NPO法人知的生産の技術研究会が出す次の本が進行中

梅棹忠夫先生の歴史的名著「知的生産の技術」(岩波新書)が世に出たのは40年以上前の1969年だった。この本の与えた衝撃はすさまじく、ロングセラーとなって、広く深く、そして長く、今もなお社会に大きな影響を与え続けている。

梅棹忠夫先生によれば、「知的生産とは、頭をはたらかせて、なにかあたらしいことがら――情報――をひとにわかるかたちで提出すること」であり、この本でも「工業の時代に続く次の時代は情報産業の時代になり、その中でもとくに知的生産による部分」が大切になると予言している。まさに今日の情報社会の本質を見事に言い当てているのは驚きである。

この本が与えた影響の一つが、今はNPO法人となっている「知的生産の技術」研究会(略称・知研)の誕生だった。1970年に八木哲郎氏が設立した知研は当時の知のスター達のセミナーを毎月行い、そのエキスを1978年に初めて「わたしの知的生産の技術」(講談社)という本として出版、好評を得て「続」「新」と続けて出版を重ね数十万人の読者がこのシリーズを手にしている。

「わたしの知的生産の技術」には「八木さんのような人物の出現だけでも、わたしの「知的生産の技術」という本は意味があったといえるのかもしれない」との梅棹先生の序文がある。

現時点で振り返ってこの三冊の本の目次を眺めてみると、紀田順一郎加藤秀俊羽仁五郎外山滋比古渡部昇一小中陽太郎竹内均小室直樹、岡村昭彦、西堀栄三郎、今西錦司竹内宏加藤栄一大岡信堺屋太一桑原武夫渡辺京二唐津一、長谷川慶太郎、飯田経夫などの錚々たる方々が並んでいるが、よくこれだけの知の巨人が毎回出講して下さったと驚きとともに改めて感謝の念が湧き起こってくる。

知研は、こういった流れの延長線上で数多くの出版を手がけてきたし、著書を持つビジネスマンを多数輩出してきた。

最近出た「知の現場」(東洋経済新報社)は、その流れの復活の一つであるし、また現在進行中で3月の刊行を目指している本もそうだ。ここ数日で、送られてきたゲラを点検しなければならない。

目に見える成果が予想できる、外に向かった「プロジェクト」が組織を活性化する。今、次のプロジェクトを考えている。
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産経新聞2月21日朝刊に「知の現場」の書評。

河北新報2月18日の夕刊のビジネス書ランキングで8位にランクイン(2月7日ー13日・丸善アエル店調べ)。「おすすめの一冊」(丸善仙台アエル店・安達昭子)という欄で詳しく紹介。「、、、その一端に触れることで、私たちも成長のきっかけを得られるのではないでしょうか。」