橘川幸夫『参加型社会宣言』の著者とのZOOMでの対話シリーズに出演。

橘川幸夫の「参加型社会宣言」著者との対話シリーズに出演。

かなり突っ込んだ、真面目な対談となった。橘川さんの考えを中心に、話題を展開した。「コロナ渦」「最先端と最前線」「時代」「定性と定量」「合意術」「情報産業社会」「編集」「未来フェス」「会社とは」「何を残すか」「深呼吸する言葉」「参加」、、。聞きごたえあり、と思う。

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「ZOOM革命」講座の動画を作成:テーマは「オンライン講座」の構成。「全集」の構想に沿って、図解コミュニケーションの体系を描いてみた。動画編集、進化中。

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ジム:スイミング600m

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「名言との対話」7月12日。中村光夫「よい小説の作者になるには、まずよい小説の読者になることが必要だ」

中村 光夫(なかむら みつお、1911年明治44年)2月5日 - 1988年昭和63年)7月12日)は、文芸評論家、作家。第6代日本ペンクラブ会長。

 1928年第一高等学校文科丙類(仏語クラス)入学。1931年4月東京帝国大学法学部に入学するが、6月に退学し、翌1932年4月東京帝国大学文学部仏文学科に再入学した。卒業後の1936年同誌に連載した「二葉亭四迷論」で第一回池谷信三郎賞受賞。

1949年より明治大学教授。1952年に読売文学賞を受賞。二度目の受賞は『二葉亭四迷伝』。1965年戯曲『汽笛一声』で三度目の読売文学賞。1967年明治期の作家長田秋濤を描いた『贋の偶像』で野間文芸賞受賞。1967年日本芸術院賞受賞、1970年秋に芸術院会員。1981年明大を定年退任。1982年秋に文化功労者。1955年から30年間芥川賞選考委員を務めた。

今回『小説入門』(新潮文庫)を読んだ。小説の愛好者と小説を書こうとする人々のために書いた入門書である。

中村光夫によれば、文学の目的は読者の心情を動かすことにある。詩は歌であり叫び声であり、直接に心を揺るがせる。小説には社会性があり、読者の実生活の意識のままの言葉で表現された仮構の世界で、他人の人生をみることができ、理性を通じて心を動かす。小説は事件の背景を踏まえた普遍的な人間のありかたを提示する。人間を描くのが小説の中心になる。そして歴史は乏しい資料から過去を忠実に再現しようとするが、歴史小説は逆に現代的意義から素材を扱う、ともいう。これも人間の生き方がテーマだ。

中村は私小説批判が有名だ。日本独特の私小説自己の体験や内面をあからさまに打ち明けた告白小説であり、作者と主人公が同一人物とみなされるために倫理的な批判にさらされる。田山花袋の『蒲団』から日本文学の堕落が始まったというのが中村の見立ててだ。

「優れた小説の一番の特色は、それまでの作品を模倣していないということ、新しい自分の発見した現実を、新しい個性的な方法で描いていくこと」であると中村光夫はいう。つまり独創である。独創であるためには、過去に似た作品がないことを知らねばならない。だから、過去および現在の多くの作品を分析的に読むことが求められるのである。確かに、江藤淳や「あなたに語る日本文学史」の大岡信などの文芸評論家だけでなく、丸谷才一林真理子、「今夜はひとりぼっちかい?戦後文学盛衰史」の高橋源一郎など優れた作家は他の作家の作品をよく読んでると感じることがある。小説の世界は広い、そして過去のさかのぼるとその世界は広漠としている。その中で独創を志すのだから、大変な職業であることは理解できる。 

小説入門 (新潮文庫)

小説入門 (新潮文庫)