図解塾のテーマは「図読」ーー「読まずに読める読書術」はいかが?

2月の2回目の図解塾。テーマは「書評の図読」です。「読まずに読める読書術」とでもいいましょうか。以下、対象とした本の書評。以下、取り上げた本の新聞の書評。

 幸田露伴渋沢栄一伝』(評者:湯川豊)。アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(黒沢大陸)。『花森安治選集』(武田砂鉄)。東浩紀『ゲンロン戦記』(鹿島茂)。姜尚中『生きるコツ』(屋代尚訓)。メレディス・ワッドマン『ワクチン・レース』(河合香織)。マーカス・デュ・ソートイ『レンブラントの身震い』(山本貴光)。ボブ・ウッドワード『RAGE(怒り)』。古関彰一『対米従属の構造』(成田龍一)。古賀茂明『日本を壊した霞が関の弱い人たち』(藻谷浩介)。アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』(前田龍一)。中公新書『日本史の論点』(磯田尚道)。大西始『盆踊りの戦後史』(松村洋)。シンジア・アルッザ、ティティ・バタチャーリャ、ナンシ・フレイザー『99%のためのフェミニズム宣言』(林美子)。

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以下、塾生たちの反応、感想など。

  • 久恒啓一の図解塾 210224 書評を図解して発表しあう会での学び】今回は、メンバーが手分けをして書評を図解して発表し合う、異例の読書会でした。例えば10人で、本を1冊ずつ図解すれば、年に120冊読めるのではというトライアルです。私の担当は「99%のためのフェミニズム宣言」でした。今回学んだことは…■久恒先生の教え 本を読むときは1 目読=目で読む2 線読=重要な部分に線を読む3 丸読=キーワードを丸で囲む4 抜読=キーワードを抜いて関連づける5 図読=図解しながら読む→100冊図読すれば図がつながる→創造性も高まる。■久恒先生の教え 渋沢栄一NH大河ドラマでは 日本経済の父? 通常は「日本資本主義の父」なのになぜ?渋沢栄一の偉いところ 1提案魔 2出処進退がきれい 3財閥を作らない■本の図解を見れば(感想)1 本の要点が、読まずともほぼわかる2 ただし書評家の関心や実力で、本の要点が伝わらない3 本に欠けている点、本来書くべき結論の有無もわかる4 この本を読みたいか、読むべきかの判断に役立つ5 図が美しく完結していれば、本の完成度も高い。→ 本を書く人間として自分の本は大丈夫かと心配になった。→ 次回からはきちんと図を描いてから本を書こうと決意。]
  • 本日もありがとうございました。みなさんの書評の図解を見ていたら、読んでないのに、何が書いてあるのか、のぞけたような気がし、自分の担当分は熟読できたような気がします。次は人生鳥瞰図、大変そうです。次回もどうぞよろしくお願いいたします。
  • 評の図解です。本を読まずに書評を図解すると書評を書いている人の意図が反映される。書評を書いた人がどういう方か、どんな時代に書かれた書評かなども影響があるなと感じました。本の概要を理解できるので面白かったです。短時間で本の概要をつかむには、良かったです。
  • 本日もありがとうございました。皆さんの図解がものすごく進歩していて、大変に刺激を受けました。書評を図にすると、原本にあたっていないもどかしさもあるものの、書評を書いた人のレベルによって、その書物への興味関心に影響があるということを改めて実感しました。また、単なる書評だけからでも、新たな発見や思いつくことが湧いて出てくることはうれしい誤算です。ある意味、書評のみでも大枠での理解ができる、という点で「図読」をしておけば、「積読」から「粗読」になるし、一定の理解を踏まえて興味ある分野を掘り下げていくとき参考となる予情報を得るの有益だと思います。
  • 本日もありありがとうございます。自分としましては、あらためて図読をライブラリ化するとほんとにすごいことになるなと可能性を感じております。また、図解って継続してやればやるほど、良い図解になるなとあらためて感じました。仲間に囲まれて図解を披露するのってすごくよいですね。引きつづきよろしくお願いいたします。
  • 今夜もありがとうございました。書評者や図解者というフィルターはあれど、
