馬驍水墨画芸術展(伊勢丹新宿店)−−「借景生情」

k-hisatune2010-01-10

馬驍水墨画芸術展(伊勢丹新宿店)
 
中国伝統の水墨画と油絵を学んだ後、独自の技法で奥深い自然の姿を描き続け、日本のみならず、中国、フランス、アメリカ、イギリスなど海外の個展を開催。変幻自在の技法で大気、風、光が描かれた水墨画。30点が展示されている。
馬驍(まぎょう:本名は大長 驍)は、1940年北京生まれ。中国人の父(東京工大建築家卒)と日本人の母を持つ。1979年に日本に帰国し馬驍水墨画会を設立、1982年から2007年にかけて伊勢丹新宿店で初公開をして、以後、全国各地で100回以上の個展を開催している。
先日亡くなった平山郁夫さんは「描写力と水墨画を融合し、水墨の新境地を拓いた」と述べているし、加山又造さんは「具象絵画とシュールレアリスティックの、新しい水墨画」と評価している。溌彩画という独自の技法を開発。
池袋には馬驍水墨画展示館もオープンしている。姓と名には馬という字がついているように、この画家の作品には「馬」が多い。

墨画「唐代の王こうの溌墨法と英国水彩画の湿画法を用いて、私自身の溌墨の特殊技法を生みだした。」という馬驍は、大自然を師として、山水画でもっともむずかしい雲、すなわち空気の流動感と透明感を描こうとしている。

目標と縫合、そして人生の軌跡の三つが渾然一体となって、今日の私の創作活動を支えている。

  • 創作の目標「自分の作品が、東洋人と西洋人、専門家でああるとないとを問わず、老若男女の皆さんに理解され、喜んでいただけることを目標にしています」そのため「先人や他人のも模倣ではない真実の自分を作品の中に表現するよう心がけています。

創作のための水墨画テクニック62法

  • 創作の方法「私は中国伝統の溌墨画の特徴に西洋画の立体感と空間表現を統合させ、伝統的でありながらも革新性に富んだ独特の溌墨山水画を世に問うてきました。」「日本人の心と禅の精神を作品に溶け込ませることを目指しています。」
  • 創作と自分自身の人生とのかかわり「私の父は中国人、母は日本人です。、、、」文化大革命建設省の最高技官の父はスパイ容疑により内モンゴルに追放される。四人組に迫害を受けて病死した父は、35才の馬驍に臨終時に子供達と一緒に日本に帰るように遺言する。39才で帰国。静岡で設立した馬驍水墨画会は、1996年現在で全国に16支部、400人の会員を数えている。

この伊勢丹の展覧会では、30万-50万円が一番多かった。

「画集の出版はマラソンの一里塚のような大切な意味を持っています。」

創作の要諦
鷹の剥製を写生し、形態と構造をよく知る。実物をよく観察して動作や飛翔の規則を把握する。
鶴。取材では、美しい動作や形態をとらえることが大切。画面に組み合わせる時は、疎密の変化や動作の相違、相互の関係や遠近に注意。
波。規則性を観察。実際よりも誇張して描くと、より一層生動感のある画面が表現出来る。
富士山。高い所や低い所から、また、遠方や近くから、それぞれ観察と写生をしてみて、初めて富士山の本当の姿が認識できるのである。富士山の精神的な美しさを表現したい。
「借景生情」という中国の言葉がある。写生は、創作の完了ではなく、絵画創作の素材となるものである。