存する最高の哲学者は誰か」という世論調査で圧倒的多数で鈴木大拙が選ばれている。7月12日逝去。
- 大拙の最終学歴は「中卒」である。在籍した第四高等学校、東京専門学校、帝国大学文科大学は、いずれも中退しているからだ。四高時代には、西田幾多郎(哲学者)、山本良吉(武蔵高校の創設校長)、藤岡作太郎(国文学者)と巡り合っている。また、大拙は安宅産業を起こした安宅弥吉が献身的な支援を惜しまなかったこともあり、紆余曲折を経て世界的人物になった。
- 後に石川県専門学校(のちの四高)時代の数学教師であった師の北条時敬(ときゆき)は、欧州滞在中の大拙と会う。北条は「実に堅忍勉学、身を立てたる人物なり」といい、「同氏は学生時代には優秀人物に非ザリシニ」と書いている。大拙は年齢を重ねるごとに大きくなっていった遅咲きの人であった。
- 「外は広く、内は深い」
- 「アーチスト・オブ・ライフ」。生きるということの芸術家という意味だ。芸術家は表現をするための道具が必要だが、誰もが持っている肉体を粗材とし、道具とし、生活の中に表現することは誰でもできる。それが人生の芸術家であり、自らの日常生活を芸術品に仕上げていくのが理想である。
- 苦痛とは天の意志である。苦しめば苦しむほど人格は深くなり、その深まりとともにより深く人生の秘密を読み取るようになる。苦しみと悲しみが深くなければ真実の人生を味わうことはできない。苦痛とは成長のことである。