教育は楽しむ能力を訓練することにある(ラッセル)

「名言との対話」2月2日。バートランド・ラッセル

  • 教育は楽しむ能力を訓練することにある。文学、絵画、音楽などに見識のある楽しみを見いだせるのが「紳士」のしるしの一つだった。
    • 20世紀最高の知性と呼ばれたイギリスのバートランド・ラッセル(1872−1970年)は98歳の長寿だった。哲学者、思想家、平和活動家であり、さらに80歳で4度目の結婚をし、核廃やベトナム戦争反対運動を展開し、89歳のときには核兵器反対の座り込みをして7日間の抑留にもあっている。クールヘッドとウオームハートを兼ね備えた一流の人物だったということだろう。そのラッセルは2月2日に逝去した。
    • 人はみな周到な努力によって幸福になれるという信念があり、経験と観察によって確かめれた「常識」を著書で述べている。「中庸は面白くないが真実の教義である。極端を避けよ。努力とあきらめのバランス、釣り合いの感覚を保とう」などの当たり前の言説が多く、本を読んで優れた言葉を抜き出そうとすると、そのために線を引いた箇所は多くはならない。
    • 代表作「幸福論」を読んでも、唸るような名言は少ない。淡々と幸福への処方箋を書いている。「偉大なるコモンセンス」と呼ばれた人らしい。
    • 投獄中、面会に来た友人に「なんでまた、君はそんなところにいるんだね?」と尋ねられたラッセルは「君こそ、なんでそんなところにいるんだい?」と尋ね返したという。多少人の悪い冗談をいうクセもあったようだ。「不幸な人間は、いつも自分が不幸であるということを自慢しているものです。」、これも面白い。
    • 退屈で縁側で日向ぼっこをする老人にならないためには、奥が深く、一人で楽しめるものを持つことだ。俳句、短歌など古来の分野を探求する人が多い日本人には、ラッセルのいう紳士・淑女が多いということだろう。
    • この言葉は「テーマを持て」、と私には聞こえる。