    目の前に積まれたら気が遠くなりそうな冊数の本を広く理解することが出来ました。図読:目読→線読→丸読→抜読のプロセス。図読を重ねると図同士の連携が出来てくる。自身の図解の課題としては、思考に煮詰まることが多いので、赤ペンでペン入れをしながらver2、ver3をつくる。それでも煮詰まったらほかの方の図を見に行く。これが必要だなと感じました。次回課題、誰にしようかな。。。早めに決めて着手しようと思います。
  • 久恒先生、皆様本日もありがとうございました。《今日の学びからの、今後の私の課題》まだまだ、文章内で使われている言葉や内容をそのまま図解することに終始しており、自分の言葉や解釈に変換・進化させるところまでは行っていないことです。まずは型を覚えて、守破離へとしなやかに成長していきたいと思います。《私が図解でも仕事でも大切にしていること》ひとつひとつの内容全てを図解に反映してプレゼンしようとすると、文章の羅列になりがちで、優先順位や鍵となることがぼやけ「結局、何が言いたいの?何が大切なの?」ということになります。それは『相手の人生の時間』も多く拝借することになってしまいます。
    思い切り削り、核を尖らせ、際立たせる。何を削るかが最初の潔い肚決めであり、図解のダイナミズムにも繋がると信じています。しかし、一歩間違えば独りよがりの解釈にもなりますので、その「際」が図解も仕事も、最も面白く、かつ注意深く望むべきところかと思います。次回の課題・・・。「誰」にするかで悩みますが、頑張ります。本日もありがとうございました。
  • 久恒先生の言われるように、本日は沢山の本に出合えました。お陰様で読みたくなった本が数冊あります。又、皆様が図解が上達しているのが判ります。見習って、頑張りたいと思います。
  • 久恒先生、みなさま、今晩も、とりわけ遅くまで、有難うございました。
    みなさんの図解を眺めて、その説明とプレゼンをお伺いし、コメントを聴いている時間は、この世界の多様感の縮図のように非常に刺激的な時間です。以下、本日の感想です。■みんなで図解読書/プロジェクト名「読まずに図解で読書」について・授業参加人数に依存すると思いますが、1回2時間として、10冊程度×10分/冊程度のボリュームが内容の確認と議論も含め、中身が記憶に残りやすいんじゃないかなと感じました。(すいません、今回のやり方だと、正直、記憶が既に薄れているものがあります。。。汗)・一冊を複数の人がやるのは前回課題と同様、複合的な視点が出てきて、解釈が深まるのではないかと思います。負けたくない、という小さな心も、多少あるかとは思いますが、それもひっくるめて図解の学びの一環になるかと。■本日の書評図解の感想。・内容が論理的でないものを図解にするのは難しい。。。・著者、評者、自分の観点が混じるところの区別と表現が難しい。 →この点から、小酒井さんの今回の図解の全体構成は、書評の図解として、秀逸だなと感じました。■断片的ですが、みなさんの図解をみて・松谷さんのプレゼンの図解の頭の汗をかき始めた感が、すごくよかったです。私も初回、言葉書いて、まるでかこって、矢印つけてましたが、私の場合、流れになっておらず、、、まるで説明できなかったことを思い出しました。・(差別として受け取られないように信じ&留意しながら)特に本日の書評の図は、女性の方の図解は、どこかにまるみがあって図としてのチャームポイントがあり、男性の方の図解は、直線的で断定的な傾向が強いのが、ジェンダーの性質的な形質として表出している印象があり、興味深かったです。(男性でまるい図や曲線を多用している人は殆どいなかった記憶あり。。。)■久恒先生の印象に残っている言葉
    ・図解だと、みんな勝手に好きなところを見ることが出来る。 結論誘導型ではない。・図解は人の言っていることを無視してよい。自分の考えを表出させる。
  • 本日もありがとうございました。書評の図解は書評を書いた方の考えが入るので、目次を図にするなど現物を図にしたいと感じました。皆さんの図のクオリティーがどんどん高くなっていくので焦りを感じつつ進んでいこうと思います。
  • 本日もありがとうございました。今回で3回目ですが、一番最初の生まれたての小鹿のような歩みから少しずつしっかりとした足取りになってきたような気がします。今回面白かったのは、アニメーション図解が人の理解スピードをコントロールしているという指摘でした。たしかに全貌が見えないと把握しづらいですね。なるほどと思いました。書評を図解するという点については、今の量だとちょっと多いのかなと思いました。一つ一つはためになるのですが、時間を考えると人数を絞ったほうがいいような気もしました。次回はまたワンランクレベルが上がるので、ついていくのに大変ですが頑張りたいと思います。 
     
