「日経ビジネス」からインタビューを受ける。

大学:近藤秘書と打ち合わせ。

新宿:社会人大学院生の修士論文指導。「本質、本気、抜本、解決、戦略、気概、、」などの言葉で激励。

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新宿:日経BPの「日経ビジネス」誌の副編集長の飯村さんから「人生100年時代」についてのインタビューを受ける。1時間半。写真も載るそうだ。いただいた10月21号は「さびつく現場力」特集。93Pと薄い。載るのはネット版。11月中に掲載予定。

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銀座:「いらか」で高校時代の友人の松田君と清原君と食事。

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 「名言との対話」10月21日。西澤潤一「不器用の勝利」

西澤 潤一(にしざわ じゅんいち、1926年9月12日 - 2018年10月21日)は、日本の工学者

 専門は電子工学通信工学半導体デバイス半導体プロセス、光通信の開発で独創的な業績を挙げた。半導体関連の特許保有件数は世界最多である。「ミスター半導体」と呼ばれた。  東北大学総長(1990年ー1997年)、岩手県立大学学長(1998年から)首都大学東京学長(2005年から)を歴任。1983年 文化功労者、1989年 文化勲章。2002年 勲一等瑞宝章。

 西澤潤一『独創は闘いにあり』を読んだ。1986年の刊行なので、東北大学総長就任前の東北大学電気通信研究所所長時代の著作である。それまでの半生の自伝だが、「独創」に主眼を置いたものになっている。東北大学には「研究第一主義」の歴史がある。研究第一主義の旗を立てた長岡半太郎、KS鋼の本多光太郎、フェライトの武井武、八木アンテナ八木秀次、無装荷ケーブルの松前重義、、、。工学部の「工」という字は、上が自然現象、下が人間社会。それをつなぐのが工学という意味だそうだ。

研究者としての西澤はいわれなき苦労の連続である。中央ではない、田舎の大学というイメージがまだ東北大学にあった。学界の差別、産業界の無関心、、、。むしろ欧米で発表して認められている。どこかで聞いたような話だなあと思っていたら、西澤が尊敬する東北大学の先達・八木秀次の人生とだぶってみえる。

以下、独創について。

・若いうちは、とにかくどんなことでも目の前のことに一所懸命に取り組む姿勢や態度が大切だ、ということである。それがまわりまわって、いつ、いかなる形で役立つようになるかわからない。

・難しいことを知っていて物事がうまくいったというケースは、ほとんどない。

・私は、多分、そんなに頭がよい人間ではない。そのうえ、非常に不器用である。

・最後に、わずかな、しかし巨大とも思える壁に突き当たるのが常である。カン、まったく違った着想で予感のもてる仮説を立てられるかどうか。

私は仙台で私は二度ほどお会いしている。1997年9月に宮城大学名誉学長にもなっているから、その時だったか、野田一夫学長と西澤潤一総長との会食に陪席したことがある。電気送信のロスが軽微な技術の開発などの有望技術の話が印象に残っている。仙台のライオンズクラブの昼食会で「勉強してはいけない!」という講演をしたとき、目の前に西澤先生が座っておられたので驚いたことがある。西澤先生はノーベル賞の候補だった。

2000年10月23日の朝日新聞で、この1000年で最も傑出した科学者は誰かという面白い企画があり、読者の人気投票を行っている。1.野口英世 2.湯川秀樹 3.平賀源内 4.杉田玄白 5.北里柴三郎6.中谷宇吉郎 7.華岡青洲 8.南方熊楠 9.江崎レオナ10.利根川進 11.鈴木梅太郎11.西澤潤一 13.高峰譲吉 14.寺田寅彦15.志賀潔 16.関考和 。以下、朝永振一郎 長岡半太郎 福井謙一 広中平祐 今西錦司などが並んでいる。西澤は堂々11位だ。

頭がよい、という場合、回転が速いという意味でよく使われる。もう一つ頭が強いという意味がある。西澤は頭をいじめぬいたからこそ、頭が強くなったひとだろう。いわば「頭っぷし」が強いのだ。回転の速さではなく、回転のエネルギーが強いのだろう。

この本を書いた1986年時点(60歳)では「地べたを這いずり回りながら、愚直に物事をひとつひとつ積み上げてきて、さて大道がひらけるかどうか」と結んでいる。

「不器用だから逃げずに、それを克服することを考えるところに初めて進歩がある。新しい展開は、難しいことを勉強して出るものではないんです」。「そんなに頭がよくなく、非常に不器用でだ」と自分を評価していた西澤潤一がまれに見る「独創」の人であったことは私たちに勇気を与えてくれる。

 

独創は闘いにあり

独創は闘いにあり

 

 

僕が心から超一流と思う人はどう生きたのか。
みんな、小利口なことなどせず、鈍くさいことをひたむきにやり、バカだといれた時期があった。
バカになるしか成功の道はない。
それが結論だった。

 

独創は闘いにあり

独創は闘いにあり