東大の教養学部の先生たちが書いた「知の技法」(基礎ゼミの副読本として編集)という本が随分前にベストセラーになって話題になったことがある。その著者の一人がこの船曳先生だ。「良くも悪しくも日本の大学の典型である東大」を内部から眺めた文化人類学的考察となっている。
300人の教師がいる教養学部に属するこの先生は、自身を「無名ではない、かといって大変有名ではない、というくらいです」と評価している。
第1章「ゼミの風景から」では先生、学生、技法、ゼミの明暗。
第2章「大学教授の一日と半生」では、大学教授はいつ、どこで働く、大学教授の一日、大学教授の半生。
第3章「大学の快楽と憂鬱」では、大学の快楽と憂鬱とは裏表である、大学は組織である、大学は世界の一部である。
第4章「大学人の二足のわらじ」では、研究と教育、仕事と家庭、個人と公人。
ヒント
・2年に一回のOB/OGの大集合のオールゼミパーティ(11月最後の土曜日)
・メーリングリストの活用と管理者--危険なツールの使いこなしを学ぶ
印象に残った言葉
・生産力は集中力プラス持続力です
・ゼミは12人が最高
・もっとも大学らしい知の形式とはゼミのことだ
・使いやすい大きな図書館と有能な秘書が必要だ
同僚の上野千鶴子先生の推薦の言葉
・授業がこんなに楽しめるなら、大学教師をやってもよい、と思える本。入りたくても入れない、「待機学生」のウェイティングリストがあるという伝説の東大駒場船曳ゼミの手の内を、船曳センセイが自ら明かす。おもしろくないわけがない。