東北学

東北芸術工科大学東北文化研究センターの「季刊東北学」第二号と、東北文化友の会会報「まんだら」22号が送られてきた。「東北学」ののろしをあげた東北芸工大赤坂憲雄教授の精力的な仕事の舞台となっている二つの機関誌である。


「季刊東北学」第二号は、「稲作以前」再考という特集で、佐々木高明の「稲作以前」再考、小山修三の「縄文焼畑考」、そして、粕谷一希支那史学考」、赤坂憲雄の「岡本太郎/獣の匂い、また東北的な」など内容が極めて充実している。


「まんだら」では、「日本奥地紀行」を書いた「イザベラ・バードが見た明治の日本----近代日本の原風景」という文化フォーラムで、作家の高橋克彦宮城大学のあん・まくどなるど助教授と赤坂教授の鼎談を特集している。「邂逅の森」で直木賞をとった熊谷達也の講演録の収録している。「東北学と出会って、僕は密かな決意をしました。五年間、作品の舞台やテーマを東北に定めよう。東北以外のものは書かない。−−−東北にこだわってきた自分の狙いは間違っていなかった。---いちばん大きかったのは、別冊東北学の『荒蝦夷』の連載でした。」池上冬樹の「文学者たちの山形」の連載や、また黒田大介の「布施辰治・韓国建国勲章受賞に寄せて」など、こちらも執筆者・内容とも優れた雑誌となっている。



赤坂先生の宮城大学での講義を一度聴いたことがあり、その熱意と志に打たれたこと、またその折、私の研究室でご挨拶したことを思い出した。この試みは豊かな実りをもたらしつつあるようだ。