日本創生のシナリオ---寺島実郎講演会

k-hisatune2009-03-05

NPO法人知的生産の技術研究会のセミナーは、恒例の年1回の寺島実郎さんの講演。満員でキャンセル待ちが出たほどの盛況だった。私は紹介と司会を担当。日進月歩する寺島さんの思想の進化を今回も堪能した。日本に希望はある。

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  • オバマ大統領の背負う十字架は、イラクサブプライム
  • イラク戦争は「間違った戦争」米軍兵士4900人超の死者、イラク人9万5千人の死者、1兆ドルの戦費。2011年までにイラクから米軍は撤退。その結果は、ペルシャ湾の北側にイランンの影響の強い巨大なシーア派ゾーンの出現。余力なき米国。
  • 米政府の8兆ドルの財政負担。新自由主義の総本山・米国が国家管理に進む姿は、中国の社会主義的市場主義を笑えない状況。巨額の国債発行が必要。中国と日本しか引き受けるとことはない。中国は元建国債(パンダ債)を主張。米国は日本に頼らざるを得ない状況。「円建国債」を日本は主張すべきだ。
  • 米国は財政赤字と経常赤字の双子の赤字。経常赤字を資本収支の黒字で埋めてきた。金利差と資金運用力で世界のカネが集まってきていた。下血を輸血で補っている状況だった。米国はゼロ金利になり、資金運用はサブプライム入りだったから、資本収支で補うことは不可能となった。
  • 米国は物語をつくりあげる力、時代のパラダイムを変える力を持っている。
  • オバマグリーンニューディールという物語はIT革命を超えるか?
  • 太陽・風力・バイオマスで5.5%。これを10%に。2025年には25%nするという計画。日本の専門家は大したことではないというが、本当か?
  • 電気自動車(ハイブリッド・燃料電池、、)と再生エネルギー(小型分散・ネットワーク)がいまくかみ合ったら、パラダイム転換が起こる予感もある。IT革命は、ゴアのスーパーハイウェイとインターネットの結合によって成功したのと同じように。
  • 日本を巡る08年の物流。米国は13.9%、中国は17.4%。大中華圏は26.7%、アジア45%、ユーラシア70%超。日本は中国を中核とするアジアと交流する国になった。
  • 胡主席中華民族の歴史的成果」と北京五輪を総括。中華民族には国内の五族協和、国外には大中華へのメッセージだ。
  • 08年の人流。訪日外国人は中国、韓国が伸びている。前半までは円安、後半は円高。
  • 中国はブランド企業はない。韓国はサムソン、ヒュナンダイ、など3つの企業グループがGDPの35%、GDPに占める貿易の比重は76%(日本は28%)。
  • 産業力と技術力を持つ日本の再評価の流れが、日本への敬意が浮上。
  • 日本創生のシナリオ。JAPICの日本創生委員会の委員長。
  • ここしばらくは日本の政治はガバナンスを欠いてくる状況になる。
  • 経済と産業の向かうべき方向を示すシナリオを書く。キーワードは実体性と自律性。
  • 食糧自給率の向上。農業生産法人への先端的技術の導入により農業のシステム化。300万円以上の収入を得る場の創出。
  • 海洋資源開発による資源小国からの脱却。領海と排他的水域は世界6位。有望鉱床は11か所。探査技術と採鉱技術の進歩により資源大国の可能性がある。超党派立法による海洋基本法と宇宙開発基本法の成立。自前の衛星(順天頂)1-3号機の打ち上げ。
  • 自動車以降のプロダクトサイクル。中型JET旅客機という新たなプラットフォーム産業の創出。マーケッタビリティの壁があったが、アジア大移動時代の到来で壁は無くなる。
  • 日本創生ファンド。日本のカネを日本の産業へ。20年無利息の新型国債(ゼロクーポン)--相続税減免付きの提案。日本人の個人資産の割は高齢者が保有。20年後の子孫のために10兆円集めて宇宙開発、海洋開発、ロボット技術に注入。アシモ君を月に立たせるプロジェクト。