坂村健「DX」。田村淳「心のこり」。白井晟一「独学の建築家」。

東京MXテレビ寺島実郎の「世界を知る力」。本日は坂村健との対談。

坂村健TRONThe Real-time Operating system Nucleus」の開発者。東大教授を退官後は、「文・芸・理」融合の東洋大学情報連系学部INIADの学部長をつとめている。

  • DXとは改善ではない。ビジネスモデルを変革する改革・革命である。
  • プラットフォームの本質は「オープン」。単体ではなく様々なところで使える。
  • ここ10年でAIは急速に進化。「オープン」「ビッグデータ」「クラウド」。
  • AIで出来ないことは無くなっている。個々の問題解決はできる。まだ汎用性はない。
  • 目標をAIに指示するには「教養」が要る。哲学、考える力、、。」
  • AIには「欲望や欲求」はない。人間には生きる意志がある。
  • AIは美を享受しない、できない。
  • ギリシャ・ローマ時代は奴隷が労働し、貴族は文化で遊んでいた。AIに任せて享受できる。「芸」はアート。何が美しいか。過去の人間がやったことがある。
  • 人間には意識がある。意識とは宗教だ。

坂村健の本:『DXとは何か』。『グローバルスタンダードと国家戦略』。『毛沢東の赤ワイン』。

JAL広報部時代に本郷の東大キャンパスの坂村健を訪ねたことがある。テーマは「航空文明」だったか。また講演も何度か聞いたことがある。著書はずいぶん読んでいる。情革命のフロントランナーだ。『DXとは何か』(角川新書)を注文。

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朝6時起床。8時までブログと「名言との対話」を書く。やはり5時起きが必要だ。

11時:渋谷のロンドンブーツの田村淳の「私の心のこり」展。

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13時:松涛美術館の「白井晟一入門」展。

建築家として活躍したが、実は建築を学んだことがない「独学」の人だったのには驚いた。この素敵な美術館も白井の設計だった。静岡の芹沢銈介館、群馬の土屋文明館も白井の設計だった。

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16時半:富士箱根伊豆国際学会のZOOM総会に参加。

17時:純喫茶「キツ」を覗き、橘川店長と語る。

19時:「世界を知る力」の録画をみる。

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「名言との対話」10月24日。島尾ミホ「征きませば加奈が形見の短剣でわが命綱絶たんとぞ念ふ」

島尾 ミホ(しまお ミホ、1919年10月24日 - 2007年3月25日)は、日本の作家。 

鹿児島県の奄美群島加計呂麻島出身。東京の日出高等女学校を卒業。加計呂麻島国民学校に代用教員として在職。太平洋戦争中、加計呂麻島に駐屯していた特攻隊隊長の島尾敏雄と出会う。戦後結婚した後には、作家となった島尾敏雄の代表作『死の棘』に登場する「妻」のモデルとなった。

自身の小説では、『海辺の生と死』で、田村俊子賞、南日本文学賞を受賞したほか、『祭り裏』、短編「その夜」など故郷に題材を取った作品が多い。『ヤポニシアの海辺から対談』(石牟礼道子との共著)、『島尾敏雄事典』(志村有弘共編)などがある。

生誕100年となる2019年には短編集『祭り裏』の復刊や記念イベントの開催、梯久美子の評伝『狂うひと「死の棘」の妻・島尾ミホ』(新潮社)が文庫化になるなど、注目を集めた。最近では日経新聞梯久美子が連載をしているのをみかけた。

夫・島尾敏雄の記念館が郷里の福島県相馬郡小高町にある。埴谷島尾記念文学資料館だ。同郷の埴谷雄高は「僕一人だけではいやだけど、島尾君と一緒ならいい」と承諾してできた二人の資料館だ。未完の大長編小説「死霊」を書き続けた埴谷雄高(1909-1997年)と、壮絶な夫婦愛を描いて私小説の極北と言われる小説「死の棘」を残した島尾敏雄の資料館だ。島尾は「日本の作品は僕と島尾敏雄を読めば良い」と山本周五郎がいうほどの作家だった。また戸内寂聴は「島尾敏雄さんはハンサムだった」と書いている。

島尾ミホのエッセイ集『愛の棘』(幻戯書房)を読んだ。

特攻隊長の島尾中尉との遭遇と逢引きと決死の脱出が、この人の人生のクライマックスだ。

特攻として島尾の出撃が決まった出撃の前夜に詠んだ歌。加那とは恋人である自分のこと。出撃命令はでなかった。翌日は8月15日だった。

 征きませば加奈が形見の短剣でわが命綱絶たんとぞ念ふ

 大君の任のまにまに征き給ふ加那ゆるしませ死出の御供

 はしきやし加那が手触りし短剣と真夜をさめゐるわれ触れ惜しむ

父と家を捨てて島を脱出したときの歌。
 古も今もあらざり人恋ふる深きお想ひは代々に変わらじ

 恋故に十七代続く家系捨て独り子のわれ嵐の海洋へ

 親を捨て古き家系も捨て去りて御跡慕いて和多都美の国へ

 海原を大鏡へと見立てつつ加那が悌偲び奉らむ

 琉球南山王の血筋引く古き我家も此処に絶えなむ

2人の写真をみると、美男美女のカップルだった。夫の代表作『死の棘』にならって編んだエッセイ集『愛の棘』を読むと、若き日の恋が島尾ミホを生涯にわたってとらえていることがわかり、感動を覚える。それをミホは小説やエッセイにしたが、短歌というものの威力を改めて感じてしまった。