塩野七生は年一巻づつ15年かけて書き続けた「ローマ人の物語」を2006年に終えた。54才から69才までの15年という歳月を捧げたライフワークである。私はこの15年間に何冊か買ってはみたが、一冊も読み終えることはできなかった。
その塩野七生が書いた「日本人へ リーダー編」(文春新書)を読んだ。この人は、「靜かでスゴ味にある男が私の好みなので」、ジョージ・ブッシュは嫌いで、小泉純一郎首相に魅力を感じており、この本の中でもたびたび言及している。
ローマ人は「一つ一つの能力では同時代の他の民族に比べれば劣っていても、すべてを総合して駆使していく力」が優れていたという分析だが、チンギスハンも、自分は個々の能力は平凡だが彼らを使うことができたという述懐をしていたことを思い出す。アメリカの有名な経営者も自分の墓に、我よりも優れた人に囲まれた人ここに眠ると書かせたという話を思い出した。中国の漢の劉邦もそうだった。現代でもユニクロの柳井代表も同じような趣旨のことを言っている。
組織運営においては「「総合力」がキーワードということだろう。そして、その総合力を「継続」していく力が危機を突破していく。
- 作者: 塩野七生
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2010/05/19
- メディア: 新書
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以下、抜き出し。
- 危機の打開に妙薬はない。、、それをやりつづけるしかないのだ、「やる」ことよりも、「やりつづける」ことのほうが重要である。
- なぜか、危機の時代は、指導者が頻繁に変わる。首をすげ代えれば、危機も打開できるかと、人々は夢見るのであろうか。だがこれは、夢であって現実ではない。
- 政策の継続性の欠如こそが三世紀のローマ帝国にとって、諸悪の根源であったのだ。
- 「いかなる事業といえどもその成否は、参加する全員が利益を得るシステムを、つくれた否かにかかっている」(マキャベリ)
- なぜローマ人だけが、、、、。それをひとことで言えば、「もてる能力の徹底した活用」である。言い換えれば、一つ一つの能力では同時代の他の民族に比べれば劣っていても、すべてを総合して駆使していく力では断じて優れていたのだった。
- 問題の本質は何か、に関心をもどすことなのだ。言い換えれば、問題の単純化である。そして、単純化ができなければ、百家争鳴はしても改革は頓挫する。
- ローマ帝国のような超大国の歴史は参考にならない。ローマ史を参考にしてほしいのはアメリカや中国のほうであって、、、。中世・ルネサンス時代の強国の一つだったベネチア今共和国、、、。(「海の都の物語」)
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