人生鳥瞰図。全集2巻。リモートインタビュー。

今週初めて午後は都心。荻窪と永田町で一仕事。

午前:14回目の授業:人生鳥瞰図のレポートに取り組む時間。

14時半:荻窪の出版社:「全集」第2巻の進捗状況を確認。見本2月25日あたり。配本3月11日あたり。奥付は3月28日。クラウドファンディングのリターンの出版記念会は延期に。

16時から2時間強:永田町のP出版社:春に出すキャリア関係の次回著作のインタビュー。九州を含む三カ所からのリモートで2時間。「三段ロケット。老人の生産性。人がいない。希少価値。可処分。スター。×デジタル。、、、、」。出版の新しい企画も浮上。

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「名言との対話」1月21日。吉沢久子「歳をとって初めて出会う自分が面白くてたまらない」

吉沢 久子(よしざわ ひさこ、1918年1月21日 - 2019年3月21日 )は、日本の評論家・随筆家。

15歳から働きはじめ、事務員、速記者などを経て、文芸評論家の古谷綱武の秘書をつとめ、後に10歳年長の古谷と30歳で結婚する。家庭生活での見聞や、折々の暮らしの問題点、食文化などについて提案するようになり、家事評論家第一号として執筆や講演、そしてラジオ、テレビなどで活躍した。夫、姑と死別したのち、66歳から一人暮らしをはじめ、35年後の101歳で大往生したセンテナリアンだ。

  『101歳。ひとり暮らしの心得』(中公文庫)を読んだ。

夫と姑の影響が強いようで、よく二人のことが出てくる。1984年に没した夫は1936年から1978年まで間断なく著書を刊行し続けた文芸評論家で、テレビでよくみかけたニュースキャスターの古谷綱正は弟だ。

夫からは「人の欠点は、見えても見るな。いいところだけを見るようにしろ」「できる範囲でスポンサーになって、若い人から教えてもらおうという気持ちが大事なんだ」「美しいものを見逃すな」と指導された。夫は吉沢にとっては先生だったのだろう。

90歳を過ぎてもフォークとナイフをつかってボリュームたっぷりのタンシチューを楽しむ姑から学んだことの一つは、おしゃれと身だしなみだ。おしゃれはおでかけのときの格好、身だしなみは日常生活できちっとすることだ。吉沢久子は秘書時代には、文化学院、東京栄養学院東京学院に学んでいる。こうやってながめてみると、この人は生涯にわたって学び続けた人だということがわかる。

人生100年時代を迎えるようになって、高齢になった吉沢久子にはファンがさらについた。本の執筆量は半端ではない。1953年の35歳から、2018年の100歳まで、実に65年間にわたり、著書を刊行し続けている。100歳になった2018年には、過去の著作の再編集もあるとはいえ、以下のように7冊を出版しているのは驚きだ。『春夏秋冬しあわせを呼ぶ生き方』(海竜社 )。『今日を悔いなく幸せに』(中公文庫) 。『100歳。今日も楽しい 達人吉沢久子』(主婦の友社)。『100歳のほんとうの幸福』(PHP研究所)。『100歳の100の知恵』(中央公論新社)。『吉沢久子100歳のおいしい台所』(集英社文庫)。『楽しく百歳、元気のコツ』(新日本出版社)。

66歳から一人暮らしで35年の老後を生きた吉沢は、101歳で出したこの本で、生きがいは「日本人の生活史」について学ぶこと、まとめることと書いている。いつまでもテーマを持っていたのだ。

暮らし十訓で「しないこと十訓」をあげている。「愚痴は言わない。世間体は考えない。義理の付き合いはしない。人間関係は腹八分目。人と自分を比べない。相手に多くを望まない。悪口や噂話はしない。プライドを傷つけない。金銭の借り貸しはしない。人に口出しをしない」。こういう老人は愛されるに違いないだろう。

 夫・古谷綱武は晩年に「歳をとって初めて出会う自分が面白くてたまらない」と語っていたそうだ。久子も同じ心境だったのだろう。未知の世界を生きる未知の自分という存在を面白がって楽しもう。

101歳。ひとり暮らしの心得 (中公文庫)