ワーキングプア、グローバリズム、IT革命、社会保障、中間層、参画

NHKラジオ「21世紀 日本の自画像」第3夜。

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・21世紀の7年間、世界の成長率は3.5%と異例の高さだった
・2001年「9・11」同時多発テロによって逆上したアメリカは、4400人の兵士を死亡させた
・19世紀の100年間での3度の戦争でもアメリカの戦死は4000人に過ぎなかった
・この7年は、イラク、アフガン、パキスタンとアメリカの求心力低下の7年だった
・年間の株の価値総額は14%の上昇。金融経済の肥大化が進んだ
・立ちつくしている世界
グローバリズムは世界をし幸せにしたか?
・豊かになったのはごく一部、冷戦の終焉から世界はフラット化した
・テロは希望のないところから生まれる
・日本はアメリカに負けたのでなく中国に負けた。中米の連携に負けた
・テロ特別措置法は何のためか。外国では知られていない。年間100億円、6年間で600億円、その他でインド洋の補給には1000億円かかっている。
・日米同盟のコストは、思いやり予算6500億円を7年間で約4兆円。その他を含め6兆円。
・アメリカの相対化、多極化の中での日米同盟の再構築に失敗した
・適正な同盟コストはいくらか。多くの選択肢があるはずだ
・日中米のトライアングル時代では、アメリカは日本も中国もと、ならざるを得ない
・中国における留美派の台頭
国際刑事裁判所(ICC)への積極的参加とポスト京都議定書の新しいルールづくり
京都議定書では日本は1990年対比CO2を6%減少させると決めたが実際は7%の上昇
・軍事力でない国際政治を動かす力をソフトパワーというが、環境、流通など技術力が大事だ。その技術力は人によっている。日本はここに力を注ぐべきだ
・日本は総合力・統合力であるガバナンスが課題だ。総合設計する力が問われている
・ガバナンスの中心は人である。
・不条理の解決が歴史の進歩である
・歴史を動かすのは人ではないか

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最後の木村アナの総括では、この番組は5年間のシリーズだったそうで今年で終わりとなる。

この番組を私なりに総括すると、この3日間の番組は寺島実郎さんの様々なメディアでの発言、雑誌や書籍での論考の集大成だった。
ワーキングプアグローバリズム、IT革命、社会保障、分配、労組、NPO、中間層、参画型社会、モノづくり立国、基盤産業、三位一体改革、移動人口の増加策、議員という民主主義のコスト、プラットフォームづくり、金融経済の肥大化、テロ特措法の意味、ICC、日米同盟再構築、中国をどうみるか、教育のありかた、、、、。
一つ一つの主張に綿密な調査に基づく裏づけとそれを示す数字が示されており、それをもとに考え抜いた後があるから、低く太い低重音で腹に響いてくる。

この番組は企画・人選・取材の全てにわたって寺島さんの関与が濃厚だ。
日本を外から内からみて立体的な自画像を描き、それぞれの課題に処方箋を考え、21世紀に日本が進むべき方向を一つの全体像として提示しようという意図を感じるが、それが見事に結実していた。多くの人に感銘を与えたのではないだろうか。