英エコノミスト「ワールド イン 2015」--日本は?

英国エコノミストの「ワールド イン2015」の日経BP社による翻訳本「2015世界はこうなる」が届く。

2015 世界はこうなる The World in 2015 (日経BPムック)

2015 世界はこうなる The World in 2015 (日経BPムック)

英文版には「アベノミクスの限界」という日本に関する項目があったそうだが、日本版には削除されている。
その理由をどう書いているのか。
編集長によると「Asiaのセクションには日本に関する記事もあったのだが2014年の総選挙実施が決まる前に執筆されたものであったため割愛した」という書きぶりだった。
かわりにかどうか、このムックには「日経BPセクション」を儲けて12のテーマで経営者やコンサルタントに予測と対策を寄稿させている。やはり、そのまま載せて欲しかった。

「The World in」は30年近い歴史があり世界40カ国で出版されており、ヨーロッパの目線を理解するのに役に立つ。
冒頭ののエコノミスト編集長の言の中では「2015年は有権者アベノミクスに愛想を尽かす年となるかもしれない」と書いている。
これが欧州の見方だろうか。

まだ読んでいる途中だが、以下ポイントをピックアップ。

  • 右派は政治家をナショナリストに接近させ、左派は富の再分配を要求するだろう。
  • 欧州銀行と日本銀行は2015年位に金融政策をさらに緩和する。
  • ドルとユーロ交換比率は同額になる。
  • アラブでは国境再編の動きが出てくる。
  • 国家の分離独立を避けるためには地方移管と分権が賢明。分離には苦痛と後悔が伴う
  • オバマケアは大きすぎて廃止は困難になる。
  • 金利は平常に戻り始める。
  • ビジネスは資本集約ではなくなったかもしれない。今後10年間の成長率は相当低くなる
  • TPPは安倍首相の経済改革を国外から応援するものとなる。
  • 2015年に中国は購買力平価で世界一になる。日中韓FTAと東アジア地域包括経済連携(10か国)の交渉に力を入れる。中国財政は大荒れ
  • 尖閣」は現実的には妥協を見出す見込みが高い。
  • ビジネス環境ランキング(2015−2019年)。トップはシンガポール。欧州が多いがアジアではオーストラリア3位、香港4位、台湾14位、日本22位、韓国28位、中国50位、、となっている。
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Eテレで「パリの白熱教室」をやっていた。トマ・ピケティ教授の「21世紀の資本論」の講義で、興味深い内容だった。資本主義についてはマルクスは理論で迫ったのだが、ピケティはビッグデータの時代を背景に数字をもとにした実態を論じている。そういう歴史的・地理的な比較分析が可能になったのだ。ピケティは若く精力的な講義をする。経済学校の生徒たちはあまりメモを取らない。
「21世紀の資本」邦訳版もさらに読み進めたい。

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その後、「課外授業」の番組ではチームラボの猪子寿之さん(37歳)を取り上げていた。とても面白かった。

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本日が命日。
中川一郎:真実一路。