  • 新人です。本日はありがとうございました!<感想>・図解。人生最大級に、難しすぎることにぶち当たりました。とても悔しいです。食い下がっていきます。のびしろがある証拠だ、と言い聞かせ続けます。受講生の皆さんの発表に対して、感想も質問も出てこず、「どんだけ頭いいねん!」とツッコミを入れることしかできませんでした。感覚人間の私の人生に必要なので、図解で論理的に表現できるようになります。・新しい読書図解。集中力がプツプツと途切れ、本すらまともに読めないのに、書評を読んで本を読まないなんて、全部のプロセスぶっ飛ばせる機会をいただいてることが夢見心地でした。本読みできないので、書評だけで読めるならこの上なく幸せです。よい点:大きな時短の可能性
    よくない点:難しいためハードル高し・人生鳥瞰図。自分のを書くのが一番簡単そう。インタビューする機会が多いので、今後早速使わせていただきたいです!
  • 久恒さん、みなさん。本日もありがとうございました。恥ずかしながら、本を読む習慣が無いため、どうなるだろうと不安でした。しかし、「本は読まなくて良いんです。」の言葉で少し安心して図解を発表できました。みなさんの発表で本を読んだことになる。すごいですね。その後の感想や質問でより深まる。本当に楽しかったです。本日の学び。本の読み方は図解で。まず、黙読。線読。丸読。抜読。組読。のステップ式にすると理解できるようになる。繋がらないところは、疑問点、反論、質問に繋がる。これが更に別の人の図解と繋がるとオリジナルに。更に繋がると創造になる。新たな関係が生まれる。
  •  久恒先生、皆さん、今日もありがとうございました。書評を図解にするというのは、とてもいいアイディアだと思いました。ともすると、新聞の書評欄はざっと流し読みで、読みたいな、と思った本の題名をメモして後でAmazonで注文する、くらいのことしかしていませんでした。また、今日のねらいどおり、今までほとんど接したことのない分野の本の内容に触れることができたのも非常によかったです。今日の各メンバーの発表に入る前のお話もたいへんよかったと思います。「分かってないことも、分かったふりをする癖がついている。」という言葉には、はっとさせられました。今日のInspiring Wordsです。

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「名言との対話」2月24日。石濱恒夫「先生ーーあなたはどこにいってしまわれたのです」

石濱 恒夫(いしはま つねお、1923年2月24日 - 2004年1月9日)は、日本文学者。作家、詩人。

大阪市出身。旧制大阪高等学校 を経て、東京帝国大学文学部美術史学科在学中から父の友人であった織田作之助などの影響を受けて文学を志す。

大学在学中に学徒出陣召集され、陸軍戦車学校に入り、戦車部隊配属となる。その部隊で一緒だったのが司馬遼太郎である。石濱と司馬はこの時以来、司馬が亡くなるまで親交が深かった。資料を調べていてどこかでみた顔だと思っていたら、ユーチューブで司馬遼太郎についての番組を見たときに、司馬について思い出を語っていたあの人だ。

従兄の藤島恒夫からの紹介で高校時代の17歳から師としていた川端康成に、大学卒業後に弟子入りし、鎌倉の川端の私邸に住み込み師事した。それから川端が亡くなるまで30年間にわたり、文学と人生の師としてつかえている。1946年に文学同人誌『文学雑誌』に参加し、小説家としての活動を始める。1953年に発表した「らぷそでい・いん・ぶるう」が芥川賞候補となった。

1968年川端康成ノーベル文学賞を受賞した際には、ストックホルムでの授賞式に同行している。このときの見聞記『追憶の川端康成 ノーベル紀行』(文研出版)を読んだ。ノーベル賞受賞の旅に、娘と一緒に野次馬として参加したドタバタの記録である。川端康成「昼と夜が逆転して、かえって長年の不眠症が治りましたよ」。文化勲章が裏返しになっていた。「マイ・ホテル、マイ・ワイフ、ウィズ・ミー!」。受賞記念講演「美しい日本の私」の原稿の末尾の数枚の清書も手伝った。、、、

「印刷物で絵を論ずべからず」と石濱への書簡に書いていた川端について石濱は「美に対して、あくないほど貪欲で、あくまで追究し求めてやまない人だった」と語っている。

石濱には『詩集・道頓堀左岸』。小説『流転』『遠い星』。作詞にEXPO70 (賛歌)がある。 歌謡曲作詞も手がけ、地元大阪を舞台とした数々のヒット曲を世に送り出した。

フランク永井が歌った「泣かへんおひとが しのび泣く 濡れてやさしい みどりの雨よ」で始まる「大阪ろまん」、「赤い夕映え 通天閣も 染めて燃えてる 夕陽ヶ丘よ」で始まる「大阪ぐらし」も石濱恒夫の作詞だったのだ。私もカラオケで歌ったことがある名曲だ。

またテレビドラマ脚本も数多く手がけている。若い頃からヨットマンとしても知られ、1977年には13歳の娘・紅子他1人と共に、ヨット大西洋を無寄港で横断している。

 『追憶の川端康成 ノーベル紀行』を本を読んでいると「本当に、どこへいっておしまいになったのだろうか」という言葉が何度もでてくる。本当の 恩師だったことがわかる。生涯に一人の師を得ることができたことは幸せなことだと改めて思った。

 

追憶の川端康成―ノーベル紀行 (1973年) (Bunken sinsyo)