知的生産の基地としての「書斎」:「デン」「ライブラリー」「スタディ」、そして「スタジオ」へ。

お盆の間に、「こんまり先生」の信奉者の娘の指導の下、知的生産の基地である「書斎」の断捨離を決行。「ときめくもの」は残し、「ときめかない」ものは感謝してふさわしいやり方で処分する。

若いビジネスマン時代から自宅の中で、書斎にあこがれ、場所を確保することにつとめてきた。書斎という言葉は、神聖な感じがあり好きだが、他のいい方もさがしてきた。

「デン」はゆっくり過ごす「隠れ家」だ。「ライブラリー」は個人用の図書室という感じ。「スタディ」は勉強部屋か。「リーディングルーム」、「アトリエ」、「工房」という言葉もある。これらのニュアンスをすべて含む言葉は何だろうか。

ここ数年のコロナ禍でZOOMを活用したリモートの時代に一気になった。55インチの大型モニター(多くのファイルを開いていても目が行き届く)、2画面の採用(ギャラリー画面と共有画面を同時にみる)、専用カメラ(上下左右に動かすことができる)、ライト(自分の顔の表情が引き立つ)の購入などで、随分と変化してきた。どうやら、映像、動画、音声などに気を配る「スタジオ」らしくなってきた感じがある。

「ライブラリー」という側面で、3つの種類の本と資料を並べている。「私をつくった本」は影響を受けてきた師たちの本や、座右の書たち(机の右手の棚)。「私がつくった本」は過去に営々として励んできた知的生産の成果である著作や報告書たち。「私がつくる本」は未来にむけてまとめようとしているプロジェクト関係の資料類。この考えで棚を分類したことによって、すっきりした。

次の断捨離の課題は「ボックスファイル」だが、これは過去のデータの保管が主ではなく、現在進行形の各種プロジェクトを中心にしたい。いわば「ライブ」のファイルだ。

パソコンの中には、過去のデータがデジタルのかたちで残っている。現物としては、使う可能性のある「保管」と、資料として「保存」すべきものは、書庫として使っている部屋や貸倉庫に置いているが、ここも断捨離が必要だ。

私が毎日使うこの部屋は、ライブ感覚にあふれた、風通しのよい空間にしていきたい。「今まで」をながめながら、「今」を大切にして、「今から」に心を躍らせる、そんな空間に磨き上げていきたい。

 

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4年前の2018年はこんな状態。

 

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「名言との対話」8月15日。内藤豊次「製薬業の核になるのは研究室でなくてはならない」

内藤 豊次(ないとう とよじ、明治22年(1889年8月15日 - 昭和53年(1978年3月20日)は、日本実業家エーザイ創業者。

福井県越前町出身。旧制中学を2年で中退し、15歳から大阪に出て、工場、貿易、軍隊など実務の中で「独学」で猛烈な情熱で学んでいく。1915年、現在の田辺三菱製薬で仕事をし、在籍のまま新薬の開発研究が目的の桜が丘研究所を設立。1941年、日本衛材(株)を創業。この「衛材」が後の社名になる。1943年、常務取締役を退任し、桜が岡研究所と日本衛材の経営に専念し、社長になる。1955年、社名をエーザイ株式会社に変える。1966年、会長。1969年、内藤記念科学振興財団を設立し理事長に就任。1978年、死去。享年88。

旧制中学2年の時に、サミュエル・スマイルズ西国立志編』を読んで感激し、「天は自ら助くるものを助く」を座右の銘とした。

「健康」に関する関心が高かった。エーザイ株式会社のホームページには、内藤豊次の人生観、仕事観、家庭観、健康観が紹介されている。
「夜の宴会には、出ない習慣」「昼は鬼、夜は仏」「定年から、人生再出発」などが目立つが、それ以外にも「働けることが、一番の幸せ」「「よく眠れば、気分爽快」「毎朝、歩きながらの体操」「楽しい朝食づくり」「健康で文化的な住まい」がある。

内藤豊次は、輸入薬に頼っていた業界に不満を持っており、「新薬」の開発にこだわって事業を展開した。ビタミンE剤「ユベラ」、「チョコラ」などから始まって、数々の新薬で、日本のトップ級の製薬企業になり、海外展開も盛んである。

私は、エーザイとは縁が深い。2000年代後半の数年にわたって、創造性開発をテーマとした社員研修を担当したことがある。「ヒューマンヘルスケア」というエーザイの企業理念なども扱った。

今までの私の講演の分野でも「医療」は一つのジャンルになっている。大分医師会、青森医師会、仙台歯科医師会、東北大学医学部第二外科同窓会「ひょんの木会」、開業医の会である昭和医会、また看護協会、全国保健師協会、そしてエーザイをはじめ、第一製薬山之内製薬ファイザー製薬といった製薬業界、さらに医薬品卸の業界団体など過去の講演先が思い浮かぶ。

特に、エーザイは講演・研修の回数も多く、研修部門との交流も深く、人材の質の高さに感銘を受けていた。創業者の内藤豊次の「新薬」にかける情熱は、引き継がれているようで、博士号を持つ社員も多く、勉強家が多かった印象がある。最近では認知症の予防薬でも先端を走っているから、「研究」を大切にする創業者の志が生きていると感じる。