川柳:選句と投稿句ーー「好き者が 道楽を過ぎ 極道へ」

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(公園を散歩中に出会った「山つつじ」)

 

3月の「松戸川柳会」への投稿をうっかりして忘れていた。

そのため4月号の「川柳まつど」には私の投稿句は載っていない。

そこで、畏れ多いことだが選者になったつもりで、紙面に載っている句の中から3句づつ選んでみた。そして、自分の句を並べてみる。

宿題「丸い」 久恒吐鳳選

 一呼吸おいて言葉を丸くする

 苦も楽も知ってざんげの丸い石

 ちゃぶ台が丸く収める家族の輪

 久恒吐鳳

  三角が 四角になって 丸になり
  それぞれの 始発終着 山手線
  まん丸の 孫の笑顔が たまらんな

宿題「めきめき」  久恒吐鳳選

 めきめきと自我が芽生える反抗期

 他人とは違う絵柄が群を抜く

 泣き虫がいつの間にやら部の主将

 久恒吐鳳 
  メキメキと 骨音高く 部下伸びる
  ニョキニョキか メキメキなのか わからんぞ
  メキメキの 戦後が終わり ダーラダラ

宿題「マニア」 久恒吐鳳選

 オタクからマニアに変わる引籠り

 韓ドラに嵌った妻が帰らない

 うんちくを言わずにおれぬワイン通

 久恒吐鳳

  好き者が 道楽を過ぎ 極道へ
  どっちかな マニアとオタク 俺の趣味
  マニアック 褒め言葉とは 受け取れぬ

宿題「曲げる」 久恒吐鳳選  
 良心ををポストとカネがとろけさす

 異端児と言われて嬉しいへそ曲がり 

 性格の曲がりに添え木当てておく

 久恒吐鳳
  信念を 右や左に 曲げたヤツ
  痩せ我慢 誇りは曲げず 最後まで
  生き方を 少し曲げると 行きやすい

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朝:都築さんとズームミーティング

昼:蕎麦の「古潭」で夫婦で打ち上げ。

夜:都築、力丸、松本のズームミーティング

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「名言との対話」5月6日。松下圭一「歴史の変化のなかに現実の構造変化をみ、また現実の構造変化を推し進めて歴史の変化をつくりだす」

 松下 圭一(まつした けいいち、1929年8月19日 - 2015年5月6日)は、日本政治学者。享年85。

福井市出身。第四高等学校を経て東大法学部卒。丸山眞男に師事。法政大学巨樹。日本政策学会理事長、日本公共政策学会会長などを歴任。

マルクス主義全盛の時代潮流において大衆社会論を引っさげて論壇に登場し、地方自治のイデオローグとして活躍した。「新しい時代は新しい言葉を必要とする」との考えから、松下の造語は「自治体改革」「政策法務」「情報公開」「市民参加」「シビル・ミニマム」「官僚内閣制」、、など多くかつキレがいい。そしてその多くは今では普通に使われている。

シビル・ミニマム(生活権)は私の大学生時代に話題になって、一時「都市問題研究会」(都市研)をつくろうとしたことを思い出した。もしつくって活動していたら、その後の私の歩みも変わっていたかもしれない。

日本政治学会会長、日本公共政策学会初代会長をつとめたこの学究による現代批判は聞くに値する。

・市民保護に不可欠の原発についての地域防災計画などの策定にも充分に対応できていない。基幹道路が一本しかない原発すらある。自治体は無責任、国は見識なし。

・2世、3世がふえて幼稚化しがちな政治家、官僚、経営者、同調する学者、記者といった「政官業学+マスコミ」には、市民良識で対抗させたい。

・未来に向けての予測・企画という、マクロの問題解決能力の欠如もいちじるしい。

絶筆となった85歳の自身の手になる『私の仕事』が、簡潔で明快に生涯の軌跡を記している。小学生時代の町内会費集め、旧制高校時代の市民文庫通い、大学での学生新聞編編集長、丸山眞男ゼミでの活動などから始まる生涯の歩みは亡くなるまで同じ道であった。

松下圭一の方法は「歴史の変化のなかに現実の構造変化をみ、また現実の構造変化を推し進めて歴史の変化をつくりだす」であり、市民起点の自治体改革から始まる市民型構造改革」が立ち位置である。

そのためには、価値合意を求めるための「構想力」の訓練が必要であるとする。思想-構想-現場-改革-思想という思考循環は、「現場」を熟知した理論形成であり、深い説得力と広い影響力があり、自治体職員など実務家にもファンが多かった。

その松下は、最晩年には日本沈没を予感し、市民社会構築への課題を提起して逝った。現今の社会を眺めると、その課題は的確であると改めて感じ、身が引き締まる思いがする。