「市場と権力---改革に憑かれた経済学者の肖像」(佐々木実)を読了。

- 作者: 佐々木実
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/05/09
- メディア: 単行本
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第12回新潮ドキュメント賞受賞作品。
「自分の思想と他人から受けついだ知識との区別に無神経」「人のものを取り込んでいく」仕掛け人・オルガナイザー・エディターとしての腕前」「シンクタンクという装置は、政治に近づくための手段であり、大きな報酬を受けるための収入源だった。」「税疑惑。、4年間住民税を払わなかった。」「自民党と民主党の両方のブレーンを組織して、どちらに転んでも経済政策が自分の手に落ちるよう細工」、、、。
不良債権処理。
- 三井住友銀行の大規模増資を行ったゴールドマンサックス。ゴールドマンサックスとの特異な契約。竹中の金融行政はゴールドマンサックスを日本に呼び込むことだった。
- りそな銀行の経営破綻。繰延税金資産問題で監査法人を使って銀行を破綻させ、2兆円の公的資金投入。自民党への融資の増大がおこった。
- 盟友・木村剛は論功行賞で新設の日本振興銀行を手に入れる。その銀行の破綻時に木村は自分自身の財産だけを守る。
- 東京地検特捜部を使って、資料隠しという些細な理由でUFJ銀行を巨額赤字に追い込み、東京三菱銀行に吸収合併させ消滅させる。
- りそな破綻で生じた利益は竹中グループで山わけされている。
- 財政投融資制度の弊害である資金運用部への預託はなくなっており、民営化する必要はなかった。
- 350兆円の郵政マネー。金融(郵貯と簡保)の分離で市場に売却。
- 自民党政府はマッキンゼーとコンサル契約を結んでいた。
- 「かんぽの宿」の売却先は宮内義彦のオリックス不動産。1000億円異以上の実勢価格を109億円。
改革利権。
- 大量のアメリカ国債購入でイラク戦争のブッシュ政権の戦時経済を支えた。-
- 産業競争力会議で労働市場の規制緩和を主張。竹中はパソナの会長。
- ミサワホームをトヨタホームに変えて、実兄の竹中宣雄を社長に抜擢。
以下、登場人物。
佐貫利雄。井上宗迪。ケント・カルダー。榊原英資。長富祐一郎。宇沢弘文。高橋伸彰。鈴木和彦。植田和男。ローレンス・サマーズ。ジェフリー・サッスク。本間正明。浜田宏一。伊藤隆敏。船橋洋一。香西泰三。加藤寛。加藤紘一。藤田田。笹川陽平。吉田和男。伊藤元重。大田弘子。堺屋太一。中谷巌。竹内佐和子。樋口廣太郎。日下公人。牛尾治朗。中川秀直。リン・ウィリアムズ。ローラ・タイソン。鳩山由起夫。島田晴雄。八代尚宏。北岡伸一。島聡。宮内義彦。リチャード・カップ。グレン・ハバード。木村剛。岸博幸。前田晃伸。西川善文。川本裕子。歳川隆雄。高橋洋一。ポール・クルーグマン。村上世彰。三澤千代治。竹中宣雄。三木谷浩史。南部靖之。、、、。