歌川国芳--「かわいい」が人気の源

  連休中に、歌川国芳「21世紀の絵画力」(府中市美術館)を観てきた。

 国芳が人気だそうだ。何が現代人に響くのか。

「かわいいもの」に人気がでる今に合っている。特に「猫」は猫ブームの現代人の心とつながる。

図録も含め、力の入った大型企画展だった。

歌川国芳(1797年-1861年)。歌川広重は同年生まれ。この年、蔦屋重三郎が48歳で没。15歳、歌川豊国にニュ門。31歳、水滸伝の武者絵シリーズでデビュー。35歳、洋風表現を取り入れた風景版画を多数発表。40歳、滝沢馬琴の70歳の賀に出席。41歳、河鍋暁斎が7歳で入門。46歳、艶本の取り締まりで罰金。47歳、天保の改革を批判したと評判・回収。48歳、北斎に面会。54歳、風刺画が発禁処分。月岡芳年が入門。57歳、「評判記に「豊国にかほ(似顔)、国芳むしゃ(武者)、広重めいしょ(名所)」と掲載。59歳、中風。60歳、最初の妻没。65歳、没。30代でデビューは、当時としては遅咲きだ。

この65年間の絵描きたち等の人生と作品がからまってくる。国芳の20代では、山東京伝56歳で没。杉田玄白85歳で没。司馬江漢72歳で没。初代豊国57歳で没。30代では、大槻玄沢71歳で没。酒井抱一68歳で没。40代では、谷文晁78歳で没。柳亭種彦60歳で没。間宮林蔵65歳(?)で没。50代では、渓斎英泉58歳で没。葛飾北斎90歳で没。高野長英47歳で自殺。60代では、歌川広重62歳で没。まるでドラマティックな絵巻物のようだ。

以下、国芳の人と作品をとりあげる。

まず「人物」。

江戸っ子の気性。極端な巻き舌。職人気質。逸話が多い。無鉄砲。尻軽。猫好き。気分屋。反骨。ユーモア。人間味のある花形絵師・浮世絵画工。

 

「作品」

水滸伝」でデビュー。武者絵というジャンルをメジャーにしrた。西洋語法の写実主義に基づく有名人の肖像の錦絵。劇画の祖。今日の漫画・戯画の軽妙さ。リアル。自由闊達。遊び。おちゃらけ,戯れごと。笑いと共感。東西芸術の不完全な融合。

 北斎没後の1850年の浮世絵師ランキングのトップは国貞「出藍」(初代豊国を超えた)、広重「真景」(風景画)、国芳「狂筆」(おかしな絵)とある。

 

「相馬の古内裏」

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「近江の国の勇婦お兼」

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西洋の本「イソップ物語」の挿絵をもとに描いた銅版画。

 「みかけはこはゐがとんだいいひとだ」

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 男たちの裸身が重なり合って人間の顔となる。だまし絵。

 

「副学長日誌・志塾の風」170510

インターネット放送局「名言との対話」の収録。大学創立者

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杉田学部長と一緒に、 事務局に入る新人職員への説明と懇談。

北島(総務課)。小野塚(学生課)。穴場(総務課)。入内嶋(総務課)。佐藤(入試課)。

 前職が興味深い。コカコーラ。国際大学日本航空Z会。西武信金。 私からは多摩大の現状と課題の説明。「前職の経験と人脈を生かして欲しい」と激励。

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 田村理事長報告。杉田学部長と一緒。

私からは、大学院、グローバルスタディーズ学部を含めた大学全体の動向と課題を説明。3人で懇談。

 

 「名言との対話」5月10日。桑原武夫「汚い金をきれいに使うのが文化ちゅうもんや」

桑原 武夫(くわばら たけお、1904年明治37年)5月10日 - 1988年昭和63年)4月10日)は、日本フランス文学・文化研究者、評論家文化勲章受章。人文科学における共同研究の先駆的指導者。

共同研究システムを発明し、日本の人文科学分野の研究における数々の業績を通じて、梅棹忠夫梅原猛上山春平鶴見俊輔多田道太郎ら多くの文化人の育ての親となった。

京都市右京中央図書館には「桑原武夫コーナー」が設けられ、生前に使用していた机や椅子、直筆のノートが展示されている

新井白石の合理主義、本居宣長のねばっこい追求力、そして明治維新をなしとげて、独立を守りえた私たちの祖父たちの知力と勇気、そうしたものをこそ、近代国家としての今の日本で継承せねばならないのである」

人間は40代後半になったら、自分の力を弟子なり後進なりに分けてあげなければいけない。人を育てるにはエネルギーが要る。老齢になった後に名誉職のような形で養成するのではだめだ。力の充実している時期に後進を養成しなければ人は育たない」

金を集めるのは難しい。しかし金を使うのはさらに難しい。優れた事業家が絵画などの芸術品を集めてコレクションを楽しむのは、贅沢でもあるが、金の使い方という意味では素晴らしい。そういうコレクションが美術館に育っている。文化人は経営者に金を使わせることができれば、大いに貢献できる。そのときの殺し文句がこれだ。